日産自動車、5月16日付けの役員体制刷新を発表


カルロス・ゴーン氏が2015年にトヨタから引き抜いたダニエレ・スキラッチ副社長は退任。ゴーンチルドレンが離脱へ

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は4月23日19時頃、5月16日付けの役員体制を発表した。今回の体制変更は、3月27日に開催した当社取締役会において報告されたガバナンス改善特別委員会の提言を踏まえ、同日の取締役会にて決議されたもの。

発表によると今体制については以下の点にフォーカスし、ガバナンスの改善・強化、事業の安定化を目指して経営体制の強化を図るものとしている。

1.ガバナンスの改善・強化を図るための推進体制を構築する。

2.新たにCOO(最高執行責任者)及びVice COO(副最高執行責任者)を選任し、通常のオペレーション業務の強化を図る。

3.グローバル事業において特に重要な地域(日本、北米、中国)を統括する役員を、当社の最高意思決定機関である、エグゼクティブ・コミッティ(EC)のメンバーに加える。

4.事業の安定化を当社の優先課題の一つと捉え、パフォーマンスリカバリー専任の役員を任命する。

また同社は、同発表に加えて5月15日付でグローバルマーケティング&セールス、ゼロ・エミッション ビークル、バッテリービジネス担当、日本・アジア・オセアニアマネジメントコミッティ議長である副社長のダニエレ・スキラッチ氏の退任についても発表した。

これはスキラッチ氏の故郷である欧州で、新たなキャリアを目指したいという本人の申し出によるものだという。

ちなみに同氏は2015年にトヨタ自動車の欧州法人で幹部を務めていたスキラッチ氏(当時50歳)を7月15日付でカルロス・ゴーン氏が副社長として迎え入れた。

同氏はイタリア生まれ。フランス語、英語、スペイン語に明るいため1993年にセールスマネジャーとして仏ルノー入社。その後の2001年に伊フィアットに転身しアルファロメオブランドを統括した。翌2002年にはトヨタ・モーター・ヨーロッパに入社。

トヨタ・モーター・ヨーロッパでは「レクサス」ブランドを含む営業とマーケティングを指揮するシニア・バイス・プレジデント兼チーフ・マーケティング・オフィサーを務めた。

当時、日産でのキャリアを持たずに直に同社のECメンバーになる人事は、この頃としては珍しいものだった。日産ではニッサンやダットサン、インフィニティの各ブランドの責任者を務めたが、同社では「これまで幅広い日産の事業において大きな成果をあげました」と記している。

以降の行く先については明らかではないが、先達の日産役員達と同じく、いずれは欧州企業の上層部の席に座ることになるのだろう。

西川 廣人CEOは「スキラッチ氏は、当社のEV事業の強化や『ニッサン インテリジェント モビリティ』の普及に尽力されたほか、自動運転や電動化、コネクテッド戦略を軸とした当社の中期的なビジョンの策定をリードされました。

また、e-POWERやプロパイロット技術の導入を成功に導き、日本事業における『ノート』や『セレナ』の販売に大きく貢献しました。これまでの多大な貢献に感謝するとともに、今後の益々の活躍を祈念しています」とのコメントを残している。

ちなみに日産に関わるトップ人事では、かつてゴーン氏の右腕として日産の再建に尽力し、ルノーCOO(最高執行責任者)となった後「いつかはCEOを目指したい」と公言していたカルロス・タバレス氏が、個人的理由で2013年8月に退任しPSAを率いることに。

翌2014年7月にインフィニティのトップだったヨハン・ダ・ネイシン氏が米GM(キャデラック部門統括)へと転身(同氏は本社上級副社長を務めた後、2018年に4月に退社)。

同2014年9月には当時のカルロス・ゴーン氏に次ぐナンバー2だったアンディ・パーマー氏(CPLO/チーフ・プランニング・オフィサー)が英アストンマーチンのトップに転身するなど、そもそも役員という職籍そのものが実力主義とは云え、腰が据わらない印象を感じさせ、招聘した上層部人事の入れ替えが長らく続いている。

執行役員の異動及び担当業務変更<氏名/新役職(現役職)・新担当・現担当>は以下の通り

氏名:山内 康裕/COO(CCO)
新担当:
・4マネジメントコミッティ 統括(日本、アジア・オセアニア、中国、関係会社)
・7部門 統括(グローバルマーケティング&セールス、グローバルアフターセールス、日産生産・SCM、日産R&D、グローバルEV、日産購買、グローバルデザイン)
(現担当):
・関係会社マネジメントコミッティ 統括
・3部門 統括(日産生産・SCM、日産R&D、日産購買)

氏名:クリスチャンヴァンデンヘンデ/CQO兼Vice COO(CQO)
新担当:
・品質、トータルカスタマーサティスファクション
・4地域マネジメントコミッティ 統括(北米、欧州、アフリカ・中近東・インド、ラテンアメリカ)
・4部門 統括(インフィニティ、ダットサン、LCV、グローバルIS)
(現担当):
・品質、トータルカスタマーサティスファクション

氏名:星野 朝子(新ECメンバー)/副社長(専務)
新担当:
・日本マネジメントコミッティ 議長
・アジア・オセアニアマネジメントコミッティ地域 統括
・グローバルマーケティング&セールス
・グローバルアフターセールス
・グローバルEV事業
(現担当):OC-Japan

氏名:川口 均(新ECメンバー)/副社長(専務)
新担当:
・チーフサステナビリティオフィサー
・グローバル渉外
・グローバル広報
・コーポレートサービス、環境/CSR
・IPプロモーション
・コーポレートガバナンスオフィス
(現担当):
・チーフサステナビリティオフィサー
・グローバル渉外
・日本広報
・コーポレートサービス、環境/CSR
・IPプロモーション

氏名:中畔 邦雄/副社長(専務)
新担当:日産R&D(現担当):日産R&D

氏名:内田 誠(新ECメンバー)/専務(専務)
新担当:
・中国マネジメントコミッティ 議長
・東風汽車有限公司 総裁
(現担当):
・中国マネジメントコミッティ
・東風汽車有限公司 総裁

氏名:関 潤(新ECメンバー)/専務(専務)
新担当:パフォーマンスリカバリー
(現担当):生産技術

氏名:ホセ ルイス バルス(新ECメンバー)/専務(専務)
新担当:
・北米マネジメントコミッティ 議長
・北米日産会社 社長
(現担当):
・北米マネジメントコミッティ 議長
・北米日産会社 社長

理事(VP)の就任及び担当業務
氏名:パッシ ラビンダ(新任)/理事(VP)
新担当:グローバル法務
(現担当):グローバル法務

氏名:ムレイクリスティーナ(新任)/理事(VP)
新担当:
・グローバル内部監査
・グローバルリスク&コンプライアンスオフィス
(現担当):
・グローバル内部監査
・グローバルリスク&コンプライアンスオフィス