横浜ゴム、タイヤのエアロダイナミクス技術をさらに進化


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車の空気抵抗低減に加え、車両のリフト(浮き上がり)抑制に貢献

横浜ゴム株式会社(本社:東京都港区新橋、代表取締役社長:野地彦旬、以下、横浜ゴム)は10月15日、走行時のタイヤ周辺の空気の流れをコントロールするタイヤのエアロダイナミクス技術を進化させ、車の空気抵抗低減に加え、走行時に発生する車両のリフト(浮き上がり)抑制に貢献する技術を開発したと発表した。

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ノーマルタイヤ(左)と新形状エアロダイナミクスタイヤ(右)のイメージ

同技術を実用化することで、車の燃費性能を高めるとともに車体の安定性を向上するタイヤ開発が期待できる。

横浜ゴムは、転がり抵抗に次ぐ新たな環境対応技術として車の空気抵抗低減に着目し、2010年から空力シミュレーションを活用してエアロダイナミクス技術を研究している。

2012年12月にはタイヤハウス内における空気の流れを制御するためインサイド(車両装着時内側)のサイドウォールにフィン状突起を放射線状に配置した技術を発表した。

今回は車両全体の空気の流れを制御するために、フィンの形状を新たに開発し、配置方法も一新。タイヤのショルダー部に近いサイドウォールに、斜めに配置した。

また、このフィンをアウトサイド(車両装着時外側)のサイドウォールに配置すると、フィンがタイヤ上部では空気抵抗の低減に寄与し、下部では車両のリフト抑制に貢献することを突き止めた。

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ノーマルタイヤと新形状エアロダイナミクスタイヤのタイヤ周辺の空気の流れ (空力シミュレーションによる解析)。写真はノーマルタイヤの空気の流れのイメージ

さらに、東北大学流体科学研究所の大林茂教授らとともにスーパーコンピューター「京」を使って大規模な空力シミュレーションによるパラメータスタディ(求める結果に対するあるパラメータの影響をパラメータの値を段階的に変えた解析で調べる手法)を行った結果、空力的効果を高めるフィン配置に関する知見を得ることができた。

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新形状のエアロダイナミクスタイヤの空気の流れのイメージ。新形状エアロダイナミクスタイヤでは、タイヤ上部では空気がタイヤと車両に沿って流れるのに対し、下部では車両から広がるように流れる。

これまで横浜ゴムはエアロダイナミクス技術の成果として、タイヤ側面に小さな凹みを施したディンプルデザインや、内側のタイヤ側面にフィンを配置したタイヤなど車の燃費向上に貢献する技術を発表している。

今回の新たな成果により、今後はディンプルやフィンの形や配置を変えることで、燃費性能だけでなく様々な要求性能を満たすタイヤ設計技術の研究を進めていく。

なお、新形状のエアロダイナミクスタイヤは10月28日から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「第44回東京モーターショー2015」に参考出品する予定だ。