東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣)の子会社である、東レハイブリッドコード株式会社(本社:愛知県西尾市、社長:鈴木信博、以下「THC社」)に於いて、THC社の顧客に対する「納入製品の検査成績書に記載のデータ」を不正に書き換えていたことが判明した。
これを受けて東レグループでは11月28日の午前に於いて緊急会見を開き、今回の不手際について陳謝した。
同社では、「弊社グループは、企業倫理と公正が経営の最優先課題のひとつとして掲げおり、役員・社員全員に周知徹底すると共に、自由・公正・透明な市場競争に基づく適正な取引を行い、社会の厚い信頼を得られる企業活動を行うべく努力して参りました。
ところが、このような事態を招いてしまいましたことは誠に遺憾であり、関係の皆さまにはご迷惑とご心配をおかけしましたことを、改めまして深くお詫び申し上げます。
なお、本件の発覚を契機として、東レグループ全体にわたる調査の徹底と精査を行っていますが、現時点で法令違反や製品安全上の問題のある案件は見つかっていません。
また当社グループでは、今後より一層のコンプライアンス強化に努め、再発防止とともに信頼の回復に全力で取り組んで参る所存です」と述べている。
なお今回の不祥事の概要は以下の通りとなっている。
1. 東レ子会社の概要
(1)社名 東レハイブリッドコード株式会社(略称:THC社)
(2)所在地 愛知県西尾市上矢田町神明寺(かみやたちょうしんみょうじ)3番地
(3)代表者 代表取締役社長 鈴木 信博(すずき のぶひろ)
(4)資本構成 東レ100%
(5)事業内容 タイヤコード、産業用コード、カーペットパイル糸等の産業資材用繊維製品の加工事業。
2. データ書き換えの内容
THC社が本社工場で生産する製品(各種コード類=補強材)において、顧客となるタイヤメーカー、自動車等部品メーカー、抄紙用フェルトメーカーなどに納入する際の品質検査に於いて、事前に取り決めていた当該製品の品質データ数値を一部不正に書き換えていた。
当該製品は、タイヤコード、自動車用ホース・ベルト用コード、抄紙用コードなど。
これらの書き換え件数は約4万件。今回改めてデータを調査した結果、事前に取り決めた規格から外れたデータの規格内への書き換えが149件見つかっている。
・書き換え期間 2008年4月~2016年7月。
・対象となる顧客数は13社に上る。
3. 顧客への影響
(1)データの書き換えは有ってはならないことであるが、規格外の測定結果を規格内に書き換えた同社製品の品質は、何れも規格値からの乖離がわずかであり規格内製品と実質的な差は無いとしている。
(2)該当製品の利用顧客については、現在順次ご報告している最中である。またこれまで報告した顧客からはいずれも、性能上及び製品安全上の問題があるとの指摘は受けていない。
4. 本件を受けての対応
THC社が不正に書き換えを行った製品について、顧客にて不具合が生じた場合には、誠意をもって真摯にかつ迅速に対応していく。
今後、書き換えを含む不正行為が再発しないように、2016年10月からTHC社の品質保証体制を改めていく。
なお、本件の関係者に対する処分は、経緯を含めた全容が明らかになり次第、決定するとしている。