横浜ゴム株式会社(本社:東京都港区新橋、代表取締役社長:野地彦旬、以下、横浜ゴム)の技術者がゴム技術の研究に関して、一般社団法人日本ゴム協会の「第63回優秀論文賞」を受賞した。
受賞式は5月19日、さいたま市の大宮ソニックシティで開催された。
「優秀論文賞」は今年で63回目となる歴史ある賞で、過去3年間に日本ゴム協会誌に発表された論文の中から特に優秀なもの2件を表彰する。
今年は横浜ゴムの清水克典、鹿久保隆志、網野直也と共同研究者の小澤健一氏(東京工業大学)による論文を含む2件が選ばれた。
<第63回優秀論文賞>
■受賞者:清水克典、鹿久保隆志、網野直也、小澤健一(東京工業大学)
■受賞論文:X線高分解能光電子分光を用いた黄銅/ゴム接着界面観察
■受賞理由:
自動車用タイヤに用いられるスチールコードには黄銅めっきが施されている。加硫工程において、黄銅とゴムに配合された硫黄が化学反応を起こし接着層を形成することで接着力が生まれる。
従来の研究により黄銅めっき由来の銅とゴム中に含まれる硫黄の化学反応により、ゴム/黄銅界面に硫化銅層が形成されることが知られている。
しかし、これらは一般的なXPSおよびオージェ原子分光法での測定結果であり、詳細な化学組成を調べるには不十分であった。
本研究論文では、シンクロトロン放射光源を用いた高分解能光電子分光法(PES)を用いてゴム/黄銅接着界面分析を試み、接着層の形成過程および分布について明らかにした。
ゴムとスチールの接着に限らず、金属と高分子の接着にも本手法が適用できる可能性が高く、工業的にも重要な論文であると判断される。
シンクロトロン放射光源を利用した分解能の高い光電子分光法によって、複雑な波形の分離が可能となった。
これにより、タイヤ中のスチールコードとゴムとの接着界面をより詳細に解析することができるようになった。
シンクロトロン放射光源を利用した分解能の高い光電子分光法によって、複雑な波形の分離が可能となった。これにより、タイヤ中のスチールコードとゴムとの接着界面をより詳細に解析することができるようになった。