ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover Automotive PLC、本社:英国・コベントリー、CEO:ラルフ・スペッツ<Ralf Speth>)は、ジュネーブ・モーターショー2017の会場に於いて「RANGE ROVER VELAR(レンジローバー・ヴェラール)」と、ジャガー「I-PACE(アイ・ペイス)コンセプト」。さらにランドローバー新型DISCOVERYの人道支援向けビスポーク・モデルである「PROJECT HERO」の3車を展示・披露した。
特に「RANGE ROVER VELAR」と、欧州初公開となるジャガー「I-PACEコンセプト」は、ジャガー・ランドローバー独自の英国製自動車らしさを訴求したデザインを備えたものとなった。
さらに「PROJECT HERO」は、ジャガーとランドローバー車のカスタマイズ製品・少数生産の限定モデルの製作を担当するスペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)部門が、オーストリアの赤十字社と協力して開発したビスポーク・モデルとなっている。
なおこのビスポーク・モデルの最も目を引く注目点は、ドローン・テクノロジーを搭載している点にある。この新装備は、今後1年間、緊急対応チームが試験運用を行い、その効果を実証していく予定だと云う。
また今回発表された「RANGE ROVER VELAR」の誕生は、ジャガー・ランドローバーの歴史にとっては、決してオーバーではなく新たな1ページを刻んだものとなった。
そんな「RANGE ROVER VELAR」は、「RANGE ROVER EVOQUE」と「RANGE ROVER SPORT」の中間に位置するニューモデルである。
その車両は英国のみで生産され、ジャガー・ランドローバーの軽量アルミニウム構造に加え、エンジンには最新の非常にクリーンなINGENIUM(インジニウム)ガソリンおよびディーゼル・エンジンを採用している。
一方、ジャガー初のエレクトリック・パフォーマンスSUV「I-PACEコンセプト」は、新たなエンジニアリングへの挑戦を試み、より長い航続距離、より早い急速充電、及び爽快なパフォーマンスの実現を目指して開発された。
ちなみに今回は、量産車モデル「FIRST EDITION」のエクステリアカラーの1つとして用意されたファントムレッドの「I-PACEコンセプト」が展示されていた。
気になる車両の生産拠点に関しては、既に英国内のジャガー・ランドローバーの3つの製造工場が生産能力の限界に近づいていることから、今回の「I-PACE」は、オーストリア・グラーツにあるマグナ・シュタイヤー社の工場で実製造を行う予定としている。
ただ、このマグナ・シュタイヤー社の工場は、既に100年を超える実績があり、これまで世界中の多くの自動車メーカーと協力して、幅広く委託製造を行ってきた拠点だ。
ジャガー・ランドローバーの最高経営責任者(CEO)、ラルフ・スペッツ博士は、今回の複数の取り組みを含め「ジャガー・ランドローバーは、テクノロジー・カンパニーであり、世界的なプレミアム自動車メーカーです。
今回披露した2つの革新的なモデル『RANGE ROVER VELAR』と『I-PACEコンセプト』には、お客様の人生を豊かにする特別な体験を提供するという、当社の決意が反映されています」と述べていた。
併せて、先のラルフ・スペッツ博士は、「ジャガー・ランドローバーは、よりクリーンな未来を目指してクリーン・ディーゼル・エンジンや、ガソリン・エンジン、BEV(バッテリー式電気自動車)、PHEV(プラグイン・ハイブリッド式電気自動車)、MHEV(マイルド・ハイブリッド式電気自動車)のすべてを今後の製品戦略計画に盛り込んでいます。
具体的には、来る2020年までに、今後製造、発売するジャガー・ランドローバーの車両に、これらの選択肢を用意する予定です。
また新型『DISCOVERY』のビスポーク・モデルである『PROJECT HERO』は、世界最大の人道支援ネットワークである国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)とジャガー・ランドローバーのパートナーシップのもと開発されました。
今回の限定モデル投入を踏まえ、車両災害時の対応時間を短縮することで、赤十字社の人命救助に役立つことに大きな期待を寄せています。
そもそもランドローバーは1954年以降、赤十字社を支援し、世界中で活用できるために120台の車両を提供してきました。
『PROJECT HERO』は、ルーフにドローンが据え付けられた初の車両で、新型DISCOVERYの傑出した性能が、これによりさらに強化されます。
セルフセンタリング技術を備えた完全統合型の着陸システムにより、車両が動いている間も、ドローンを『PROJECT HERO』に着陸させることが可能で、これは世界初の技術となります」とコメントしている。