なお豊田章男社長は、同プレスカンファレンスの壇上に於いて、今後5年間で米国内へ総額100億ドル(約1兆1600億円)を投資する計画を明らかにした。 ※声明内容は添付のカンファレンス動画または記事を閲覧されたい。
トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田章男、以下 トヨタ)は米国東部時間の1月9日、米国ミシガン州デトロイト市で開催中の北米国際自動車ショー(通称 : デトロイトモーターショー)に於いて、新型カムリ(米国仕様)を世界初披露した。
カムリは1982年に日本で発売して以来、「トヨタのグローバルミッドサイズセダン」として、10か所の工場で生産、100以上の国・地域で販売されている。
今や累計販売台数は1,800万台を越え、30年以上にわたり世界中の顧客に提供してきた。特に米国では、乗用車セグメントに於いて15年連続で最も多くのユーザーに選択された車種であると共に、米国ケンタッキー州の工場で年間40万台近くを生産するなど、トヨタ自動車にとっては、米国事業に於ける最重要車種のひとつとなっている。
こうした経緯を踏まえ、8代目となった新型カムリは、カムリが培ってきた高い品質・耐久性・信頼性や実用性に一層磨きをかけるだけでなく、世界中の顧客を対象に所有する喜び・操る喜びを提供することを目指した。
トヨタが考える理想の次世代グローバルミッドセダンを体現すべく、以下のコンセプトに沿って開発を推進している。
- 走りや乗り心地などクルマとしての基本性能を鍛える(性能)と共に、先進技術・機能を通じ(智能)環境性能や安全性を更に高める
- 上記二つの要素を追求することで数値では表せない価値を生み、カムリを五感に訴えるクルマに昇華させる(官能)
上記2併せて「もっといいクルマづくり」に向けた「Toyota New Global Architecture(以下、TNGA)」による構造改革をこれまで以上に推し進め、プラットフォームに加えパワートレーンユニットも一体的に開発することで、エモーショナルで美しいスタイルや、意のままの走りを実現する。
【新型カムリの主な特徴(米国仕様)】
1.走りを予感させる、スポーティで洗練されたデザイン
<エクステリア>
バンパーコーナーをより立体的で大胆な構成にした「アンダープライオリティ(Under Priority:空力・冷却・歩行者保護性能に配慮した、アンダーグリルを強調したTOYOTA独自のフロントデザイン)」により、トヨタ独自フロントの表情「キーンルック(Keen Look:知的で明晰な印象を与えるトヨタ独自のフロントの表情。TOYOTAマークの立体的な強調とダイナミックなアンダープライオリティとの組み合わせで表現)」を進化。
スリムなアッパーグリルと大きく構えたロアグリルを対比させ、低重心感とワイドなスタンスを強調した。
新プラットフォーム採用によりフードと全高を低く抑えながら、後席頭上空間を確保したロングルーフのキャビンシルエットと、クォーターピラーの流麗なキャラクターラインにより、実用性とスポーティさを高次元で両立した独創的なキャビン造形を実現させている。
<インテリア>
TNGAに基づく新パッケージにより、前方視界に優れた軽快でスポーティなインパネとグローバルミッドサイズセダンに相応しい広々とした空間を両立した。
次世代インターフェースとして、1)カラーヘッドアップディスプレイ、2)マルチインフォメーションディスプレイ(メーターパネル内)、3)8インチオーディオビジュアルナビゲーションシステムが相互にリンク。操作性を大幅に向上しつつ、流れるような曲線が際立てるフラッシュサーフェイスの表示パネルが未来感を演出させている。
2.キビキビとした意のままの走り
<プラットフォーム>
TNGAに基づきプラットフォームを刷新(GA-Kプラットフォーム)。低重心化、ボディ・フロア剛性強化、エンジンのマウント位置見直しのほか、リヤに新サスペンションを採用するなど、クルマのパッケージ全体を一新することで、操縦安定性や乗り心地などの性能を幅広く向上させた。
<パワートレーンユニット>
TNGAにより構造や構成を全面的に作り直し、高い走行性能と環境性能を両立させた新型エンジン「Dynamic Force Engine」の初採用モデルとして、直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジンを設定した。
またガソリン車、ハイブリッド車ともに世界トップレベルの熱効率を達成すると同時に、レスポンスやトルクを向上することで、燃費と動力性能の大幅向上を実現させている。
なお2.5Lガソリン車には、同じくTNGAにより全面刷新された新型トランスミッションであるDirect Shift-8ATを採用。
世界トップレベルの伝達効率を実現するとともに、多段化、ロックアップ領域の拡大により、ドライバーの意のままに反応する走りを実現した。
ハイブリッド車では、2.5L用のトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)を一新。小型・軽量・低損失化技術を、高燃焼効率・高出力の新型エンジンと組み合わせることで、優れた動力性能・低燃費を両立させた。
<先進の安全装備>
ミリ波レーダーと単眼カメラを用い、総合的な制御により、クルマだけではなく歩行者も認識する歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティをはじめ4つの先進安全機能をセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を採用した。
新型カムリ(米国仕様)主要諸元
全長/全幅/全高(inch): 191.3/72.4/56.7
ホイールベース(inch): 111.2
なお日本では、全国のトヨタカローラ店に加え、トヨペット店およびネッツ店(東京地区は東京トヨタでも販売)を通じ、2017年夏頃の発売を予定している。
以下は豊田章男社長のプレスカンファレンス内容となる。なお同社長は、このカンファレンスの壇上に於いて、今後5年間で米国内に総額100億ドル(約1兆1600億円)を投資する計画を明らかにしている。
< https://livestream.com/Toyota/Detroit2017/videos/146363246 >
<オープニング2台の新型カムリが登場>
https://www.youtube.com/watch?v=wEJbZJQVpFM
豊田 :みなさんこんにちは! ここで、賭けだとは分かって皆さんにお聞きしますが…この新型カムリはいかがですか?
このカムリを見ていると、私が場違いなところに立っているのではとすら思えるほどです。
トヨタをこれ以上うまく代弁するものがないほど、新型カムリは、私たちトヨタがブランドとして向かいたい方向性を全て物語っています。
実用的でありつつも、ドライバーを夢中にさせることができます。 お手頃なクルマでも、注目を集める魅力があります。
今壇上にはXLEグレードとXSEグレード、2つのクルマがあります。
お客様には、非常に際立った2つの新型カムリからお選びいただくことになります。 前者は「セクシー」なカムリ、後者は「本当にセクシー」なカムリです。
カムリを「セクシー」と呼ぶのは大げさかもしれません。 しかし、私自身心から、デザイナー達が「場外ホームラン」とも言える成果を出してくれたと思っています。
私たちの目標は、ベースのXLEを一層高級感あるものに、XSEを大変スポーティかつ独特のデザインにすることでした。 それを200ヤード先から見ても分かるほどに。
私自身がデザインの過程に携わりたいと思っていることをご存知の方も多いかもしれませんが、今回はデザイナーとともに、3つの最終候補からこの初期スケッチを選びました。
ご覧の通り、デザイナーやエンジニア達は、このコンセプトに非常に忠実に仕事を進めてくれました。
このスケッチは、当時米国のデザイン拠点Calty Design Research, Inc.から日本のトヨタ本社に出向していたデザイナーが作成したものです。
デザイナーの名前、“Ian Cartabiano”がスクリーンに
彼の名はイアン。 苗字は読み上げようとも思いません(笑)。
Toyota New Global Architecture(TNGA)の成果もあり、エンジニア達は、低重心化と非常に複雑なエクステリアを実現することができました。
カムリは1982年に初代が開発されて以来、トヨタの基幹車種として、私たちにとって、特に米国でクルマの開発、生産、販売に携わる約13万6,000名のトヨタのメンバーにとって、非常に重要なクルマであり続けてきました。
私たちトヨタがこれまでの60年間で米国に220億ドルを投資してきたのはなぜか。 そして、今後わずか5年間でさらに100億ドルを米国に投じる予定なのはなぜか。 このカムリというクルマは、その理由の一つです。
カムリを15年連続で米国のベストセラー・カーにしてくださった、何百万ものお客様に、深く御礼申し上げたいと思います。
ただ、これを当然のことだとして、漫然と受け止めることは許されません。 だからこそ、この新型カムリを世に送り出したいのです。
私たちはこのカムリを、ミッドサイズセダンの市場を再度盛り上げるチャンスだと捉えています。
SUVだけが栄光を独占するべきではないですよね。 このミッドサイズセダンの市場が米国自動車業界にとって大変大きなものであることに変わりはありません。
そしてこのカムリは、トヨタの米国生産の非常に大きな部分を占めているのです。
米自動車ウェブサイトCars.comにおいて、カムリは、あらゆるメーカーが生産するあらゆるクルマの中で「最もアメリカンなクルマ」との評価をいただいております。
お客様に広く知られていることかどうかは分かりませんが、ケンタッキー州ジョージダウンにあるトヨタ最大の工場で働く7,700名の従業員一同は、大変誇りに感じていると思います。 もちろん私もです。
今この瞬間も、ケンタッキー工場では約1分に1台、カムリが生産されています。
こうしたチームワークがあるからこそ、トヨタは米国で30年以上にわたり、2,500万台以上のクルマを生産してこられたのです。 このことにただただ驚嘆を禁じえません。
新型カムリの生産も、ケンタッキー工場でまもなく始まります。 この新型カムリが、私たちがこれまで生産してきたカムリの中で、最高の世代になると心から信じています。
私たちの目標はただ、この新型カムリを可能な限り、事前の予想を覆す刺激的なクルマに仕上げることでした。
そのため、今皆さんの前にある2台のカムリに加え、更にスポーティなツートーンカラーのカムリもご用意いたしました。
<ここで米国トヨタ、シニア・バイス・プレジデント、ボブ・カーター(以下、ボブ)が、ツートーンカラーのカムリに乗り登場>
豊田 :やぁボブ。 いいクルマだね。
ボブ :その通りだよ。 このレッド・レザーのインテリアを見てごらんよ。 素晴らしいクルマだと思わないかい?
豊田 :まさに。 皆さんもボブの感激する気持ちに共感せずにはいられないですよね。 ボブ、このツートーンが君のお気に入りなのかい?
ボブ :いや、実は僕のお気に入りは、これなんだよ。
<NASCAR仕様のカムリがステージ上に登場>
ボブ :皆さん、新しい2017年型NASCARカムリを紹介します! ご存知の通り、トヨタは2015年にNASCARのスプリントカップチャンピオンシップ(ドライバーズタイトル)で優勝し…。
豊田 :(言葉をさえぎり) でも去年じゃないよね。
ボブ :いや、確かに去年は違ったけれど、カイル(カイル・ブッシュ)は本当に惜しい…。
豊田 :惜しかった、ではダメなんだよ、ボブ。
ボブ :その通りだけど、トヨタはスプリントカップで、(開幕戦の)Daytona 500など36戦のうち16戦で勝利し、マニュファクチャラーズチャンピオンに輝いたよ。
ここでちょっとしたサプライズを用意したんだ。 皆さん、2016年Daytona 500で優勝を飾ったデニー・ハムリンと、2015年スプリントカップチャンピオンのカイル・ブッシュです!
<カイル・ブッシュ(以下、カイル)とデニー・ハムリン(以下、デニー)がトロフィーを持って登場>
カイル :章男社長、全てのトヨタNASCARチームを代表し、このマニュファクチャラーズ優勝カップをプレゼントできることを大変うれしく思います。
豊田 :ありがとう、カイル。 素晴らしいね。 だけど、本当のところ、何が起こったんだい? ドライバーズタイトルをほぼ手中に収めていたのに…最後のところで…。
カイル :そうなんです、そう心配しないでくださいよボス。 2017年は優勝しますよ!
豊田 :(デニーに対し) このDaytona 500のトロフィーも僕にくれるのかい?
デニー :いえ、カイルが近くで見られるように持ってきただけです。
カイル :(皮肉交じりに) ありがとう。 最高だね。
ボブ :トヨタNASCARチームが今年はこのカムリで参戦し、来月のDaytona 500でデビューするのはグッドニュースだね。 引き続きトヨタファミリーがこのトロフィーを手にすることを期待してるよ!
カイル :分かりました。
ブッシュ :お任せください。
豊田 :皆さま、カイル・ブッシュとデニー・ハムリンでした!
<カイル・ブッシュ、デニー・ハムリン、ボブ・カーターが降壇>
豊田 :さて、少しからかってしまいましたが、彼らが成し遂げたことを心の底から誇りに感じています。
私自身もドライバーとして、彼らがいかに命がけでそれぞれのレースを戦っているかを知っており、感謝の気持ちでいっぱいです。
NASCARに参戦して10年、今は我々も、そのファミリーの一員のように感じることができ、それは大変光栄なことだと思っています。
また本日、お越しいただいた皆様とご一緒できたことも大変光栄なことです。
記者の皆様のご指導・ご支援により、私たち自身が成長できることに御礼を申し上げます。 こうしたご指導こそが私どもにとって、この新型カムリのようなクルマをつくる力となるのです。
私はとても誇らしく思います。 まさにトヨタ! と呼べるこのクルマを!どうもありがとうございました。