日産、ブランパン耐久シリーズで年間チャンピオンを獲得


シーズン最終戦のドイツ、ニュルブルクリンクのブランパン耐久シリーズを迎え、#23 Nissan GT-R NISMO GT3に乗るアレックス・バンコム(英)、千代勝正、ウォルフガング・ライプ(ベルギー)が同レースを3位でフィニッシュ。

同レースカテゴリの「プロクラスドライバーチャンピオンシップを」制し、同GTレースの年間チャンピオンを手中にした。

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この「ブランパン・エンデュランス・シリーズ」は、2011年から開始されたヨーロッパに於ける比較的新しい耐久選手権シリーズであり、短距離のFIA GT3ヨーロッパ選手権等に対して、長距離レースで争われるシリーズ戦となっているもの。参戦可能なマシンはFIA GT3/GT4規格に限られる。

日本国内では、FIA GT3マシンに準拠しているGT300クラスに数多くのGT3マシンが参戦しており、車両仕様はこうしたレースでの出走車両が参考になるだろう。

ちなみに当地に於ける参戦車両は、Aston MartinやBMW、Mercedesなどの欧州車が中心。日本メーカーからはレギュレーション上、勝ちを狙えるカテゴリーであることから、日産GT-R Nismoが参戦してきた。

日産は2009年に、GT4ヨーロッパ選手権のチームタイトルと、2013年にブランパン耐久シリーズのプロアマクラスのタイトルを得ていた。

そして今年2015年、日産GTアカデミーチームRJNはプロクラスのタイトル獲得を目指し、プロクラスデビューシーズン1年目でタイトル獲得を達成した。

レースは、#23GT-Rのバンコム選手が予選に於いて、全体出走車両のうち2番手に付け、フロントローからのスタートを決めた。

チームメイトのゲイタン・パレトウ選手(仏)は、プロアマクラスのポールポジションを獲得、総合8番手のグリッドを確保した。

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決勝のシグナルがグリーンになり、予選3番手の#173Always Evolving Nissan GT-Rのクレイグ・ドルビー選手がインへ飛び込みレースをリード。

千代選手は、グリッドの外側のラインをとり、ベントレーに押されながらも、4位でオープニングラップを周回。姉妹車である#22のティンクネル選手は、ひとまず10位のポジションに落ち着いた。

千代選手としては、早々に3位を確保し、2位のランボルギーニの後方に付けたいところだったが、実際には前を走行する3位の車両を抜きあぐねる。

その後、程なく先行するランボルギーニが開始1時間のところでピットに入った際に、千代選手は、後続のメルセデスを引き離しに掛かった。

一方、10位を走るハリー・ティンクネル選手の#22GT-Rは、スロットルに問題を抱えたことから、フェラーリに追突されリタイヤとなってしまう。

一方、プロクラスを走る千代選手は、ちょうど1時間経過したところでピットイン。2012年のGTアカデミー勝者、ウォルフガング・ライプ選手にステアリングを託す。

RJNのチームクルーによるピット作業で、「ウォルフィー(ライプ)」をリードを保ったままコースに復帰させ、ウォルフガング・ライプ選手は安定した走行を続ける。

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そして最後に、アレックス・バンコム選手が最後のスティントを担当し、チェッカーまでGT-Rを運ぶことになった。

ただこれは決して単純なことではなく、バンコム選手は年間チャンピオン争いの直接のライバル、#7ベントレーを背後に従えることになってしまい、激しいバトルを繰り返すことになった。

このため、この終盤は日産チームにとって、永遠のように長く感じられる時間となった。チームはバンコム選手がベントレーのスティーブン・ケイン選手の果敢なオーバーテイクを必死にブロックする姿を何度も目にすることになった。

当のバンコム選手は、終盤でベントレーにポジションを明け渡してしまうが、ライバルのベントレーが年間タイトルを獲得するには、さらに先を走る首位マクラーレンを抜き、優勝しなければならなかったのだが、それは実現せず、結果、アレックス・バンコム選手が3位でフィニッシュし、日産はシリーズチャンピオンを獲得した。

レース後、バンコム選手は、「ベントレーを僕の後ろで抑えておかないといけないと思っていたので、年間タイトルを獲ったことはわかりませんでした。今は信じられない気分です。

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日産とRJNとここまで来るのに一生懸命やってきましたし、おそらく人生で最高の日となりました」と語った。

最初のスティントを担当した千代選手は、「たくさんの応援ありがとうございました。信じられない様なレースでした。チャンピオンになりたいとチーム全員が強く思い、それを実行して、達成した、この喜びは言葉に出来ません。

まずは本当にチームと関わるすべての皆様に感謝したいです。本当にありがとうございました。ヨーロッパに挑戦して2年目、苦しい時もたくさんありましたが、本当に挑戦して良かったと思いますし、このチームと一緒に戦う事が出来て、本当に良かったです」とコメントしている。

最後にニスモのグローバルヘッドオブブランド・マーケティング&セールス、ダレン・コックス氏は、「ドライバー、エンジニア、メカニック、世界中から集まってくれた面々が本当にグローバルに関わってくれたことをとても誇りに思います。

この年間タイトルは、日産、ニスモ、GTアカデミーそしてRJNの長年の強いパートナーシップで、共に大きな成功に向けて努力を重ねてきた成果だと心から思います」と述べた。