帝人、耐ガソリン性・成形性を持つバイオプラスチックフィルムを開発


スマートエントリーシステム用のドアハンドルに対応

帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、独自のポリマー改質技術と製膜技術を駆使することにより、耐ガソリン性と成形性を両立し、スマートエントリーシステム用のドアハンドルに対応可能なバイオプラスチック「PLANEXT®」製のフィルムを開発した。

この新開発のフィルムは、加工メーカーの特殊金属蒸着技術を付加することでクロムメッキに代わる金属メッキ代替フィルムの生産が可能となり、株式会社ホンダロック(本社:宮崎県宮崎市、社長:茂櫛 敏幸)のスマートエントリーシステム用のドアハンドルに採用されている。

近年、自動車用のドアロックは、ドアハンドルに触れるだけで施錠・開錠を可能とするスマートエントリーシステムの開発が進められている。

しかしスマートエントリーシステムは、センサーの誤作動防止のためにドアハンドル部分を非導電性とする必要があり、導電性のあるクロムメッキをベース樹脂の表面に使用したドアハンドルでは実現することができなかった。

一方、金属蒸着したプラスチックフィルムは非導電性であり、既に金属メッキの代替フィルムとして自動車の外装用途に実用されているが、ドアハンドルには耐ガソリン性と成形性の両立が求められるため使用されていなかった。

こうした中、帝人は自社開発のバイオプラスチック「PLANEXT®」を独自のポリマー改質技術で改良することにより、耐ガソリン性と成形性を両立したバイオプラスチック「PLANEXT®SN4600」を開発し、量産化に成功した。

さらに同素材「PLANEXT®SN4600」に特殊な製膜技術を加えることにより、ドアハンドルを含む自動車外装用途に使用可能なフィルムの開発も実現した。

ちなみにこの「PLANEXT®SN4600」は、植物由来の化合物であるイソソルビドを原料としたバイオプラスチック「PLANEXT®」を改良して開発した「PLANEXT®SN4600」を使用しており、「PLANEXT®」の特性である耐薬品性、透明性、高表面硬度に加え、次の特性を備えている。

(1)優れた耐ガソリン性
ポリマー改質技術により耐ガソリン性を付加されたことで、セルフ式ガソリンスタンドなど、ドライバーの手にガソリンがつきやすい状況下での使用に適している。

(2)優れた成形性
耐熱性と製膜条件を最適化することで成形性を高めており、複雑な形状の成形を可能とした。

(3)優れた耐候性
基材を保護するためのUVカット機能をフィルムに付与することで耐候性を高めており、紫外線による基材の変色を防止する。

なお開発したフィルムを使用したドアハンドルは、2月14日~16日に東京ビッグサイトで開催される「3 次元表面加飾技術展」に出展する株式会社宏機製作所(このたび金属メッキ代替フィルムを用いた真空成形を担当)のブースで初展示される見込み。(東 2-3 ホール 3R-09 ブース)

帝人は、「このフィルムを、ドアハンドル以外の自動車部品にも積極的に用途展開し、拡販を図っていきます」と述べている。