仏・ヴァレオ、インドでの生産拠点と技術開発能力を拡大へ

ヴァレオ(本社所在地:フランス・パリ、CEO:クリストフ・ペリヤ)は、2月16日から20日までニューデリーで開催中された「AIインパクトサミット」で、急成長を遂げている同地域へ進出する意欲を改めて表明した。

同社は、新戦略プラン「Elevate 2028」に基づき、今後数年間で2億ユーロ以上を投じて、インドでの生産体制を大幅に拡大する計画を発表した。

ヴァレオはこの投資計画について、第一段階として2028年までにインドでの売上高を3倍増の約7億ユーロに。

第二段階として2028年以降の高成長に向けた準備を整える。同社グループは、電動化とAI技術の急速な加速を活用し、インド域内のみならず、グローバルOEMからも増えつつある事業ニーズにも応えていくとした。

こうした計画についてヴァレオでCEOを務めるクリストフ・ペリヤ氏は、「インドはヴァレオのグローバルな成長とイノベーションのロードマップにおける主要な柱であり、エンジニアリングセンターと生産拠点を大幅に拡大することにコミットしています。

インドの自動車セクターでは驚異的なペースで変革が進んでおり、電動化、自動運転、持続可能なモビリティが力強く拡大し続けています。

そうしたなかでインドとフランスが戦略的パートナーシップを深める中、ヴァレオは、次世代自動車技術のグローバルハブになるというインドのビジョンをサポートするため、ローカリゼーション、R&D、高度な製造への投資を継続します 」と述べた。

また併せてヴァレオ・インドのグループでプレジデント兼マネージングディレクターを務めるジャヤクマール・G氏は、「インドは、製造と高度なエンジニアリングの両面に於いて、ヴァレオにとって引き続き戦略的な市場です。

e-axleや、電動車向けのコンボユニット(車載充電器、DC/DCコンバーター、PDUを統合したもの)を含むローカリゼーションへの注力、そしてADASにおけるヴァレオの取り組みにより、インドのxEVエコシステムの成長に貢献しながら、お客様企業の事業拡大プログラムをサポートすることが可能になります」 と話している。

そんなインドに於けるヴァレオの注力分野は以下の通り

インドでのヴァレオの電動化戦略
ヴァレオの戦略は、製造およびオペレーション全体でローカリゼーションを段階的に進めながら、インドでの新技術製品の強力なコンピテンシーを構築することに重点を置いているという。

グループは、乗用車と小型モビリティ(二輪車および三輪車)の市場におけるユニークなニーズに対応。

例えばインドを代表するSUVメーカーであるマヒンドラ&マヒンドラ(M&M)との主要な電動化プログラムをサポートするため、プネの拠点内に新工場とe-axle専用の生産ラインを立ち上げた。

ヴァレオは、M&Mの「Born Electric」EVプラットフォーム下の様々な車両向けに電動パワートレインを供給する他、同社の商用EV向けに車載充電器・コンボユニットのサプライヤーにも選ばれた。

総受注額が10億米ドル規模に達するこの戦略的パートナーシップでは、ローカリゼーションとインドの電動モビリティエコシステムの成長に対するヴァレオのコミットメントを強化していく構え。

また世界最大の二輪・三輪車市場であるインド国内で、ヴァレオは2024年に三輪車分野でAtul Greentech Private Limited (AGPL) および Honda Power Pack Energy India Private Limited (HEID) との提携を果たした。

特にHondaの先進的なバッテリー技術と、ヴァレオのコンパクトなパワートレイン・ユニット、そしてAtul Greentechの三輪商用EVの専門知識を組み合わせることで、都市交通向けの信頼性が高く持続可能なソリューションが提供できる。

この取り組みは、インドでのEVの普及を加速させ、排出ガスの削減に貢献し、この地域でよりクリーンで環境に優しいモビリティ・ソリューションを促進することができるとした。

特にヴァレオは、二輪車の更なる電動化市場の拡大に向けて、レアアース・フリー磁石モーターを採用した新世代の小型モビリティ用ジェネレーターを導入していきたい考えだ。

乗用車および商用車向けADAS(先進運転支援システム)と ARAS(先進ライダー支援システム)ソリューション

ヴァレオは、より安全なモビリティを世界中で促進するために、自らのADASの能力を磨いている。

電動化とADAS技術の開発に於いてAI主導のエンジニアリング、シミュレーションと検証が益々重要な役割を担う中、ヴァレオのチェンナイR&Dセンターは、世界各地の電動化とADASプログラム向けのソフトウェア開発、AIを活用したエンジニアリング、システム検証に大きく貢献しているという。

高度なエンジニアリングとデジタル能力に注力しているチェンナイのチームは、安全で持続可能、かつアフォーダブルなモビリティ・ソリューションを大規模に提供するというヴァレオの目標を支えているとした。

なかでもグジャラート州にあるヴァレオのサナンド工場は、ADAS製品への需要の高まりに対応するため事業を大きく拡大させてきた。

現在、同事業ではインド国内の主要なOEMメーカーに超音波センサーを供給。今回の事業拡張に伴い、ヴァレオは新たにカメラの生産ラインを導入し、2026年中旬までに生産を開始する予定。

この投資は、ヴァレオの現地でのADAS製造のフットプリントを強化するものであり、進化し続けるインド自動車市場のニーズに合わせて、拡張性の高い先進的な安全ソリューションを提供する能力をより強固なものにするとしている。

二輪・三輪車:ライダーの保護を強化へ動く

ヴァレオは、持続可能なモビリティ・ソリューションの採用を加速し、安全性を向上させるために、電動化ソリューションと二輪車向け先進ライダー支援システム(ARAS)を展開している。

2026年1月に米・ラスベガスで開催されたCES 2026で、ヴァレオは世界最大のオートバイ・スクーターメーカーであるHero MotoCorpとの先進ライダー支援システムに関する戦略的パートナーシップを発表した。

ヴァレオのレーダーおよびスマートカメラ技術を、Heroの現地の交通事情に対する深い知見と組み合わせることで、これらのイノベーションは交通事故を減らし、ライディング体験を向上し、二輪車の安全に向けた新たなグローバル・スタンダードを確立することを目指しているという。

ライダーと歩行者の双方を保護するために、すでに幾つかの概念実証モデルの開発に成功していると謳っている。

R&D領域に於けるテクノロジーとAI技術

ヴァレオは、バリューチェーン全体での効率向上、イノベーションの加速、コストとリードタイムの削減を目指し、研究開発活動のあらゆる場面で人工知能(AI)の活用を推進している。

インドにあるヴァレオのR&Dセンターは、グループの全事業でのグローバルなイノベーション・プログラムで重要な役割を担っているとした。

チェンナイのヴァレオ・グループ・テクニカルセンターは、バンガロールのサテライトセンターと共に、3,300人以上のトップレベルのエンジニアが集結する研究・開発・イノベーションの中核拠点として機能。また、ヴァレオは最先端のラボを拡張し、試験と検証能力において自社完結できる体制を整えているとしている。

自動車からデータセンター冷却など、新たな展開へ

ヴァレオはまた、戦略的パートナーシップを通じてAIとR&Dのエコシステムを強化した。

この一例が、2CRSi社と開発したエッジデータセンター向けの革新的でエネルギー効率の高い液浸冷却ソリューションという。

2025年11月に始まったこの共同開発のフォーカスは、過酷な屋外環境にも耐えうるように設計された「自律型液浸冷却エッジコンピューティング・ソリューション」で、この技術の主なユースケースはインドでの5G展開の支援であり、ヴァレオはサーバーに不可欠な筐体とサーマルマネジメントを提供している。