コンチネンタル他5社、エリクソン、日産、ドコモ、OKI、クアルコム、車・通信・ITS業界の主要会社5社連携
独・自動車部品サプライヤー大手のコンチネンタルAG(本社:ドイツ・ハノーバー市、CEO:エルマー・デゲンハート、以下コンチネンタル)にエリクソン、日産自動車、NTTドコモ、沖電気工業、クアルコムを加えた5社が、5.8GHz帯を用いた日本初のセルラーV2Xの基本的な通信特性の実証実験に成功した。
ちなみにセルラーV2Xは、3GPPで自動車安全性の向上、自動運転、交通効率化を支えるV2X通信ソリューションとして規格化され、直接通信と基地局経由通信の2タイプの通信方式がある。
セルラーV2Xはカメラ、レーダーといった先進運転者支援システムセンサーを補完するもの。セルラーV2X 直接通信モードは3GPP Release14で仕様が規格化され、基地局を介さず5.9GHz等のスペクトラムバンドで低遅延のV2V、V2I、V2P通信を実現するものとなる。
基地局経由通信はV2Nサービスに広域通信を提供する。現在3GPPによる5G向けのセルラーV2Xの仕様策定が進められているところである。
これを踏まえた同実証実験では、車車間(V2V : Vehicle-to-Vehicle )、車と交通インフラ間(V2I: Vehicle-to-Infrastructure)、車と歩行者間(V2P: Vehicle-to-Pedestrians)の直接通信、また車とネットワーク(V2N :Vehicle-to-Network )の基地局経由通信といった車対X通信に於ける特性評価を目的に、セルラーV2Xの有効性を確認した。
これに参加したコンチネンタルは、「技術の信頼性・遅延特性に関わる強みは、リアルタイム通信を充分にサポートできると考えています。直接通信はモバイルネットワーク圏外のエリアでもV2V、V2I、V2Pを実現し、基地局経由通信においては、道路や交通状況を含むクラウドベースの広域での情報収集と配信をV2N通信により実現します」と話している。
なお実証実験自体は、日本国内のテストコースなど複数の実験場所で行われ、5種類のユースケース(追い越し禁止警告、急ブレーキ警告、ハザード警告、交差点通過アシスト、歩行者警告)を想定した走行試験を実施した。
これらのユースケースは、通信技術の基本的な特徴を検証するものとして選定され、V2V通信に限らず、V2I、V2P、V2N通信をさまざまな走行環境と走行速度のもと、実験を行った。
直接通信の実験では、最大時速110kmで走行する車両同士のすれ違い(大型トラックを含む)、車両間に遮蔽物が存在する環境等で基本的な通信性能を確認。その結果、中央値20ミリ秒の通信遅延、及び見通し環境で最大伝送距離1.2kmを達成、セルラーV2Xの有効性を確認した。
またドコモの商用LTE-Advanced (以下、LTE-A)網を用いた基地局経由通信では中央値50ミリ秒の通信遅延を達成した。
実験ではコンチネンタルが直接通信用のQualcomm® 9150チップセットを搭載した試験端末Qualcomm® 9150 C-V2X Reference Designを日産の試験車両に組み込んだ。
クアルコムと日産は、セルラーV2X技術の評価指標を含むテストシナリオの構築とV2Xユースケースの選定を実施。
OKIはITS関連インフラ導入実績を踏まえ、V2Iによる各種アプリケーションの適用可能性を検証するため、Qualcomm® 9150 C-V2X チップセットを用いて交通インフラとして設置するRSUを構築した。
エリクソンは直接通信技術とLTE-Aネットワーク技術を融合したV2Nユースケースを検討し、ドコモはLTE-A網とLTE-A網に閉域接続したV2Nアプリケーションサーバを提供し、通信を用いた車両のユースケースの実現に向け、直接通信と基地局経由通信が相互補完する関係にあることを確認した。これらの結果を基に、コンチネンタルはさらにセルラーV2X技術の開発を世界レベルで進めていく構えだという。
コンチネンタルのインフォテインメント&コネクティビティ事業部長のヨハン・ヒーブル氏(Johann Hiebl)は「今回の日本での実証実験でセルラーV2Xは車車間、車と交通インフラ間、車と他の交通参加者間で情報を速く、確実にやりとりするに適しているということがわかりました。
直接通信および基地局経由通信が車の視野を広げ、将来のコネクテッドでインテリジェントなモビリティに向けたクラウドサービスを可能にすることでしょう」と語っている。