トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男、以下トヨタ)は、2014年の豪州大陸、2015・2016年のアメリカ大陸に続き、今年3大陸目となる欧州で、8月下旬に、総計19,000kmにおよぶ“5大陸走破プロジェクト 第4弾”を開始する。
この“5大陸走破プロジェクト”は、TOYOTA GAZOO Racingの一環として、日本と現地事業体の従業員が自らステアリングを握り、現地の顧客が日常的に使用する道を走りながら「もっといいクルマづくり」を担う人材の育成を目的としている。
4年目となる今年は、自動車文化発祥の地であり、お客様のクルマに対する評価が厳しい欧州でもっといいクルマづくりに役立つヒントを探るほか、テストコースでは得られない走行データの収集・分析を強化し、いいクルマづくりにつながる仕組みづくりを目指す。
今後、東京オリンピック・パラリンピックの開催される2020年をマイルストーンとし、継続的な活動を実施していく。
豊田社長コメント
「もっといいクルマをつくろうよ」私が、社内の皆に呼びかけ続けている言葉です。
社長に就任して以来、口に出し続けている言葉ですが、その想いに至ったのは、私に運転を教えてくださった当社のマスタードライバーであった故成瀬弘から「道がクルマをつくる」という言葉の意味を幾度も教わり、それを実践しようとしてきたからだと思います。
“道がクルマをつくる”…、それを実践し“もっといいクルマをつくる”ためにエンジニアではない私に何が出来るだろう?と考えた時、その答えは「自らハンドルを握り、様々なクルマ、様々な道と会話をすること」以外にないと至りました。
そうして、エンジニアとも同じ感覚、同じ言語で話し、開発の最後の最後の瞬間まで議論し尽くすことが、「もっといいクルマ」に近づけていける私なりの方法であると思っています。
その考えのもと従業員と一緒に続けてきた活動が、ニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦でした。
レースでは、ドライバー、メカニック、エンジニアが一台のクルマを囲み、クルマを走らせてドライバーが感じた違和感を、次は、いかに気持ちよく、安心して、そして強く、速く、走らせられるか…
最後の最後まで知恵を絞り合います。
それは開発段階だけでなく、レース中にトラブルが起きた時も同じです。
限られた時間の中で解決策を見出し、限られた道具だけで直し、再び、ドライバーに命懸けのレースに戻ってもらう…
こうしたことの繰り返しの中で、鍛えられ成長を遂げていくメンバーを何人も見てきました。
“道がクルマをつくる”を言い換えれば、“道がヒトを鍛え、ヒトがクルマをつくる”ということだと思います。
しかし、このような体験ができる従業員は数が限られます。
同じことは出来なくとも、少しでも多くの従業員に、“道がクルマをつくる”を体験してもらいたいとの想いで始めたのが「5大陸走破プロジェクト」です。
ドライバーが走りやすいレースカーは、実際の戦いの道の上でこそ、本当に強いクルマになっていきました。
お客様にお届けするクルマも同じです。
テストコースだけでは“もっといいクルマ”はつくれません。
現地現物で、お客様の使われる道を自ら走り、現地の文化や気候の中でクルマと向き合いながらクルマを感じるセンサーを磨く…、そして、テストコースの上にきても、実際に現地の道をお客様が走っている感覚を頭にイメージしながら走り、感じる…
そうすることで“もっといいクルマ”に繋げていけると考えています。
豪州、北米、南米の大陸を走り終え帰ってきたメンバーからも、そうした声を聞くことができ、“もっといいクルマをつくるためのガッツ”などを感じ、クルマ屋としての魂を一層輝かせて帰ってきてくれたように思います。
また、日本での日常から離れ、異なる文化の人々と生活を共にし、時には厳しい自然環境の中で仲間とクルマを走らせ続けるという過酷な日々を過ごした彼らは、一人の人間としても更なる成長を遂げてくれました。そんな彼らを本当に頼もしく思います。
本年は、欧州大陸に130人のメンバーが挑みます。
欧州はクルマ発祥の地であり、先輩ともいえる数々のカーメーカーがクルマづくりの力を培ってきた土地です。その道に向かうメンバーには、様々な学びを得て戻ってきてくれることを期待しています。
過去3年間の取り組みで、様々な道を走ってきたメンバー、そして私も含め、このメンバー達と、トヨタのもっといいクルマづくりを更に進めてまいりたいと思います。