公正取引委員会( 公取委 )は2026年2月、日野自動車( 日野/本社:東京都日野市、代表取締役社長:小木曽聡 )と三菱ふそうトラック・バス( ふそう・MFTBC / 本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長・CEO:カール・デッペン )の経営統合を、スウェーデンの商用車大手・スカニア車の販売とアフターサービス支援などを条件に承認する姿勢を示した。
これを受け、日野とふそうは公取委の監視の下、スカニアジャパン( 本社:東京都港区、代表取締役社長:アラン・スーダン )へ公正な競争環境を維持するための措置を提案して3社協議を開始。2026年2月18日付で基本合意書(MOU)を締結した。
ちなみに今経営統合を踏まえた公取委の診査で浮上した懸念は大きく6つ。
それは日野・ふそうの経営統合で誕生する新会社ARCHION( アーチオン )へ出資するトヨタ自動車とダイムラー・トラックAGによる出資構造の成り立ちに係る要素。
また上記に組み合わせて車両生産・販売に係る市場シェアに於いて、(1)大型トラック、(2)中型トラック、(3)小型トラック、(4)大型観光バス、(5)大型路線バス、(6)小型観光バスの個々6市場に於ける競争・占有に係る競争制限に関わる検討要素があった。
(1)上記スカニアが関連する大型トラックでは、日本国内市場に於いて日野・ふそうの統合後の市場シェアは45%となり(競合する大手いすゞグループが存在するため)、競争圧力は限定的であるももの、協調的行動(共通の目標達成に向けて両社が役割分担を担うなど)による競争制限が生まれうるとした。
なかでもフォルクスワーゲンの商用車部門TRATON(トレイトンSE)傘下のスカニアに対しては、同社を有力な競争相手とするべく日野・ふそうの統合会社は、スカニアの販売・アフターサービスを支援するべきとした。
そのため同目的を果たすべく、日野、ふそう、スカニアは上記に係る基本合意を締結。
これについてスカニアジャパン代表取締役社長のアラン・スーダン氏は、「私たちは、既存のすべてのお客様に対するサービスの範囲と品質を向上させるため、投資を行っています。また、日本全国の新たな潜在顧客の皆様へアプローチできるよう、ネットワーク拡大への投資も継続してまいります。
今回のMOU締結と、公正取引委員会による継続的なモニタリングにより、スカニアジャパンはすべての運送事業者様および関連企業様に対し、より地域に密着したタイムリーなプレミアムサービスをお届けできる体制構築を目指します。
この新たな展開の一環として、金融サービスにおいても新たなパートナーシップの構築を検討しております。さらに、2027年4月には、サービス能力を拡充し、車検センターを併設した当社直営ディーラーの新店を大阪に設立する予定です」と基本合意に係るコメントを公開している。
(2)次いで中型トラックでは、日野・三菱ふそうの統合後の市場シェアは40%であるものの、ふそうは中型トラックの自社生産を終了し、日野からのOEMで販売を継続予定としている。
このことから、日野・ふそうのそれぞれの販売競争を確保するべく、両社の直営販売会社等が販売を行う地域に於いては片方を独立系販売会社とし、双方の販売会社の情報遮断を行うべきとした。
(3)小型トラックでは、日野・ふそうに加えて統合会社への出資企業のトヨタ自動車の小型トラック販売が加わり、都合60%の市場シェアとなり、協調的行動による競争制限が生まれうるとした。
従ってトヨタ自動車を独立した競争企業となるべく、日野・ふそうの統合会社への議決権を(出資率25%ながらも議決権を20%以下に)引き下げるべきとした。
(4)大型観光バス(スカニア関連)についても日野(シェア20%)・ふそう(シェア60%)の各々の単独行動+日野・ふそうによる協調的行動による競争制限のおそれがある。
このことから、日野・ふそうの統合会社は、スカニア車の生産(スカニア製エンジンを搭載したバス車体製造を受託する等)・スカニア車の販売・スカニア車のアフターサービスを支援するべきとした。
(5)大型路線バスでの日野・ふそうの統合シェアは40%であるが、日野・ふそう間の競争関係を確保するため新会社ARCHION(アーチオン)、日野、ふそうの3社の情報共有を遮断するべきとした。
最後の(6)小型観光バスでは、トヨタ自動車の車両販売を含めた日野・ふそうを包括した統合シェアは95〜100%に達する。
結果、協調的行動による競争制限が生まれうるため、トヨタを独立した競争者とするための措置(議決権の引き下げ、人事交流制限、情報遮断)を行うべきとした。
公正取引委員会は2月26日、以上の措置が講じられることにより、上記6分野での個々の競争を制限する状態にはならないと結んでいる。


