GLM、自社製EVに800VのSiCインバータ搭載へ


香港ウィ・ソリューション・リミテッド(We Solutions Limited *)傘下のGLM株式会社 (本社:京都市伏見区、代表取締役社長:ジュリアン・アレクサンダー・カー/Julian Alexander Carr)は2月18日、半導体・電子部品メーカーのローム株式会社 (所在地:京都市右京区、代表取締役社長:藤原 忠信)のSiCパワーモジュールを採用して「800Vシステム対応の次世代SiCインバータ」の開発に着手する。(坂上 賢治)

ちなみにこのGLM設立の経緯は、京都大学大学院卒の小間裕康氏が2009年に、同大学の松重和美教授(現・名誉教授)が率いてコムス(トヨタ車体製)などをベースに開発・推進していた「京都電気自動車プロジェクト」に参画したことが切っ掛け。

この時期に前後して登場した三菱自動車工業の量産EV〝アイミーブ〟、さらにその当時から、日産より発売されると噂されていたEV(後のリーフ)の存在に触発され、翌2010年にEVメーカーのGLM(人間が未来を支配する世の中ではなく、未来は自然が地球を支配するという意味を込めた〝グリーンロードモータース〟の略)を立ち上げた。

その後、トミタ夢工場の富田義一氏から〝トミーカイラ〟のブランド権を継承。2015年10月にその名を冠した「トミーカイラRR」の量産を開始。2016年の秋にパリで4ドア4座席のEVスポーカー「GLM G4」を初披露。国内外から話題を集めたEVベンチャーである。

同社は昨2019年、トランスミッションなどの駆動装置を手掛ける株式会社ユニバンス(所在地:静岡県湖西市、代表取締役社長:谷 典幸)と協業し、電動モーター用2段トランスミッションを前後に搭載することで4輪駆動EVを実現していたが、今回は、ローム社製SiCパワーモジュールを採用することにより、これまで採用を続けてきたIGBTパワーモジュールに対して、インバータ自体の小型化・軽量化・高出力化を狙うという。

また、800Vシステムを採用することによりEVシステムとしての軽量化や、充電時間の短縮にも貢献させていく意向だ。

これまで電気自動車用インバータと言えばは400Vが主流であったが、世界規模で自動車産業がEV化へと突き進む中で、搭載システムのさらなる軽量化や、充電時間の短縮のための高電圧化・高出力化が求められている。

これに応えるためGLMは、2022年春の量産開始を目指し開発に着手。同インバータは、いずれGLMの新型EVプラットフォームに組み込まれ、同社事業の多角化並び拡大に貢献。併せて完成車事業の一環として新車種への展開も期待されるとしている。

同社では「本インバータをGLM独自の新EVシステムに組み込むことにより、新車種の展開や、EVシステムの供給を軸としたプラットフォーム事業の更なる拡大を図ります。当該プロジェクトは2022年春の量産を目指して参ります」と話している。

対してロームは、2010年に世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始するなどSiCパワーデバイスのリーディングカンパニーとして世界最先端を標榜するシステム開発を進めてきた。

この結果、自動車分野では急速充電用のオンボードチャージャーで高いシェアを保持しており、電気自動車のモータやインバータでの採用を加速させている。

ロームはこのシステム採用が決まったことについて「今後もSiCパワーデバイスのリーディングカンパニーとしてラインアップを強化すると共に、デバイス性能を最大限に引き出す制御ICなど周辺デバイスやモジュール化の技術を組み合わせ、次世代自動車の技術革新に貢献するパワーソリューションを提供してまいります」と結んでいる。

GLM企業情報
社名:GLM株式会社
設立:2010年4月1日
業種:自動車製造
連絡先:075-681-5252(代表窓口)
本社:京都府京都市伏見区竹田向代町74番3

* 香港ウィ・ソリューション・リミテッドは、後にアポロ・フューチャー・モビリティグループ/Apollo Future Mobility GroupことAFMGに名称を移行させる予定としている。