デンソー、国交省方針を受けドローンによる橋梁点検事業を始動


株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:有馬 浩二)は、デンソーが開発した産業用UAV(無人航空機、Unmanned Aerial Vehicle)を活用した橋梁点検サービス事業を2019年10月から開始する。

デンソーは2016年に、可変ピッチプロペラを搭載した産業用UAVであるいわゆるドローンを開発した。同機は、羽根の角度を変化させる可変ピッチプロペラを搭載して強風でも飛行できる耐風性と、橋梁に近接し定位の姿勢を維持できる安定性を持っている。

同社では2017年以降に、こうしたUAVを用いた橋梁の撮影、AI(人工知能)を活用した撮影画像の解析の実証を積み重ね、機体性能と画像解析技術の向上に取り組んできた。

テンソーがこのような技術開発を進めてきた理由は、橋梁点検を担う建設土木業界で現在、インフラの老朽化や、少子高齢化の進展による労働力不足が課題となっているため。

実際、国土交通省は2019年3月に「橋梁定期点検要領」を改定。この結果、近接目視点検をロボット技術で補完・代替できる環境が整ったことで、同機のようなロボットを活用した橋梁点検の効率化に期待が集まっている。

これを受けてデンソーは、これまで近接で目視点検が行われていた橋梁点検の一部をUAVでの撮影に代替し、撮影画像の解析、調書作成までを一貫して支援する橋梁点検サービスを開始する。

具体的には、目視点検の際にロープなどの昇降器具を用いて点検士が橋梁へアクセスする危険な作業の低減、橋梁点検車による道路交通規制に伴う渋滞の軽減に貢献するとしている。

またデンソー独自の損傷AI解析システムを活用し、UAVで撮影した膨大な量の写真の中から橋梁の損傷箇所を自動で検出し、橋梁の図面上に損傷図を作成することができるため、損傷個所の正確な把握が可能になるともいう。

デンソーでは「これからも自動車分野で培ったエレクトロニクス技術やロボットシステム技術を活用して、安心・安全な社会に貢献できる製品やシステム、ソリューションを開発・提供していきます」と話している。

デンソーUAV機体諸元
– 機体サイズ(㎜) 1500×1500×525
– ペイロード(有効搭載量) 2.0kg
– 飛行時間 15分