国土交通省は10月31日、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正し、乗用車の排出ガス及び燃費算定試験法について、国際基準(WLTP※)を導入した。
昨今、自動車販売の国際的な拡大に伴い、国毎に異なる自動車の技術基準の調和が国際環境に於いて順次進められている。
これを踏まえて自動車の基準調和を実現し、自動車メーカー等は国際的な部品の共通化、それに伴う環境技術の開発への経営資本の投入等が可能となる。
また同省では消費者も環境性能に優れた自動車をより安価に購入できることとなるとしている。
これまでも乗用車の排出ガス及び燃費算定試験法については、日本も参画して議論を重ねた結果、平成26年3月、国際基準(WLTP)が成立。今般、WLTPを導入するため、道路運送車両の保安基準の細目告示の改正等を行うことになった。※ WLTP: Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure
1.具体的な改正概要は以下の通り
以下の告示を改正し、現行の排出ガス規制及び燃費規制に於いて、現行規定されている我が国独自の試験法(JC08モード法)に加え、WLTPを適用できる事とする。
[1]道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)
[2]乗用自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成25年経済産業省・国土交通省告示第2号)
[3]貨物自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成27年経済産業省・国土交通省告示第1号)等
注)走行抵抗値の測定法における統計的手法のJC08モード法への導入は今年度中に、排出ガス規制におけるWLTPへの切替えは平成30年10月以降に、それぞれ予定しており、今後速やかに改正する。
2.公布・施行
公布・施行:10月31日
さらに以下は上記、弘布・施行に伴う細目となる。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部を改正する告示等(概要)
1.背景
我が国は、大気環境の保全及び省エネルギー対策の推進のため、道路運送車両法(昭和 26 年法律第 185 号)及びエネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和 54 年法律第 49 号)に基づき、我が国独自の排出ガス・燃費試験法である JC08 モード法により自動車の排出ガス規制及び燃費規制を行ってきたところであるが、平成 26 年 3 月、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)」が成立した。
これを受け、中央環境審議会大気・騒音振動部会及び総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準ワーキンググループ・交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費基準小委員会合同会議において、試験法の国際調和を進める観点から、我が国における排出ガス規制及び燃費規制に WLTP を導入することが提言された。
上記のことから、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成 14 年国土交通省告示第 619 号)、乗用自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成 25 年経済産業省・国土交通省告示第2号)、貨物自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成 27 年経済産業省・国土交通省告示第1号)等の一部を改正することとした。
2.改正概要等
○ 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示
WLTP に関する試験法及び規制値を新たに規定する。
既存の JC08 モードによる試験法及び規制値に替えて、WLTP による試験法及び規制値を適用することを可能とする。
○ 乗用自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等
乗用自動車の燃費基準達成判定について、既存の JC08 モードによる試験法に替えて、WLTP による試験法により判定することを可能とする。
WLTP による試験法により燃費値を算定した場合は、当該値を表示しなければならないこととする。
○ 貨物自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等
貨物自動車の燃費基準達成判定について、既存の JC08 モードによる試験法に替えて、WLTP による試験法により判定することを可能とする。
WLTP による試験法により燃費値を算定した場合は、当該値を表示しなければならないこととする。
○ 乗用自動車等エネルギー消費効率相当値算定実施要領(新設)
乗用自動車及び貨物自動車の燃費値の算定について、既存の JC08 モードに加え、WLTP により算定を行う場合の申請方法等について規定する。
・その他下記告示について所要の改正を行う。
○ 自動車型式指定規則第三条第一項の規定による独立行政法人自動車技術総合機構に提示する自動車に係る走行の要件並びに同条第四項に規定する国土交通大臣が定める自動車及び国土交通大臣が定める書面(昭和 58 年運輸省告
示第 331 号)
○ 自動車の燃費性能の評価及び公表に関する実施要領(平成 16 年国土交通省告示第 61 号)
○ 自動車のエネルギー消費効率の算定等に関する省令に規定する国土交通大臣が告示で定める方法(平成 18 年国土交通省告示第 350 号)
○ 特定改造自動車のエネルギー消費効率相当値の算定実施要領(平成 21 年国土交通省告示第 933 号)
以上