ミシュラン、2048年迄にタイヤ素材のリサイクル比率を8割へ


2019年からフロラン・メネゴー副社長のCEO昇格を固めたコンパニー・ジェネラル・デ・ゼタブリスマン・ミシュラン(CGEM、本社:フランス・クレルモン=フェラン市、CEO:ジャン=ドミニク・スナール)は、この程、世界の環境問題に取り組む⻑期的戦略を発表した。

より具体的には、2018年5月30日〜6月1日の期間に於いてカナダ・モントリオールで開催された「MOVIN’ON 2018」で、世界を牽引するタイヤメーカーの一社として、30年後の2048年までにタイヤのリサイクル率100%を目指す。またタイヤ原材料の80%を、持続可能な物質に置き換えていくことを宣言した。

ちなみに現在、ミシュランが製造するタイヤは、全体の28%に持続可能な原材料が使用されている。

この28%のうち、約26%が天然ゴム、ひまわり油、リモネンなどのバイオ由来の材料で、残り2%は鋼鉄やリサイクルした粉末状タイヤなどのリサイクル原材料となっている。

同社は目下、今後の持続可能な未来のため、この原材料の使用比率を80%まで引き上げる予定を掲げている。ミシュランはタイヤメーカーとして、今後積極的に廃棄タイヤの削減・再利用への取り組みを加速させていくと述べた。

なお今日、世界全体のタイヤの回収率は70%、リサイクル率は平均50%となっている(燃料として使用は含まず)。

一方で「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD、World Business Council for Sustainable Development)」のデータでは、2018年には世界中で10億本の使用済みタイヤ(約2,500万トン)が発生すると想定されている。

そうしたなか、タイヤ原料の80%が持続可能な物質に置き換わり、タイヤ自体が100%がリサイクル可能となった場合、その潜在的利益と節減効果は以下の(1)や(2)や(3)と同等だと試算されている。

それは、(1)年間3,300万バレルの原油の節約(超大型タンカー16.5隻分)または電⼒5万4千GWh相当であり、(2)平均的なセダン(8 Lの燃料で100 km⾛⾏)が年間650億 km⾛⾏できる燃料。さらに(3)ヨーロッパのすべての四輪⾞が225 km(総計⾛⾏距離2億9,100万 km)⾛⾏できる、または全世界のすべての四輪⾞(12億台と推定)が54 km⾛⾏できる燃料に値すると云われている。

そこでミシュランは、持続可能なモビリティ社会を促進するべく革新的なソリューションの開発、およびタイヤ性能改善の継続的な取り組みを進めている。

また併せてその一環として、2017年10月に米国高性能微粒子ゴム粉末(以下、MRP)の分野の大手製造企業であるリーハイ・テクノロジー社を買収した。

このMRPは、原油やゴムに代わる原材料として、ハイパフォーマンスタイヤ、プラスチック、消費財、コーティング剤、シール材、建設資材、アスファルトなど、産業および消費者向け用途で広範囲に利用されている。

MRPは原材料コストを最大50%低減し、さまざまな市場でその性能を十二分に発揮する持続可能な原材料である。リーハイ・テクノロジー社は、使用済みタイヤから微細粉末を製造する高度な技術を持つMRP市場におけるリーダーとして、持続可能性を事業の柱にしている。

今回のリーハイ・テクノロジーの買収は、先端技術を使ったリサイクル技術に投資し、ハイテク原材料の専門技術を活用していくミシュランの戦略的決意の表れであると云う。また併せて自動車以外の様々な産業分野に於いても、使用済みタイヤから得られる革新的なリサイクル原材料の活用を推進していくとしている。