日野自動車、大型FCトラック「日野プロフィア Z FCV」を新発売

水素社会実現への大きな一歩となる国内初の量産モデル

日野自動車( 本社:東京都日野市、社長:小木曽聡 )は9月17日、カーボンニュートラルと水素社会の実現に貢献すべく、環境性能と実用性を両立した国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「日野プロフィア Z FCV」を10月24日に発売する。

予てより日野は、カーボンニュートラルの実現に向け走行中CO2排出量の大幅削減を掲げており、国内貨物自動車全体のCO2排出量の約6割を占める大型トラック( 2023年国内貨物車保有台数、日野調べ )の環境性能向上が課題のひとつとなっている。

上記を踏まえて商用車の電動化に於いては、高い環境性能はもちろんのこと、事業に使う車両としての実用性との両立が求められるため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレインを採用していくことが重要となる。

日野はこうした取り組みに際して「マルチパスウェイ」の方針に基づき取り組んでおり、幹線輸送に使われる大型トラックには、十分な航続距離と積載量、そして短時間での燃料供給が求められるため、水素を燃料として発電する燃料電池車の有効さに着目した。

そこで2023年に「日野プロフィア Z FCV」の走行実証車を製作し、パートナーであるアサヒグループジャパン、西濃運輸、トヨタ自動車、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸と共に、各社の物流業務で使用しながら、走行距離のべ40万kmを超える実績を重ねてきた。

今回、発表した「日野プロフィア Z FCV」は、日野の大型トラック「日野プロフィア」をベースにトヨタ自動車と日野が共同開発して、大型トラックに求められる耐久性と信頼性を確保すると共に、シャシは燃料電池車に最適なパッケージングを専用設計した上で荷台スペースと積載量の最大化を図った。

パワートレインにはトヨタ「MIRAI」に採用しているFCスタックをベースに大型商用車向けに改良したものを2基搭載し、日野の大型車・電動車技術と走行制御を導入した。水素充填時間15~30分で、幹線輸送に実用的な航続距離650km※(日野社内測定値)を確保した。

なお、車両生産ではFCの普及期を見据えて、量産工場である古河工場( 茨城県古河市 )のディーゼル車と同じラインで混流生産していく。また販売では当面、フルメンテナンスリースでの提供となる見込み。

このフルメンテナンスリースであれば、電動車導入時や月々のお支払いが明瞭である他、メンテナンスの行き届いた電動車の安定的な稼働によって顧客のビジネスに貢献できるものと考えているとした。

加えて当面の販売活動に於いては「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」を中心に販売していく構えという。この重点地域としては、東北( 福島県 )、関東( 東京都及び神奈川県 )、中部( 愛知県 )、近畿( 兵庫県 )、九州( 福岡県 )となる。

これらの地域は、官民一体となって先行的な燃料電池商用車の需要創出及び周辺需要の喚起を図っていく地域としており、同地域は、経済産業省による燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域でもある。

最後に日野では、「国内初となる燃料電池大型トラックの量産モデルの市販化を通じて、カーボンニュートラルと水素社会実現に貢献し、お客様・社会の課題を解決し、持続可能な社会の実現を目指します」と語っている。

 

車両諸元
車両タイプ:高床3軸 大型FCEV
パワーユニット:トヨタFCスタック( 固体高分子形 )
モーター:交流同期電動機
駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー
全長/全幅/全高:11,990/2,490/3,780 mm
車両総重量:25t
乗車定員:2名
燃料:高圧水素( 70MPa )
タンク:高圧水素タンク( 6基 )、搭載水素量 50kg
航続距離:650km
架装バリエーション:ドライバン/ウイングバン(トランテックス製)/室内長:約8,900mm / 積載量:約11,600kg(ドライバン)*架装により室内長・積載量は異なる。

 
 




 
 

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