F1メキシコGP、ホンダ陣営はフリープラクティス2の時点で8・9番手


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)とマクラーレンは10月30日(金)、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第17戦メキシコGP(開催地:メキシコ・シティ10月30~11月1日)のフリープラクティス(FP)セッションに参加している。

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昨日時点のFP2セッション終了段階に於いて、フェルナンド・アロンソ選手が8番手、ジェンソン・バトン選手9番手につけている。

予選セッションは、現地時間10時~11時 (日本時間 11月1日<日曜日>13時~14時)に行われるFP3に続き、13時~14時 (日本時間 11月1日<日>16時~17時)に行われる予定。

実に23年振り、オートドロモ・エルマノス・ロドリゲとは

第17戦メキシコGPの舞台となるオートドロモ・エルマノス・ロドリゲは全長4.421km。

23年前の1992年まで、F1レースの開催地となっていたサーキットであるが、その後、コースレイアウトが大きく変更となっており、事実上では全く新しいサーキットでの初開催となる。

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サーキットの形状としては、長い直線2本で形成されるセクター1、中・高速のテクニカルコーナーが連続するセクター2と、低速コーナーが中心のセクター3からなる。

直線部への繋がりが、スムーズかつスピードが乗り易いコースレイアウトであることから、モンツァに次ぐ高速レースであり、トップスピードは時速328kmに達するものと見込まれている。本戦の周回数は71周である。

またサーキットのある場所が標高2,200mもの高地に属しており、空気中の酸素が平地の78%という自然環境の中で、ターボチャージャーに取り込まれる空気は必然的に薄くなる。

このため高地に適したマシンセッティングが求められる事になり、こうした面では、高地に於けるレース経験を有するチームが比較的有利ではある。

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また空気が薄いということから車体への影響もある。具体的にはダウンフォースが減少することでマシンが浮き上がり、最高速度に影響が出る。

それを避けるためにエアロパーツや、マシンのバランス、グリップなどもすべて普段とは異なるセッティングを強いられる。

各チーム共に高地に於けるレース経験を別にすると、オートドロモ・エルマノス・ロドリゲ自体の実測データはほぼ持っておらず、パワーユニット、車体共にベストデータは存在しない。

このため各チーム共にフリー走行セッション中は、データ収集とその反映に大わらわである。

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また、路面は滑りやすく、油膜が掛かっているような感覚と言われ、どのような磨耗状況になるかは未知数だが、トラクションと耐久性を両立するべく、ピレリはソフトとミディアムの2種類を今週末のレースに準備された。

またフリープラクティス並びに、予選セッションが先のオースティンと異なり好天で推移するのであれば、走行ライン上にラバーが乗り、コンディションが幾らか改善する可能性はありそうだ。

F1プロジェクト総責任者・新井 康久氏のプレビューコメント

メキシコGP開幕当初、ホンダのF1プロジェクト総責任者・新井 康久氏は、「オートドロモ・エルマノス・ロドリゲスは、Hondaが初めてF1に年間フル参戦した1965年に、日本のチームとして初優勝を収めたサーキットです。

それから50周年という記念すべき年に、当時と同じ場所でレースできることは大変光栄です。

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このサーキットは標高2,200mの高地に位置し、世界のF1サーキットの中で最も空気が薄いため、パワーユニット、車体ともその影響を大きく受けます。

特に、パワーユニットでは出力を出すためにターボチャージャーの加給圧を調整しますが、ターボの回転数と排気圧力、MGU-Hの熱エネルギー回生のバランスを取り、最適な運転状態を設定する必要があります。

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また、車体もダウンフォースが得られにくくなってしまうため、シャシーバランスもこのサーキットに合わせた独自のセッティングが必要となります。

1992年以後、サーキット全体のレイアウトが変わってから初めてのレースとなり、フリープラクティスでのデータ取得と解析が非常に重要になります。

直線が長く、モンツァに次いで平均速度が速いサーキットですので、McLaren-Hondaにとってチャレンジが多い週末となりそうですが、メキシコにいるファンの皆様のためにも、ベストを尽くします」と述べていた。

フリープラクティス2終了時点の結果

その後メキシコラウンドは、フリープラクティスのFP2まで消化。フェルナンド・アロンソ選手が初回のFP1の17番手からジャンプアップしての8番手。

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FP1は早々にパワーユニットの交換を決め、19番手に止まったジェンソン・バトン選手が9番手と、現段階では揃ってベスト10圏内に到達している。

残るFP3の結果が気になるところだが、いずれにしても両車共にパワーユニット交換を行い、かつアロンソはギアボックスも交換しているため、降格ペナルティを課せられ最後列からのスタートとなる見込みだ。

(FP2段階でのコメント)フェルナンド・アロンソ
MP4-30-01
FP1 1分30.072秒(トップとの差 +4.082秒)17周17番手
FP2 1分22.993秒(トップとの差 +1.462秒)36周8番手

「FP1中に左リアタイヤがカットされて以降は、インターミディエイトで走行しました。ただマシン自体の状態は良く、新パーツが追加されて明らかに進歩しています。

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コース自体はスリッピーで、思ったよりもデグラデーション(タイヤの磨耗による性能低下、劣化状態を示す走行特性変化)が発生しましたが、新しいサーキットに来るのは楽しいし、熱狂的なファンが多くてサーキット内のムードはとてもいい。

明日はもっとラバーが乗って、コーナーが速くなるといいと思っています。

けれども、私たちのチームはペナルティが決まっているので、後列からのスタートになります。決勝ではレースのペース配分と、タイヤマネジメントに集中したいと思います」

(FP2段階でのコメント)ジェンソン・バトン
MP4-30-04
FP1 1分32.091秒(トップとの差 +6.101秒)9周19番手
FP2 1分23.109秒(トップとの差 +1.578秒)25周9番手

「今日のコースはグリップが低く、路面の上に水膜が残っている感じで不思議な感覚でした。

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ただ午後はグリップは改善しています。グリップが高い方がコーナー入り口での車体のスピードが維持されるので、グリップ感覚がさらに改善されることを願っています。

今回のレースは、コースで接近して走ることになりそうなので、我々のチームだけでなく、他車もブレーキ摩耗に苦労するかも知れません。

でも、私たちチームは後方からのスタートとなるはずなので、むしろ予測できないようなレース展開になって欲しいと思っています。良いスタートを決めて、出来る限りプッシュしていくつもりです」

(FP2段階でのコメント)エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)
「初コースで路面コンディションも難しいフリー走行日に2台がトップ10入りを果たしたことはとても励みになります。

このコースはどちらのセッションも滑り易い。にもかかわらずフェルナンドとジェンソンはペースを上げ、数度の一時中断があった中でも着実に予定したプログラムに取り組めています。

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メカニックたちのハードワークにも敬意を表します。特に今週末は3基のICEを載せ替え、さらにジェンソンのマシンは走行セッションの調整中という、かなりの過密スケジュールでした。

新しいコンポーネントの搭載で、スタートポジションに影響が出ますが、日曜日のレースは予測不能な状況になりそうなので、その中でも前へと進めて行けるマシンに仕上げるべく、全力で取り組んでいます」

(FP2段階でのコメント)新井康久氏(株式会社本田技術研究所 専務執行役員 F1プロジェクト総責任者)
「当初、崩れると思われていた天気予測が意に反して、FP2のラストランまでドライコンディションだったおかげで、新コースのシャシーとパワーユニットの両セットアップを煮詰めるための充分な周回数をこなせました。

ジェンソン車は、今回、スペック4のICE(内燃機関)を初めて搭載し、午前中のセッションを開始しましたが、同セッションでマシンの高電圧のセンサーに不具合が発生。

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問題を解決するには時間のかかる作業を要するため、代わりに走行時間を削って、もともとFP2の前に予定していたPU(パワーユニット)の交換作業を行うことを、チームとして選択しました。

結果、ジェンソンは、FP2では今週末2基目となるスペック4のPUを搭載して走行しました。

今日はフェルナンドの車も、スペック4の新しいPUおよび新品のギアボックスを搭載しての走行となりました。

午前中のセッションでは、左側のリアタイヤに亀裂が入っていることが分かりました。ただ、ここでもチームは現実的な判断を下し、新品のプライムタイヤを使用するのではなく、インターミディエイトタイヤを使って評価のためにさらに周回を重ね、同セッションを終了しました。

午後のセッションは、午前中よりも有意義な内容となりました。フェルナンドはすぐにペースをつかみ、通常の走行プログラムを実施。

一方、ジェンソンはメカニックのメンバーが新しいPUを準備している間はセッション開始が遅れましたが、その後、すぐにコース上に復帰しました。

プログラムに遅れが生じたものの、ジェンソンもオプションタイヤを装着して有効なラップを刻みました。

チームが本当に必要としていた高地のコースに於けるデータ収集はフェルナンドがしっかりと走り込んでくれたおかげで助かりました。パワーユニットのデータ設定は、良い方向性に進めていると思うので、明日の予選に向けて今夜さらに分析していきます」

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