電動モビリティのシェアリング事業を国際展開しているライム( Lime / 本社:東京都港区、カントリー・マネージャー兼アジアパシフィック地域統括責任者:テリー・サイ )は4月11日、東京・大田区の新オフィスへ報道陣を募り記者発表会を開催。日本国内で初の〝ジオフェンシング技術〟を搭載したモビリティシェア事業を開始したことを明らかにした。
この、〝ジオフェンシング技術〟とは、米国に於いては2020年代初頭より導入されてきたもので、通信技術を使い特定の場所( 例えば、歩行者専用の歩道 )への進入時に注意を促したり、侵入を検知した時点で搭載モーターの駆動自体を止めてしまうなどで、特定エリアへの誤進入を防ぐための機能だ。
以下は余談だが、かつて米国や欧州に於いても、〝スーパーペデストリアン( Superpedestrian / マサチューセッツ州ケンブリッジ )〞が車載のソフトウエアAIで制御する仕組みを取り入れて、当地でも話題を呼んだ。
今回、ライムは電動モビリティの“首都高速道路への誤進入”をジオフェンシング技術により防止する取り組みに、この〝ジオフェンシング技術〟を利用した。
ライムのジオフェンシングは、GPS等の位置情報を用いて地図上に仮想的な境界線( ゾーン )を設定。車両がそのゾーンに進入した際に自動的に速度制限の制御を行う。
但し、歩道と車道の区分を正確に探知して歩道走行を制御することはできず、あくまでもゾーン単位での走行制御に活用する。
ライムでは同技術を活用し、サービス提供エリア、走行禁止エリア、減速エリア、進入禁止ゾーンなど、複数のゾーンを柔軟に設定。これによりシェアリング車両のユーザー操作を必要とせず、安全性を担保できる。
特に今回は、国内では初めて首都高速道路の一部入り口での誤進入防止を目的としたジオフェンシングの実運用を開始している。これは誤進入時のリスクが極めて高いとされるエリアで、ユーザーの判断や操作に依存せず、システムで予め安全性を確保するための仕組みとなる。
実運用では既に、代々木公園・明治神宮・皇居周辺などでの運用実績とGPSの精度の検証を進めており、今後は渋谷センター街など、より多くのエリアへ順次展開を予定しているという。
またこれに併せて、ビーコンを活用した駐車違反対策の導入も行われる。ビーコン設備は、東京都内の約50箇所に設置済みであり、2025年6月までに既存の全ポートへ展開予定だ。
ちなみにライムが高速道路への誤進入措置を取り入れた背景には、電動モビリティを取り巻く社会的課題と安全への期待がある。
特に都市部では交通渋滞や短距離移動手段の不足が深刻化している。一方で地方では人口減少や高齢化により交通サービスの維持が困難になりつつある。そうした背景から、環境負荷が低く柔軟な移動を可能にする新たなモビリティの普及が求められている。
しかし近年の電動モビリティの急速な普及に伴い、高速道路や公園等への誤進入行為が社会問題化しており、安全走行の徹底が急務となっている。
元々ライムでは、既に代々木公園や明治神宮、皇居周辺などでジオフェンシング制御を導入していたが、他社ユーザーの首都高速道路への誤進入に関する報道を受け、ユーザーの命に関わる重大なリスクであると認識し、繁華街近くの一部料金所から試験導入を開始した。
なお、ジオフェンシング技術はGPSの特性上、精度の限界もあるため、今後も警視庁や首都高速道路株式会社の助言を得ながら、慎重に効果検証を行い、安全が確認されたエリアを選んだ順次導入・拡大していくとしている。
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ジオフェンシング制御のより詳細は以下の通り
・ジオフェンシング制御について:GPS連動で仮想的な進入禁止ゾーンを設定し、自動的に速度抑制や停止を行う機能。
・ジオフェンシング制御導入箇所:
<東京エリア>
‐ 明治神宮、代々木公園、皇居周辺、新宿御苑
‐ 首都高速道路:渋谷(上り)・新宿・池袋の3カ所
・今後:渋谷センター街などについても精度を確認しながら、順次導入予定。
<沖縄エリア>
‐ 那覇市パレット久茂地
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ビーコンを活用した駐車違反対策について
ライムでは新たにポートにビーコンを設置し、ポートの3m以内に車両を返却しないとアプリ上で利用終了できない仕組みを導入している。これにより指定エリア外への駐車を防止し、都市環境や歩行者への安全配慮を強化した。
ビーコン制御の概要
・ ビーコン対策について:
ポート周辺に設置したビーコンによって正確な返却位置を検知し、不正駐車を防止。
・東京都内でのビーコン設置状況:2025年4月時点で約50箇所のポートに導入済み
・今後の予定:2025年6月までに既存ポートすべてに導入予定。また今後新設するポートもすべてビーコン導入へ
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こうした取り組みについてライムで日本政府渉外責任者を務める井上祐輔氏は、「私たちLimeは、電動マイクロモビリティが新たな公共交通手段として安全に定着し、カーボンフリーかつサステナブルな未来が実現されることを目指しております。
昨今、モビリティの安全性への社会的な関心が高まっておりますが、Limeでは今回の取り組みなどを通じて、安全性の確保をユーザー任せにするのではなく、事故や違反を未然に防ぐため、利用可能なテクノロジーを最大限活用するとともに、企業としての責任を果たしながら、安心で安全な移動環境の構築に貢献してまいります」と説明している。
記者発表会会場のLime新オフィス前で:左より井上 祐輔(Lime 日本政府渉外責任者)テリー・サイ(Lime カントリーマネージャー兼 アジア太平洋地域統括責任者)
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Lime(ライム)サービス概要
電動マイクロモビリティのシェアリングサービスのライムは、街中に設置されたポート(駐輪場)にある電動マイクロモビリティを、専用のアプリから予約して乗車し、目的地の近くにあるポートに返すことができるシェアリングサービス。
Limeのポートであればどこでも返却が可能。2024年8月より日本で電動モビリティシェアサービスを開始し、立ち乗り用の「電動キックボード」と座り乗り用の「電動シートボード」の2種類の車両を提供している。
<アプリのダウンロード>
Apple Store:
https://apps.apple.com/jp/app/lime-ridegreen/id1199780189
Google Play:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.limebike&hl=ja&pli=1
<利用料金>
・基本料金 0円+最初の15分が90円、それ以降1分あたり20円が加算
例:15分の利用なら90円(従来価格では550円)、30分の利用なら390円(従来価格では1,000円)
※「ヘルメットセルフィ」機能を通じてヘルメット着用が確認できた場合、都度の通常料金から10%割引で乗車できる(LimePassは対象外)。
<利用前の説明事項>
・乗車する場合、必ずアプリから安全教育を受講する必要がある。その上で事前テストを受け、全問正解して初めて乗車可能となる。
・自賠責保険と対物・対人賠償事故を補償する自動車保険を導入、利用者が万が一事故に遭った際の補償を確保した。
Limeの安全・安心への取り組み
Limeは、最先端の技術、安全教育の充実、ライダーへのインセンティブ制度を組み合わせることで、世界最高水準の安全性と信頼性を誇るマイクロモビリティサービスを実現した。グローバル展開を強みに累計3億回以上の全世界の利用データを活用し、各地域の規制やデータを基に独自設計・開発を行い、随時アップグレードなどの取り組みを重ねている。
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社名:Lime株式会社
所在:東京都港区虎ノ門4丁目3番1号
城山トラストタワー9階
東京赤坂法律事務所・外国法共同事務所内
代表:テリー・サイ
事業:電動モビリティのシェアリングサービス
設立:2019年8月15日
HP:https://www.li.me/ja-jp/