イスラエル関連イベントに日産取締役の志賀氏が登壇


「ジャパン・イスラエル・イノベーションサミット2018」で国内外の起業家や投資家がモビリティの未来を語る

日本能率協会とイスラエルと日本をつなぐコンサルティング企業のミリオンステップスは11月27日、国内外の起業家や大企業を招き、モビリティの未来を考える「ジャパン・イスラエル・イノベーションサミット2018」を開催した。

ゼネラルモーターズ研究開発部門のディレクター ギル・ゴラン氏
ゼネラルモーターズ研究開発部門のディレクター ギル・ゴラン氏

このイベントにはトヨタの次世代戦略を担うジム・アドラー氏や日産自動車取締役の志賀俊之氏、ゼネラルモーターズ研究開発部門のディレクター ギル・ゴラン氏、インテルが1兆7,200億円で買収したモービルアイ日本法人CEO川原昌太郎氏。

森ビルと提携したVia(ヴィア)CTO オーレン・ショーバル氏、同国最大のVC創業者ヘミ・ペレス氏といったモビリティ関連のリーダー達が登壇した。

日産自動車株式会社取締役、株式会社INCJ 代表取締役会長 志賀俊之氏
日産自動車株式会社取締役、株式会社INCJ 代表取締役会長 志賀俊之氏

まず基調講演では、日産自動車の取締役でINCJの代表取締役会長でもある志賀俊之氏が、モビリティの進化とオープンイノベーションに触れ「将来、コネクテッドカーが一般的になった時、様々なテクノロジーが必要になる。

イスラエルにはサイバーセキュリティー、画像認識といった技術を持ったスタートアップが存在し、それらは自動車メーカーにとって新しい投資の対象となりつつある。

そうしたなか日本企業は、自前主義を脱してリスクをとり、グローバルトップを目指す行動をするべきだ」と語り、モビリティ分野の日本とイスラエル間の協業の活性化を求めた。

Pitango Venture Capital 共同創業者 ヘミ・ペレス氏
Pitango Venture Capital 共同創業者 ヘミ・ペレス氏

続いてイスラエルのスタートアップを知り尽くした同国最大VC「Pitango Venture Capital」の共同創業者のヘミ・ペレス氏が登壇しスマートモビリティとイスラエルの歩みを語った。「イスラエルという国では、かつて自動車分野でのイノベーションが起きたことはありませんでした。

しかしイスラエルの自動車技術関連のスタートアップは、急成長を遂げています。それはグローバルなパートナーがアイデアを求めてイスラエルにやってくるからです」と話し、日本企業が協業するべき価値を強調した。

基調講演に続く事例紹介では、GMの研究開発ディレクター、ギル・ゴラン氏、メルセデスベンツバンと提携しライドシェアサービスを展開するVia(ヴィア)のCTOオーレン・ショーバル氏。

写真右から日本経済新聞社関口和一氏、ヴィアCTOオーレン・ショーバル氏、Toyota AI Ventures マネージングディレクター ジム・アドラー氏、GM研究開発ディレクター、ギル・ゴラン氏、日産自動車株式会社取締役、株式会社INCJ 代表取締役会長志賀俊之氏、Pitango Venture Capital 共同創業者 ヘミ・ペレス氏
写真右から日本経済新聞社関口和一氏、ヴィアCTOオーレン・ショーバル氏、Toyota AI Ventures マネージングディレクター ジム・アドラー氏、GM研究開発ディレクター、ギル・ゴラン氏、日産自動車株式会社取締役、株式会社INCJ 代表取締役会長志賀俊之氏、Pitango Venture Capital 共同創業者 ヘミ・ペレス氏

トヨタが昨年立ち上げたToyota AI Venturesのジム・アドラー氏がプレゼンテーションを行った。いずれも人工知能、ロボティクス、データといった様々な分野によるもので、それらがどのようにモビリティに影響を与えているのか、その実例が明らかになった。

プレゼンテーションに続き、ギル氏、オーレン氏、ジム氏、そして基調講演を行った志賀氏、ヘミ氏を迎え、パネルディスカッションが行われた。

モデレーターは、日本経済新聞社の編集委員、関口和一氏が務め、世界を股にかける多国籍企業於いてイノベーションがいかに生まれるかを探求する内容となった。

Toyota AI Ventures マネージングディレクター ジム・アドラー氏
Toyota AI Ventures マネージングディレクター ジム・アドラー氏

具体的には「グーグルのようなIT業界に自動車業界はどう対応すればいいのか?」という関口氏の問いに、ジム氏は「ハードウェア製造や安全という価値を重要視する自動車会社のカルチャーを変える必要があると思います。

例えばAIの開発のために必要なデータが社内にあっても、それに価値があると気付くためには、IT業界のカルチャーを学ばなければならない」と語った。また日産、GM、トヨタという大企業の経験をもとにした議論からは、オープンイノベーションにより外部の技術・文化を日本に取り入れる必要性が強調されていた。

大企業がモビリティにもたらす変革について活発な議論が行われた午前を経て、午後からはイスラエルから来日したスタートアップ7社がピッチセッションを繰り広げた。

それらはIntuition Robotics(車内コンパニオンロボット)、Nexar(AIドライブレコーダー)、Guardian Optical Technologies(車内向け視覚センサー)Valens(車を繋ぐネットワーク技術)、Autotalks(自律走行車の相互通信ソリューション)、Karamba Security(自動車サイバーセキュリティー)、Vayyar(電波3Dセンサー)といった多様な分野のプレイヤー達でそれぞれの独自のスタイルで自らの技術をアピールした。

 

Via 共同創業者 兼CTO オーレン・ショーバル氏
Via 共同創業者 兼CTO オーレン・ショーバル氏

その後、モデレーターに慶應義塾大学准教授の琴坂将広氏を迎え「イスラエルへの道」をテーマに2つのパネルセッションが行われた。

まず「日本企業のイスラエル進出」と題されたセッションでは、インテルが買収したイスラエル企業モービルアイの日本支社代表を務める川原昌太郎氏。

イスラエルでの起業経験をもつカプリンスキー真紀氏、日産自動車でテクノロジーを研究する久村春芳氏が登壇。かつては交流があまり行われていなかった両国間の相互理解を促し、距離を解消する方法について意見が交換された。

そして最後に行われたのは、 イスラエルとのコラボレーションをすでに行っている日本企業が集まった「イスラエルへの入り口」と題されたセッション。

半導体を手掛けイスラエルへの投資実績のある株式会社メガチップスの代表取締役社長の高田明氏と、SOMPOホールディングスがイスラエルで手がけるデジタル戦略拠点からイノン・ドレヴ氏の他、投資家のヘミ・ペレス氏が登壇。実例を交えながら、イスラエル企業とのコラボレーションの初段や可能か語られた。

結果、会場では9時間弱に渡り、登壇者のプレゼンテーション、ディスカッションが行われ、自律走行車やライドシェアの登場により激変するモビリティの未来に関する議論が展開された。

【開催概要】
名称:Japan-Israel Innovation Summit 2018 Future Mobility  
日時: 11月27日(火)9:40 ~ 18:00
主催:一般社団法人日本能率協会、ミリオンステップス
イベントパートナー:新日鉄興和不動産
場所:赤坂インターシティコンファレンス