出力260kW、新開発の燃焼方式と過給システムにより高性能と高効率を両立
アウディ・ジャパン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:斎藤 徹)は、「Audi S4セダン」及び「S4 Avant」をフルモデルチェンジを果たし、10月25日より、全国の同ブランド正規ディーラー網(122店舗、現時点)での受注を開始した。なお、車両納車は来る12月下旬以降の予定としている。
今回発表された「Audi S4」は、プレミアムミッドサイズカーとして国際的に評価が高い「Audi A4」のホットバージョンという位置付け。
搭載されるパワーユニットは、同車搭載を含め、新たに開発された260kW(354PS)のハイパワーエンジンを搭載。
これに8速ティプトロニックと、quattro(クワトロ)フルタイム四輪駆動システムを組み合わせ、0-100km/h加速で4.7秒*(セダンの値。Avantは4.9秒*)の動力性能を達成していると云う。*欧州仕様車測定値
安全のためのアシスタンスシステム、「アウディプレセンス」の機能をさらに拡張
この新型Audi S4 / S4 Avantが、搭載した3.0 TFSIエンジンは、「Bサイクル」と呼ばれるアウディ独自の燃焼方式を採用しているもの。
従来型に対して、持ち前のエンジンパワーと安定したトルク特性でドライバビリティを向上させている一方で(パワーは15kW/21PS、トルクは60Nmアップ)、燃料消費も低く抑えてきている(JC08燃費は、従来型の12.6km/ℓから12.7km/ℓに向上)。
同時にエンジンへの過給方式も、従来のスーパーチャージャーから、最新鋭のターボチャージャーユニットに変更。これによってトルク曲線のカーブを最適化し、スロットルレスポンスを改善。
加えてシリンダーブロックをアルミ化するなどして、エンジン単体の重量も従来型比で14kg削減している。
走行面に於いては、通常走行時のエンジントルクを、前40:後60の割合で分配する安定の「quattroフルタイム四輪駆動システム」を導入。
これにトルクベクタリング、リヤスポーツディファレンシャル(オプション)などの制御システム並びにメカニズムを加えることで、路面を掴みをリニアにしたトラクション特性と、敏捷性を高めている。
なお、車体前後に装着したウィッシュボーン式のサスペンションは、Sモデル専用のスポーティなセッティングにより、車高を通常のAudi A4に比べ20mmも下げている。
またAudi A4シリーズのトップバージョンに相応しく、新型Audi 「S4 / S4 Avant」には、快適性や安全性に関わる最新テクノロジーも併せて搭載している。
その一例としてのアシスタンスシステムについては、新型Audi A4やAudi Q7などに採用されている衝突防止システムの「アウディプレセンス」の機能をさらに拡張。
進行方向と対峙する前方だけではなく、後方や側方もセンサーやカメラを使って、車両環境を常時監視するようにした(アウディサイドアシスト及びアウディプレセンスリヤを標準装備)。
同じく標準搭載されている「トラフィックジャムアシスト付きアダプティブクルーズコントロール」は、渋滞時にアクセル、ブレーキに加えてステアリング操作まで代行する便利なシステムで、将来の自動運転につながる先進テクノロジーとして注目を浴びている。
ドライバーの手に触れる各部の操作システムや、インフォテイメントシステムについては、同社のユーザーインターフェイス機能として、最先端を歩くナビゲーション機能を備えたMMIシステムを搭載。
バーチャルコックピットや、ヘッドアップディスプレイといった先進機能も、Audi S4としては初めて、オプション設定されることになった。
今回発売する「新型Audi S4及び、新型Audi S4 Avant」の主要諸元と価格は以下の通り。
モデル名:Audi S4
ハンドル位置:右/左
全長:4,745mm
全幅:1,840mm
全高:1,410mm
ホイールベース:2,825mm
車両重量:1,680kg*1
JC08モード燃費:12.7km/ℓ
総排気量:2,994cc
エンジン種類:V型6気筒DOHCインタークーラー付ターボチャージャー
最高出力:260kW(354PS)/5,400-6,400rpm
最大トルク:500Nm/1,370-4,500rpm
駆動方式:クワトロ(フルタイム4WD)
トランスミッション:8速ティプトロニック
タイヤ:245/40R18
車両本体価格(税込):8,390,000円
モデル名:Audi S4 Avant
ハンドル位置:右/左
全長:4,745mm
全幅:1,840mm
全高:1,435mm
ホイールベース:2,825mm
車両重量:1,690kg*2
JC08モード燃費:12.7km/ℓ
総排気量:2,994cc
エンジン種類:V型6気筒DOHCインタークーラー付ターボチャージャー
最高出力:260kW(354PS)/5,400-6,400rpm
最大トルク:500Nm/1,370-4,500rpm
駆動方式:クワトロ(フルタイム4WD)
トランスミッション:8速ティプトロニック
タイヤ:245/40R18
車両本体価格(税込):8,680,000円
*1:スポーツディファレンシャル付の場合+20kg、サンルーフ付の場合 +20kg
*2:スポーツディファレンシャル付の場合+20kg、パノラマサンルーフ付の場合 +30kg
【新型Audi S4 / S4 Avantの概要】
新開発の3.0 TFSI エンジン、効率とパワーを両立させた新しい燃焼方式「Bサイクル」
新型Audi A4 2.0 TFSI(FWDモデル)に続いて、新型Audi S4の3.0 TFSI(インタークーラー&ターボチャージャー付き3.0ℓ V6直噴ガソリンエンジン)にも「Bサイクル」と呼ばれるアウディ独自の新しい燃焼方式が採用された。
このBサイクルという呼称は、発明者であるDr. ラルフ ブダック(AUDI AGのエンジニア)に因んだもので、バルブタイミングの設定により、吸気工程を短縮して燃費効率を高める、いわゆる「ミラーサイクル」の原理が取り入れられている。
従来、こうしたミラーサイクルを採用したエンジンは、燃費効率に優れる一方、出力性能においては同排気量の通常のユニットより劣る傾向があった。
しかしながらアウディは、これをターボチャージャーによる過給システムと可変バルブタイミング機構(アウディ バルブリフト)を組み合わせ、さらに圧縮比(11.2)を高く設定することで、パワーと燃費効率をかつてない高いレベルで融合することに成功している。
実際、新しい3.0 TFSIエンジンは、従来型より15kW(21PS)、60Nm高い260kW(354PS)、500Nmの最高出力、最大トルクを発揮する一方、燃料消費もJC08モードで12.7km/ℓを達成する等、効率面での高いポテンシャルを証明した。
レスポンスに優れた新しい過給システム
3.0 TFSIの過給方式は、従来型のS4のスーパーチャージャーから、効率のよい新設計のターボチャージャーに変更されている。
ツインスクロールの原理を用いたこのターボユニットは、90度Vバンクの間に配置されており、そのためこのV6エンジンでは、吸気が外側、排気が内側のレイアウトが採られている。
その結果、エンジンからタービンに至る排気経路が短縮され、レスポンスが改善された。
またその排気経路は、左右のバンクで独立してタービンの直前でひとつに交わるようになっており、これによっても左右バンク間の望ましくない排気干渉が回避され、レスポンスの向上につながっている。
なおアルミ合金製シリンダーブロックとサーマルマネジメント(温度制御)システム 従来の3.0 TFSIから設計を根本的にやり直したことで、エンジン単体の重量が14kgも軽くなった。
アルミ合金製のクランクケースは、複雑な砂型を用いて製造されており、鋳鉄製のシリンダーライナーも、壁の厚さを特別に抑えた設計にしている。
またエンジンの冷却は、シリンダーブロックとシリンダーヘッドで別個の回路を採用しており(2系統)、冷間始動直後は冷却液の流れをコントロールして、オイルの温度が短時間のうちに適切なレベルまで達するようにしている。
シリンダーヘッドと一体化された排気マニフォールドは、暖気時間の短縮に貢献するとともに、内部に冷却回路を巡らすことで暖気終了後には排ガスの温度を下げ、高負荷運転時の燃料消費を減らす効果を生んでいる。
スポーツ性を高めた足回り
S4専用サスペンションはAudi A4 2.0 TFSIに対し、車高が20mm低くなった。
前後ウィッシュボーン式のサスペンションにより、きびきびとしたハンドリング性能を得つつ、高いレベルの快適性も確保している。
エレクトロメカニカルタイプのパワーステアリングは、オプションで、走行速度に応じてステアリングギアレシオが変る「ダイナミックステアリング」も選択することが可能だ。
ホイール/タイヤは、18インチのアルミホイールに245/40サイズのタイヤが標準で、ほかにオプションで、Audi sportの19インチホイールなどが設定されている。
8速ティプトロニック
トランスミッションは、従来型のS4の7速ティプトロニックから新開発の8速ティプトロニックに変更されている。
素早くスムーズなシフトクオリティが特徴のこのトルコン式オートマチックギヤボックスは、低速ギヤについては、加速を重視してレシオを低めに設定している一方、7速、8速といった高速ギヤには高めのレシオを与えて、クルージング時の燃料消費を抑えている。
また、同じく燃料消費を抑制するために、55km/h以上で走行時、ドライバーがアクセルペダルから足を離すと自動的に「フリーホイーリングモード」に切り替わって駆動抵抗を減らすプログラムが採用されている。
ハンドリング性能にも貢献するquattroシステム
## 新型Audi S4の敏捷な運動性能には、quattroフルタイム四輪駆動システムも大きく貢献している。
通常時は、エンジントルクが後輪にやや多め(60パーセント)に分配されるが、状況に応じて、前後アクスルのうちトラクションが優る方に駆動力をより向けて、推進力を確保する仕組みになっている。
高速コーナリング中は、標準装備のトルクベクタリングにより、負荷の少ない内側のホイールに軽くブレーキ力を介入させることで、コントロール性を最適化する。
オプションの「スポーツディファレンシャル」を搭載すると、走行状況に応じて、リヤ左右輪間のトルク分配もアクティブに制御されるようになり、さらにダイナミックな走りが楽しめるようになる。
さらに充実した安全のためのアシスタンスシステム
安全のためのアシスタンスシステムは、ベースとなったAudi A4以上に充実しており、「アウディプレセンスベーシック」「アウディプレセンスシティ」「アウディアクティブレーンアシスト」「リヤビューカメラ」「アダプティブクルーズコントロール」「アウディパーキングシステム」のほか、「アウディサイドアシスト」「アウディプレセンスリヤ」などのシステムを標準化した。
そのうち「アウディプレセンスシティ」は、レーダーとカメラにより前方の交通状況を監視して、クルマや歩行者の存在を感知し、緊急時には自動ブレーキを発動するなどして事故の危険を減らすシステムとなった。
具体的には、追突が避けがたいか、走行状況が著しく不安定になった場合には「アウディプレセンスベーシック」により、前席シートベルトのテンションを上げるなどして衝突の衝撃に備える。
同じく標準装備の「アウディアクティブレーンアシスト」は、ドライバーの車線維持操作をサポートするシステムで、ウインカーを使用しない状況でクルマが車線を逸脱しそうになると、警告を発すると同時に、ステアリングに介入してクルマを元の車線に戻す。
「アウディサイドアシスト」と「アウディプレセンスリヤ」は、新型Audi S4が独自に標準装備するシステムで(通常のAudi A4ではオプション)、レーダーとカメラにより後方及び側方の運転状況を監視することで、車線変更時及び後退時の事故の危険を減らしてくれる。
同じく標準装備される「アダプティブクルーズコントロール」には、時速65km/h以下の渋滞時に、アクセル、ブレーキだけでなくステアリング操作にも介入してドライバーの負担を軽減する「トラフィックジャムアシスト」の機能が追加されており、将来のより本格的な自動運転につながるテクノロジーとして注目されている。
なおエアバッグは、前席前面、前席サイド、及び前後席をカバーするヘッドエアバッグの合計6つを搭載。さらに、パークアシスト、サラウンドビューカメラといった機構と組み合わせて、リヤサイドエアバッグをオプション設定している。
「慎みのあるスポーティネス」をテーマにしたエクステリアとインテリア
アウディのSモデルの伝統に則って、新型Audi S4 / S4 Avantの外観は、スポーティではあるものの、仰々しさを抑えた表現がなされている。
エクステリアで専用デザインとなっているのは、シングルフレームグリル、バンパー、エアインレット、サイドシルのほか、アルミ調の仕上げがなされたサイドミラーハウジング、アルミカラーのリヤディフューザーに収まった合計4つのテールパイプなどで、さらに、フェンダーのV6Tのロゴ、グリルとトランクリッド(テールゲート)に設置されたS4のロゴ、及び18インチもしくはオプションの19インチホイールなどが、通常のAudi A4との識別点になっている。
また、通常のAudi A4ではオプション設定となっているLEDヘッドライト及びLEDリヤコンビネーションライトが標準装備されており、さらにオプションでマトリクスLEDヘッドライトも選択することが可能だ。
LEDリヤコンビネーションライトには、ダイナミックターンシグナルの機能が備わっており、マトリクスLEDヘッドライトを選択した場合には、ヘッドライトにも同じ機能が備わることになる。
なお、エクステリアカラーは全部で7タイプ設定されており、そのうち「ナバーラブルー メタリック」はSモデル専用に開発された新色で、「ミサノレッド パールエフェクト」もSモデル専用のカラーとした。
「慎ましいスポーティネス」のテーマは、ブラックのヘッドライニング(天井材)、「カーボンアトラス」のデコラティブパネル、ステンレス製のペダル / フットレスト、Sモデルのロゴが入ったアルカンタラとレザーのコンビ スポーツシートなどを採用したインテリアにおいても貫かれた。
Sモデルのロゴは、ステアリングホイール、シフトゲートノフレーム、ドアシルガードにも設置されており、同じくSモデルのロゴが描かれたメーターパネルは、オプションのバーチャルコックピットを選択した場合でも、専用の画面デザインで提供されることになった。
軽量化とエアロダイナミクスの改善
新型Audi S4 / S4 Avantのボディは、アルミや高強度鋼板など複数の素材を巧みに組み合わせたインテリジェントな構造を採用することで、ねじり剛性を高めつつ、ボディ単体で旧型比15kgもの重量を削減している。
徹底した軽量化は、前述のV6ユニットのほか、駆動系 / シャシーコンポーネンツ、シートを含めたインテリア装備にまで及んでおり、結果として車両重量は1,680kgと、従来型のS4に対しじつに100kgもの軽量化が達成されている(セダンでの比較)。
アウディSモデルの系譜
歴代のアウディ車とって「S」の頭文字は、モータースポーツとの深い関わりを表している。
その冠を印したアウディ最初のSは、1984年に発表したSport quattro S1で、モータースポーツ(ラリー)専用のモデルであった。
その後、1990年の通常生産モデル「Audi S2 Coupe」に記念すべきSの文字が印されている。以来、ハイパワーエンジンと、quattroドライブを組み合わせる控えめかつ、コンサバティブなスタイリング。そして高い実力を秘めた佇まいが、Audi Sモデルの伝統となっていった。
ミッドサイズ アウディ(当時のAudi Coupe及び80)をベースとした最初のSモデルは、その後1993年にAvantで登場。程なくセダンが追加され、このシリーズは1995年までに生産が継続された。これが今日のS4の源流にあたるモデルである。
実際にS4を名乗った最初のモデルは、1997年に発表されたもので、1994年にヨーロッパで発売された初代Audi A4をベースとし、195kW(265PS)を発揮する2.7ℓ V6ツインターボエンジンを搭載した。
以来、各世代のAudi A4に相次いでSモデルが設定されるようになって以降、今回の新型はS4としては5世代目のモデルにあたる。
その間の搭載エンジンの変遷は、2003年に発表された2世代目と2005年に発表された3世代目のS4が、自然吸気の4.0ℓV8(253kW/344PS)を積み込む。
それから3年を経た2008年発表の4世代目で、スーパーチャージャー付き直噴の3.0ℓV6(245kW/333PS)となった。従って260kW/354PS、500Nmを発揮する新しい3.0 TFSIは、S4史上もっともパワフルなエンジンを載せた歴史的な車両となる。
ちなみに、現在日本で販売されているAudi Sモデルは、このS4 / S4 Avantの他、S1、S3(Sedan & Sportback)、S5(Coupe, Cabriolet & Sportback)、S6(Sedan & Avant)、S7 Sportback、S8 plus、SQ 5、TTS Coupeの合計9モデル、14タイプとなっている。