日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン、以下「日産」)と、兼松株式会社(本社:東京都港区、社長:下嶋 政幸、以下「兼松」)は10月21日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(本部:神奈川県川崎市幸区、理事長:古川 一夫、以下「NEDO」)が米国カリフォルニア州の北部都市圏で実施する「電気自動車(以下「EV」)の行動範囲拡大実証事業(以下「本実証事業」)」にあたって、実運用の委託先として選定されたと発表した。
これは、日産及び兼松が、昨年12月から本年6月までの間に実施した実証前事前調査結果をもとに、NEDO事業化評価を経て正式に委託先として選定されたもの。
NEDOと、米国カリフォルニア州の経済促進知事室(GO-Biz)との間で合意された基本協定(MOU)に従って、日産が実証研究代表者として全体を取りまとめ、兼松とともに実証事業を実施する。
1.本実証事業の目的
米国カリフォルニア州は、州内で一定台数以上自動車を販売する自動車メーカーに対し、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車等の販売を義務付けるZEV(Zero Emission Vehicle)規制を敷いている。
併せてEVに対して、優先レーンの通行許可を与える優遇措置など、ZEVの普及に対する積極的な取り組みを行っており、現在全米において自家用EVの販売台数が最も多い州として、主に通勤や買い物などの都市圏の移動に活用されている。
そこで本実証事業は、急速充電器を整備し、EVの行動範囲を都市間移動に拡大することを目的に実施する。
具体的には、カリフォルニア州で本実証事業を行うことを介してEVのさまざまな行動パターンデータを集積し、調査・分析・研究を通じて、EVの普及と利用拡大モデルの確立を図る。
2.本実証事業の内容
本実証事業では、カリフォルニア州政府、及び米国充電インフラ事業者NRG eVgo※1と協力し、同州北部のサンフランシスコ広域都市圏、州都サクラメント、および近隣観光地をつなぐ幹線道路沿いに急速充電器を新たに設置する。
また、EVユーザーを、最適な急速充電器へ誘導する情報サービスシステム等を構築し、EVの行動範囲拡大への有効性を実証していく。
本実証事業における各社の役割は、以下の通り。
【日産】
– 急速充電器の設置及び運用
– EVの行動変化分析
【兼松】
– EVユーザー向け誘導情報サービス等の提供
– EVやEV充電に関わるリアルタイムデータビジネスやビッグデータビジネスの検討
日産は、世界40ヵ国以上で「日産リーフ」を累計で192,600台販売(2015年9月末時点)しており、EVの販売台数で世界トップシェアを持っている。
また、世界各国のEVの走行データ等を収集するため、グローバルデータセンター(以下「GDC」)を設置し、多くの地域でEVユーザーの利便性の更なる向上の為に様々な走行・充電パターンを検証してきた。
本実証事業では、GDCで集約されたデータを活用することで、最適な急速充電器の設置場所を提案し、EVの更なる普及拡大を目指していくという。
兼松は、M2M/IoT(Machine to Machine/Internet of Things)※2分野及び車載デバイス分野において、日本及び米国の先進的な企業との協業により、自動車のM2M/IoTビジネスの開発を推進している。
自動車のM2M/IoTソリューションとして、まずは本実証事業においてEVユーザー向けリアルタイム情報サービスを日産と協力して展開し、事業化を検討する予定。
さらに、M2M/IoTソリューション及び車載ハードウェア製品の提案によって、より高機能なコネクテッド・カー※3のシステムやサービスを実現し、新たなビジネスモデルの構築を目指す。
本実証事業で得られた成果が、米国内のみならず、他の国や地域へ適用されることで、EVの利便性は世界各地で格段に向上し、EVのさらなる普及につながることが期待されている。
※1: 2011年に設立した全米最大の充電インフラ事業者。
※2: マシン・トゥ・マシン/インターネット・オブ・シングス。モノが自ら信号をインターネットで相互通信する仕組み。
※3: インターネットを介してさまざまなネットワークサービスを提供する仕組みを持つ自動車。