米国内の交通事故、トヨタに瑕疵があるとし約267億円の賠償を命じる


2016年にレクサスES300が後続車両に追突されて2人の子供が負傷する事故があり、ダラス郡地方裁判所は、この事故についてトヨタ自動車が責務の一端を担っているとして2億4,210万ドル(約267億円)の損害賠償を支払うよう命じた。

The Law Offices of Frank L. Branson(フランクL.ブランソン法律事務所)のWebサイト
The Law Offices of Frank L. Branson(フランクL.ブランソン法律事務所)のWebサイト

これはフランクL.ブランソン(Frank L.Branson)法律事務所の公表により明らかになった。同事故は2016年9月24日、2002年型レクサスES300(日本流通名トヨタ・ウインダム)がダラスの北部中央高速道路を南下している際に、ホンダ製SUVのパイロットに追突されたもの。

この際、レクサスの後部座席のチャイルドーシートに座る3歳の男児と5歳の女児が、追突の衝撃で倒れた前席の影響を受け、頭蓋骨骨折及び外傷性脳損傷を負った。

上記事故について米国時間の2018年8月、車両欠陥を含む事案で裁判が行われ、同月7日にテキサス州ダラス郡地方裁判所は、トヨタ自動車並びにトヨタ販売店に対して2億4,210万ドルの損害賠償を支払うよう裁定を下した。

2002年型のレクサスES300。今事案の具体的な対象車種グレードとは異なる
2002年型のレクサスES300。今事案の具体的な対象車種グレードとは異なる

裁判自体は、この決定に至る前2週間に亘って、様々な証言が繰り広げられ、このなかで原告側に立ったフランクL.ブランソン法律事務所は、車両の設計上並びに構造上での問題を文書で明文化。

これを審議の材料に、前席が衝撃で倒れるという危険性ついてトヨタ自動車は以前から知っていた。同社は後部座席の乗客を犠牲にして、前席の乗員を保護する意図的な決定を結果的に行ったとし、同社は車両構造の瑕疵について、これを解決することに無関心であったと示唆した。

陪審員は、この訴えについて賠償判定を行うために8時間以上の審議を行い、結果、9人の男性陪審員と3人の女性陪審員は車両前席が衝撃を受けて倒れたことについて、トヨタ自動車傘下のレクサス並びにトヨタの販売店側がこの危険を前以て警告しなかったことについて重大な瑕疵があるとし、懲罰的損害賠償として1億4,400万ドル。

フランクL.ブランソン法律事務所が、今事案に際して公表したリリースページ
フランクL.ブランソン法律事務所が、今事案に際して公表したリリースページ

2人の子供に医療費・身体障害・精神的苦痛等で9,200万ドルを支払うべきと決議した。なお陪審員は、ホンダのSUVに乗っていたドライバーが賠償額の5%の責任を負い、残り95%はトヨタとトヨタの販売店に責任があるとした。

このダラス郡地方裁判所よる裁定に関して、トヨタ自動車・広報担当のエリック・ブース氏は「陪審員の決定を尊重する。ただ他方で、車両の設計や構造自体には欠陥はないと信じており、この事故特有の要因によるものだと確信している」と述べている。