輪島商工会議所。交通弱者（高齢者等）と、観光客の移動手段の確保という一挙両得を目指す
「輪島塗」や千年前から続く「朝市」並びに「御陣乗太鼓」などで全国的に知られる石川県輪島市。能登半島の北西に位置し、伝統文化が色濃く残る地域である。
そんな輪島市では、今世紀を迎え、人口減少・少子高齢化や財政難により公共交通が衰退。移動手段を持たない高齢者の生活の足の確保が大きな行政上での課題となっていた。
また市街地内には、朝市などの観光スポットもエリアのなかで点在しており、これらを回遊する観光の足も必要とされていた。
そこで、このような複合的な課題を解決するため、輪島商工会議所が中心となり、市街地内を回遊する次世代の交通「エコカート」の導入に積極的に取り組んできたのである。
ちなみに、このエコカートと云うのは、ゴルフ場で使用されるカートを公道走行が可能となるよう改良したもの。
低床構造のため高齢者が乗降しやすく、また低速度で走行するため、輪島の町をゆっくり楽しむ観光客の移動に適していることが大きな特徴である。
輪島商工会議所では、このエコカートの導入に向け、実験運行等を重ね、通年運行の実現やルート追加などの取組を拡大させており、今日では観光客や地域住民の足として、すっかり定着しつつある。
将来的には、さらにルートを増やし、市街地全体を自動運転のエコカートでつなぐ計画もあると云う。
高齢者や観光客の足の確保という観点から、これからの地域交通には“気軽に利用できる”、“ゆっくりと移動できる”という性能も求められる。
そうしたなか、輪島市に於ける人に寄り添う取り組みは、地域のニーズに対するモビリティ政策を検討する上で、全国各地に於いて、大きなヒントになりそうだ。
石川県輪島市・過去からの取り組み
