ホンダ、インドネシアで蓄電池の着脱シェアリング実証を開始


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘)とパナソニック株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:津賀一宏)は、着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(以下、モバイルパワーパック)」を用いたバッテリーシェアリングの実証研究をインドネシアで2018年12月(予定)から開始する。

Honda Mobile Power Pack
Honda Mobile Power Pack

具体的には、当地で「モバイルパワーパック」を搭載する電動二輪車を筆頭に電動モビリティーを用いて、バッテリーシェアリングの実証研究を行うというもの。

なお今回の実証研究は、日本最大の技術開発推進機関である国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業、「分散型エネルギー資源としての可搬型蓄電池シェアリング実証研究」として実施される。

写真は、本田技研工業株式会社、八郷隆弘社長
写真は、本田技研工業株式会社、八郷隆弘社長

現在インドネシアの二輪市場は、まだ伸張の余地を残していて、目下世界第3位の規模で拡大中だ。

ただ当地の交通量の増大に伴う大気汚染で、深刻な問題を抱えており、インドネシア政府はその解決に向けて、電動モビリティーを普及させる方針を打ち出している。

なおこうした問題はインドネシアだけでなく、広くASEAN一帯の発展途上国並びに既に成熟期を迎えつつある経済規模の大きい諸国にも関連する課題だ。

そうしたなかガソリンエンジンではなく、電動ユニットを搭載したモビリティー車両は、環境に優しいという強みがある。

一方で反面、航続距離や充電時間の課題がある訳で、そうした切り口でモバイルパワーパックとそれを搭載するモビリティーという組み合わせにすれば、この相反する課題を解決し、電動モビリティーの普及を後押しするものとしてホンダでは注目しているようだ。

充電ステーション(コンセプトモデル)
充電ステーション(コンセプトモデル)

さて具体的には今実証研究で、Panasonicが開発したモバイルパワーパックを供給する充電ステーションを台湾の対象拠点のエリアに数十箇所設置し、複数個のモバイルパワーパックを同時に充電しておくことで、充電済みのものを随時提供する。

写真は、パナソニック株式会社、津賀一宏社長
写真は、パナソニック株式会社、津賀一宏社長

このシステムを手軽に利用できる仕組みが完成すれば、移動中にバッテリー残量が少なくなったユーザーは、最寄りの充電ステーションで充電済みのモバイルパワーパックに交換し、走行を続けることができる。

なお実証研究の現場は、インドネシア 西ジャワ州バンドン市、バリ州デンパサール市・バドゥン県クタ地区となる。

またこの実証研究を行う要件を満たすため、Honda、Panasonicに加え建設コンサルタント業のパシフィックコンサルタンツ株式会社(本社:東京都千代田区神田錦町三丁目22番地、代表取締役社長:高木 茂知)が参画。

この3社で実証研究を実施するための合弁会社(社名:Pt.HPP Energy Indonesia)をインドネシア ジャカルタ市に設立する合弁契約を締結している。

結果、年間2,000万台以上のモビリティー(二輪車・四輪車)を世界中で販売し、また環境に優しい電動モビリティー開発の実績を持つ本田技研工業と、高効率・高性能な車載用電池の開発で豊富な経験を持つPanasonicがタッグを組み、これまで培ってきた知見とノウハウを集結。

ホンダはヤマハ発動機と共に昨年7月、さいたま市で原付EVバイクの実証実験を行っていたが今回はそれとは異なるアプローチを取る
ホンダはヤマハ発動機と共に昨年7月、さいたま市で原付EVバイクの実証実験を行っていたが今回はそれとは異なるアプローチを取る

両社が共同開発したモバイルパワーパック、充電ステーション、モバイルパワーパックの稼働状況を集中管理するICTシステムを用いて実証研究を展開していく。なおこの際、パシフィックコンサルタンツ株式会社は、現地での調査や企業との連携など、運営上の進捗やマネージメントを担うことで統合的なアレンジを消化していく構えだ。

ちなみにこの動きは、先の1月31日に沖縄ツーリスト株式会社(本社:沖縄県那覇市、代表取締役会長:東 良和)と住友商事株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員 CEO:中村 邦晴)が、住友商事の100パーセント連結子会社である株式会社e-SHARE石垣(本社:沖縄県石垣市、代表取締役社長:高橋 良幸)が展開予定したGogoro社製バッテリー交換式電動スマートスクーターと交換式バッテリー用充電ステーションを組み合わせたシェアリングサービスと似たスタイルである。

このため同システムによるエネルギーユニットのシェアリングは、もはや決して珍しいものではないが、本田技研工業によるASEANエリアの展開は、車両生産メーカーそのものによる取り組みだけに、将来の可能性とその展開には様々な可能性が垣間見れる。

現在、日本国内の2輪市場はシュリンク状況が顕著であり、限られたパイのなかで、絞り込まれた計画生産から生み出された車両製品のみでの流通は、2輪市場のさらなるシュリンクの連鎖を生んでしまう可能性が高い。そうしたなか、ホンダが新たな2輪を取り巻くサービスの試行することは、今後の二輪車市場の未来を占う試金石にもなり得るだろう。

将来に向けたホンダの思惑については興味は尽きないが、ひとまずこの動きがどのような成果を掴むのか。その動向には注目していきたい。(坂上 賢治)