パナソニック株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:津賀一宏、以下、パナソニック)と、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:伊藤好生)は、低温で硬化する「二次実装アンダーフィル材(※1)」を製品化、2017年2月から量産を開始する。
同製品は液状の樹脂材料で、基板への部品実装後に部品周囲に塗布することで基板と部品の間に侵入し、優れた実装補強効果が得られる。これにより接合強度が求められる車載部品の実装信頼性が向上する。
車載機器は厳しい環境での信頼性が求められると共に、ADAS(先進運転支援システム)やIoTなど高機能化のトレンドが加速している。
このため高速通信が求められ、配線距離を短くする必要があり、半導体や電子部品の配線微細化が進んでいる。
ただそうしたなか、はんだ接合部の面積が小さくなることによる接合強度の低下が課題となっている。
また、はんだ接合部の実装補強材は、摂氏150度の高温で硬化させるタイプが主流。しかし高温を嫌う精密部品では、低温で硬化しつつも高い温度でも接着部が劣化しない実装補強材が要求される。
そこでパナソニックは、独自の樹脂設計技術により、摂氏80度の低温で硬化し、ガラス転移温度(Tg)(※2)が摂氏140度以上で、高温でも状態が変化しにくい「二次実装アンダーフィル材」を開発した。
その製品の特長は以下の通り
1.摂氏80度の低温で硬化し、硬化後は高いガラス転移温度(Tg)を実現、車載に要求される実装信頼性を達成
・ガラス転移温度(Tg):摂氏140度以上(パナソニック従来品・二次実装アンダーフィル材は摂氏80度硬化でTg摂氏100度)
・温度サイクル試験:摂氏マイナス55度⇔摂氏125度で1000サイクル合格(パナソニック従来品(注1)300サイクル)
2.高いTgにより他部材との熱収縮差が低く、はんだボール(※3)にかかるストレスを低減
・はんだボール周りストレス:58%減(アンダーフィル無 106.5kgf/平方ミリメートル⇒今回44.8kgf/平方ミリメートル)
3. 高い流動性の確保により、隙間の狭い実装にも対応。
<用途>
車載カメラモジュール、車載通信モジュール(ミリ波レーダー用モジュール)、車載ECU(電子制御ユニット)などへの半導体パッケージや電子部品の実装補強。
<用語説明>
(※1) 二次実装アンダーフィル材
半導体パッケージや電子部品などをマザーボードなどのプリント配線板に、電気的に接続できるように配置することを実装(二次実装という)と言うが、その際、接続信頼性を維持・向上させるために使用する補強材。今回の材料は、液状樹脂タイプで、注入封止後、熱硬化させることで不溶不融の硬化物となる。
(※2 )ガラス転移温度(Tg)
高分子などを加熱した場合にガラス状の硬い状態から柔らかいゴム状態に変わる現象をガラス転移といい、ガラス転移がおこる温度をガラス転移温度という。
(※3) はんだボール
はんだとは、電子部品などのはんだづけに使用される合金である。半導体パッケージや電子部品などとプリント配線板との電気信号のやり取りをするために、互いの端子を電気的に接続した状態で固定するために使われる。
はんだボールは、BGA(ボールグリッドアレイ)基板など片面封止タイプのパッケージなどを固定する際にパッケージ側に予め付けられる球状はんだのこと。
問い合わせ先
パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 電子材料事業部
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・商品の詳細ページ
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