自動車業界で出稿が多かったのは、あのスーパーハイトワゴン
TV視聴データ調査のREVISIO(リビジオ・旧TVISION INSIGHTS/所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:郡谷 康士)は7月10日、 自動車業界のテレビCMを対象とした分析「自動車業界レポート」を公表した。
同社前身の旧社名TVISION INSIGHTSは、米ボストン発のスタートアップ。同社はXbox One Kinectの人体認識センサーと、独自の機械学習アルゴリズムによって、いつ、誰が、どんな表情で、どんな態度でテレビを見ているかを測り視聴効果を数値化する技術で、かつてMicrosoft Innovation Award 2015で最優秀賞を受賞した実績を持つ。
近年は、テレビCMの効果検証ツール「Telescope」、テレビCM検索・分析ツール「RE.Search」を刷新。家庭のテレビに設置した人体認識技術搭載のセンサーを使って1秒単位でアテンションデータ(注視データ)を自動計測できるSaaSツール「REVISIO One」を展開。TVCMのブラックボックスを解明し評価・改善する伴走支援をキーワードで事業展開を重ねている。
さてそんなREVISIOが、今ランキングを作成。その集計対象となった自動車業界の企業・ブランド数は、全部で54社160ブランド。(2024/01/01〜2024/12/01の間に放送されたCM、業界はREVISIOの基準に準拠)その中で、出稿量TOP30の車種は以下の通り。
同ランキングによって自動車メーカーを販売を拡大させたい、梃子入れしたい車種が見える。また同社によると、この出稿量ランキングから各社の広告戦略の違いが読み取れるともいう。
例えば、ランキング上位に4車種が入ったホンダは、軽スーパーハイトワゴンの「N-BOX」、新型SUVの「WR-V」「ZR-V」、コンパクトミニバンの「フリード」と、ライフステージに対応する幅広いラインナップをCMで網羅的に訴求していることが分かる。
一方、SUBARUは走行性能に定評のある「レヴォーグ」とSUVの「クロストレック」に広告出稿が集中しており、「安全性能の高さ」や「アウトドアライフ」といった、特定の価値観を持つ顧客層へブランドイメージを強く訴えかける戦略が見て取れる。
こうした背景には、消費者ニーズの多様化がある。かつて重視された燃費や価格といった実用性に加え、現代では車を「個々のライフスタイルを表現する手段」として捉える傾向が強まっている。
例えば、「キャンプなどアウトドアで気兼ねなく使いたい」(三菱 デリカミニなど)、「上質な移動空間で快適に過ごしたい」(トヨタ クラウンなど)、「毎日の運転そのものを気軽に楽しみたい」(スズキ スイフトなど)、そういった具体的な利用シーンや価値観に寄り添う広告が目立つ。
各社が得意分野やブランド特性を明確にし、届けたい顧客層に向けてメッセージを重点的に発信している傾向がこのランキングから分かる。
<出稿順位上位ブランド>
1.ホンダ N-BOX (9,348 GRP)
軽自動車規格ながら広い室内空間と高い安全性能で知られる。2011年に初代が発売されて以来、ファミリー層を中心に幅広い支持を集め、国内の軽自動車販売台数ランキングでは常に上位を維持しており、今後もそれを維持するべくCM展開を重ねている。
2.トヨタ クラウン (7,929 GRP)
1955年の初代登場から70年、日本の高級車市場を象徴するブランドのひとつ。2022年に発表された16代目では、セダンに加えクロスオーバーなど多様なスタイルを展開し、新たな顧客層の獲得を目指す。
3.ホンダ WR-V (7,441 GRP)
2024年3月に日本で販売が開始された、力強いデザインが特徴のコンパクトSUV。発売から約1ヶ月で月間販売計画の4倍を超える受注を記録するなど、人気を博しており、更なる顧客獲得を目指している。
4.ホンダ ZR-V (7,308 GRP)
流麗なデザインと、独自のハイブリッド技術「e:HEV」による静粛性や燃費性能を特徴とするSUV。2023年4月に販売が開始され、上質さを求めるユーザーからの支持を得たい取り組みを展開している。
5.SUBARU レヴォーグ (6,905 GRP)
スポーティな走行性能とステーションワゴンの実用性を両立させたモデル。2014年に初代が発売され、現行の2代目は2020年から販売されている。独自のAWDシステムによる安定した走りを打ち出し、更なる消費市場でのシェア拡大を目指す。
「自動車業界の分析レポート」の詳細は以下URLの通り
*但しデータのダウンロードには企業情報等の提供が必要
https://attention.revisio.co.jp/l/1010172/2025-06-27/2xykf
今調査を実施したREVISIO(リビジオ)では、「業界のCMの中で、アテンションのスコアが高かったCMが視聴者にどのように見られていたのでしょうか。取り上げるのはカープレミアのCM〝未来は一緒につくるもの。」〟 15秒です。
このカープレミアの未来は一緒につくるもの篇は2024年の1月から4月にかけて放送されたCMです。
GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーらと香取慎吾さんが共演したCMで、出演者たちが荒野で力を合わせて車を押すシーンが印象的なCMです。
1秒単位のアテンションデータのCスコア(放送枠の平均的なCMの視られ方に対して、どの程度視られたかを評価する指標。時間帯や放送局の影響を極力排除したクリエイティブ評価ができる)で見ると、後半にかけてCMへの注目が高まっていく〝右肩上がり〟の波形をしており、視聴者の注目を効率的に獲得できていたといえます。
カープレミアの「未来は一緒につくるもの。」篇 Cスコアグラフ
そのアテンションポイントは、5秒目の〝おーい〟という呼びかけに視聴者の視線が引きつけられ、出演者たちが力を合わせて、一生懸命な表情で車を押していくシーンでアテンションが継続して上昇しました。
更に10~12秒目に〝未来は一緒につくるもの。〟というメッセージの表示とともに、香取さんが〝乗ってく?〟と言い、GENERATIONS が〝いくいく!〟と答えるシーンで最も高いスコアを記録しています。
結果、BGMが流れる中、出演者のセリフを最低限にしたことで、セリフが出た時に視聴者の注目を集めることに成功しました。
終盤の企業ロゴの部分では注視が下がったものの、その直前に注目を引きつけたため、比較的高いスコアで企業ロゴまでの注視の維持に成功したと言えます。
テレビCMを制作する際、多くの人が経験を頼りにすることも多いのではないでしょうか。このような制作方法では、パフォーマンスの再現性や確実性に不安が残ります。
REVISOでは、14万本以上のCMのアテンションデータを蓄積しているため、〝CMの視られる要素〟と〝視聴者に視られるためのCMづくり〟のノウハウを持っています。
そのノウハウを活用したCM制作をすることで、社内の理解が得やすくなったり、改善にも方針を持って取り組みやすくなります」と話している。
併せて同社は、CMクリエイティブの視聴もデータで可視化できる自社製品の「REVISIO One」が前述した1秒毎のアテンションデータをはじめCMの詳細のデータを見ることで、具体的な改善点の発掘に役立てることができることを以下で訴求してレポートを結んでいる。
・自社・他社問わず気になるCMの出稿情報(GRPやタイム・スポットの比率、スコアの推移など)を把握したい
・Cスコアが高いCMの出稿データを参考にしたい
・CMの具体的な改善点をデータから洗い出して次回に活用したい