ブラジル沖 Cargo Transfer Vessel 普及への前進
商船三井(本社:東京都港区、社長:橋本剛)の100%子会社SeaLoading Holding AS( *1 / SeaLoading社 : CEO:久保 芳朗 )が保有し、2020年よりTotalEnergies EP Brasil Ltda.(TotalEnergies)向けに運航されている*2 / カーゴ・トランスファー・ベッセル(CTV)について、Shell Brasil Petróleo Ltda.(Shell)向けに使用を許可する三者間契約を、OSM Do Brasil Gerenciamento De Operações Marítimas Ltdaを通じてShell、TotalEnergiesと締結した。
署名式の様子(TotalEnergies, Shell, OSM and SeaLoading)
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*1 / SeaLoading:商船三井は2019年にCTV事業に参画した後、2022年にSeaLoading社の全株式を取得した。
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*2 / 通常FPSO( Floating Production, Storage & Offloading System:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)で海底から生産された原油は、原油タンカーで需要地まで輸送するが、通常の原油タンカーは船体が波や風で揺れてしまうため、FPSOから直接 原油を受け取ることができない。
そこで通常は定点保持機能を持つシャトルタンカーが一度原油を受け取り、船から船へ積み荷を移すことが可能な平穏な海域まで輸送し、原油タンカーへ再度積み替えるオペレーションを行う。
一方でCTVは、FPSOと原油タンカーの間に接続することができるため、FPSOから原油タンカーへ直接原油を積み替えることが可能となり、原油物流の効率を格段に上げることができる。またシャトルタンカーの航行が不要となるため、CO2排出量およびコストの削減にも繋がる。なお現在、CTVは世界に2隻しかなく、SeaLoading社が全船保有し、CTV技術の特許を有している。
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CTV船「SeaLoader 1(シーローダー ワン)」は、ブラジル沖サントス盆地に位置するFPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)で生産された原油をタンカーへ移送するために、TotalEnergiesによって用船されている。
引き続きTotalEnergiesが、同船の優先的な使用権を有するが、今回の契約締結により、ShellもCTV船「SeaLoader 1」を同社の貨物の積み出しに用いることができるようになった。
世界で初めてCTV技術の採用に踏み切ったSeaLoader1の用船者であるTotalEnergies協力の下で実現した、ShellによるCTV事業参画は、ブラジルにおける更なるCTV普及に向けた大きなマイルストーンとなる。現在に至るまで、ブラジルで操業している2隻のCTV船は、累計130回以上の荷役実績を積み重ねてきている。
商船三井グループは、従来のシャトルタンカーによる原油転送時に比べCO2排出量とコストを大幅に削減できるCTVの今後の更なる普及を目指し、石油メジャーとの協業を強化し、原油生産・貯蔵から積み出しに至るまでのサプライチェーンにおける効率化と環境負荷低減を進めていくと話している。
本社:Arendal, Norway(アーレンダール、ノルウェー)
設立:2014年
代表者:久保 芳朗
事業内容:CTV 2隻の保有、営業、運航