日立オートモティブシステムズ株式会社(本社:東京都千代田区大手町、本店:茨城県ひたちなか市、社長執行役員&CEO:関 秀明、以下、日立オートモティブシステムズ)は、出力密度1.25倍並びに、エネルギー密度1.5倍としたマイルド・ハイブリッド車向け48Vリチウムイオン電池パックを開発した。
今後、自動車メーカーへのサンプル供給を開始し、2019年度から量産を開始する。
近年、電池とモーターのパワーを使用してガソリンエンジンによる走行をアシストするマイルド・ハイブリッドシステムが燃費改善技術として注目されている。
マイルド・ハイブリッド車両の生産台数は、グローバルで2016年の約45万台から2023年には1280万台を越えると予想されており、特に欧州や中国では、比較的安価で燃費を改善できる技術として48Vリチウムイオン電池によるマイルド・ハイブリッドシステムが急速に普及すると見込まれている。
日立オートモティブシステムズでは、こうした動向を踏まえ、従来から得意としてきたハイブリッド車両向けリチウムイオン電池セルの製造技術と、バッテリー・マネージメント・システム(BMS)技術を結集し、2016年3月にマイルド・ハイブリッド車両向け48Vリチウムイオン電池パックを開発した。
電池は、リチウムイオンが電極の材料に出入りすることで充放電する。このため電池の出力密度を高める方法として、これまではセルの電極の膜厚を薄くして抵抗を減らすことが一般的だった。
しかし、この方式では出力密度が高まる代わりに、蓄えられるエネルギーが減ってしまうという課題があった。
そこで新しいリチウムイオン電池パックは、セルの電極の構造をミクロンレベルで改良し、リチウムイオンが流れやすい構造にすることで、薄くしなくても抵抗を低減し、出力密度を高めた。
さらに正極、負極それぞれの材料組成を改良し、単位重量あたりに蓄えられるリチウム量を増加させることでエネルギー密度を高めた。結果、従来比1.25倍の出力密度と、1.5倍のエネルギー密度を同時に実現た。
また電池セルの内部抵抗を抑え、発熱量を低減したことに加えて、リチウムイオン電池パックの筐体に熱伝導性や放熱性の高い金属を採用したことにより冷却用ファンを不要にして設置の自由度と静粛性の向上を図った。
これらの施策により、モーターの最大出力は12kW以上を実現。最大入力も15kW以上を実現し、急減速時に生じる瞬間的に大きな回生エネルギーも回収可能とし、エネルギーの損失も低減している。
なお、この製品の開発と販売は日立オートモティブシステムズが担当し、製造は自動車用リチウムイオン電池の製造会社である日立ビークルエナジー株式会社(取締役社長:根本 泰弘)が担う。
会社概要
日立オートモティブシステムズ株式会社
本 社: 東京都千代田区大手町二丁目2番1号 新大手町ビル
事業内容: 自動車部品および産業用機械器具・システムの開発、製造、販売およびサービス
日立ビークルエナジー株式会社
本 社: 茨城県ひたちなか市稲田1410番地
事業内容: ハイブリッド電気自動車用などのリチウムイオン電池の製造