住友ゴム工業、海外に於けるスポーツ・産業に関わるDUNLOPブランド事業を掌握


住友ゴム工業株式会社(本社:兵庫県神戸市中央区、社長:池田育嗣、以下住友ゴム)は、昨年の12月27日に英(スポーツダイレクトインターナショナル社・SDI)から、海外のDUNLOP商標権と、DUNLOPブランドのスポーツ用品事業+ライセンス事業を137.5百万ドル(約154億円)で買収合意。この全手続きが4月3日(英国時間)に完了した。

上記事業の買収は、住友ゴム工業と、傘下企業のスポーツ事業子会社・ダンロップスポーツ株式会社が共同で設立した合弁会社の「ダンロップインターナショナル株式会社」が行った。

これを踏まえ住友ゴム工業は、今後、買収したDUNLOPのスポーツ用品事業並びにライセンス事業を運営していく。

また、DUNLOPブランドのグローバルな価値向上を図る戦略を住友ゴムグループとして立案・推進し、既存の事業も含めたグループ全体の収益向上につなげていくと結んでいる。※1ドル=112円で換算

スポーツダイレクトインターナショナル社の概要
所在地:英国、シェブルック市
売上高:29億ポンド(約4,060億円、2016年4月期) ※1ポンド=140円で換算
事業内容:スポーツ用品小売事業、スポーツ用品ブランドのライセンス事業

ダンロップインターナショナルの概要(2017年2月1日に設立)
所在地:神戸市中央区脇浜町3-6-9
代表者名:西口豪一
資本金:30億円
事業内容:海外でのDUNLOPブランドのスポーツ用品事業など
株主・持株比率:住友ゴム 66.7%、ダンロップスポーツ 33.3%

加えて同社は4月3日付をもって、下記の人事異動を実施している。
人事異動
新職_旧職_氏名
ダンロップインターナショナル_製造技術部主査・中村吉伸
ダンロップインターナショナル_宮崎工場課長・藤村紀之

そもそもDUNLOPブランドの始まりは、Johm Boyd Dunlopが1888年に発明した空気入りタイヤを事業化するため、1889年に英国内でダンロップタイヤを起業・設立したことが最初だ。

以降、時代は20世紀を迎え、住友ゴム工業は当初、英国のダンロップの日本工場としてスタートを切った。

しかし1980年代前半に英・ダンロップ本体の経営が悪化し、事業の売却が始まる。そして刻を経た今日、住友ゴム工業がDUNLOPの商標権と事業を大きく買収していくという流れに至っている。

但し住友ゴム工業が、今回、SDI社(Sports Direct International plc・スポーツダイレクトインターナショナル社)から買収したのは、現段階でSDI社が保有していたダンロップの商標権である。

これはタイヤ領域で云うと、現在既に住友ゴム工業が拠点を持つタイ、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど86カ国に於いて住友ゴム工業がDUNLOPブランドの所有権者(ライセンサー)になるということだ。ちなみにこれまで住友ゴム工業は、DUNLOPブランドの使用権者(ライセンシー)であった。

一方、スポーツ・産業製品では、今買収に伴い地域を限る事無く、全世界のDUNLOP製品をカバーできるものとなる。従ってインドの様に該当各地域に既存のライセンシーが存在しない場合に限り、すべての商品で新たな事業展開自体が可能となる。

従って今後は、既存事業領域の日本、韓国、台湾に留まらず、それ以外の全世界地域に於いても、スポーツウエア類や時計、バッグ・メガネの他、産業品分野など、様々な分野でDUNLOPブランド製品の展開が可能だ。

つまり今回の買収により住友ゴム工業は、欧米・インド・豪州のタイヤ事業を除く領域で、DUNLOPブランドの支配権者になるということだ。

なお上記と裏返しとなるが、先に袂を分かったGOODYEARは「北米の非日系自動車の新車用タイヤ領域」・「北米の市販用タイヤ領域」・「欧州の新車用タイヤ・市販用タイヤ領域」「豪州地域のタイヤ領域」に於けるDUNLOPの商標使用権を、今後も保有し続けると云うことになる。