JFE、船舶・発電用大型アンモニア混焼エンジンを開発・商品化

混焼率50%超 脱炭素化に貢献する国内初の船舶・発電向け製品

JFEエンジニアリング(本社:東京都千代田区、社長:福田一美)は11月20日、カーボンニュートラル燃料であるアンモニアと重油との大型中速混焼エンジンの開発に国内で初めて成功し販売を開始した。

*写真は燃焼エンジン試験機

同社は、船舶用機器、発電設備で多数実績を有するEverllence France社(旧MAN Energy Solutions France社/本社:独・アウグスブルグ)4ストロークPCシリーズの最新機種S.E.M.T Pielstick PC2.6B CRディーゼルエンジンをベースにアンモニア混焼技術の開発を進めてきた。

3気筒試験機による重油とのアンモニア混焼実証試験を経て、今回、社会実装に於いて現実的なアンモニア50%混焼率(熱量比)を可能とした7MW超(出力は7.7MW~11.5MWまでカバー)の大型中速混焼エンジン商品化となった。

*アンモニア貯蔵・供給試験設備

同機はレトロフィット(既存の機器を新しい技術や部品で更新・改良することを指す)対応を開発コンセプトとしており、重油専焼機(PC2.6B CRコモンレール電子噴射燃料噴射仕様機をレトロフィット対応させた)として導入した場合でも、最小限の改造でアンモニア混焼機に転換することができる。

この開発コンセプトにより、納入時は重油専焼機として稼働させ、アンモニアの安定供給が可能となった時点でアンモニア混焼機に仕様転換が可能。またデュアルフューエルエンジンとして状況に合わせ運転モードをアンモニア混焼、重油専焼に切り替えることができるため、より柔軟な運用が可能となる。

ちなみにアンモニア燃料は、直接燃焼によりCO2削減が可能ではあるが、難燃性であるため未燃アンモニア(NH3)の低減、燃焼特性として生成する温暖化係数の高い一酸化窒素(N2O)の抑制、また燃料中に窒素に起因して発生する有害物質である窒素酸化物(NOx)の抑制、熱効率の向上が技術課題となっていた。

同社では数値解析によるアンモニア燃焼研究を実施し、実証試験ではその研究成果を反映させ、これらの課題の解決を目指し乗り越えた。

*PC2.6B CR 燃焼ベース機

*燃焼手法

また排ガス処理触媒を併用することにより、未燃アンモニアをほぼ排出させず、N2O、NOxも極小に抑えることに成功している。更には出力はディーゼル専焼時比で85%を実現し、ディーゼル専焼時と同等の熱効率を得ることができたという。

今回の開発の成功を踏まえ当初は、脱炭素化の手法が限られる離島発電所などの発電装置としての販売を行い、市場動向に合わせて舶用エンジンに必要な船級取得を計画し、船舶用・発電用両面での販売を予定している。

また今後も更にアンモニア混焼率を上げる実証試験を市場要望に併せて実施し、混焼率80%での商用化を視野に入れている。JFEエンジニアリングでは、「長年に渡るディーゼルエンジン、デュアルフューエルエンジン開発の知見を生かし、お客様のカーボンニュートラルへの取組みに大きく貢献してまいります」と結んでいる。

 
 




 
 

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