プジョー新型SUV2008で人気のコンパクトSUV市場へ攻勢


グループPSAジャパン(アンジェロ・シモーネ社長、東京都目黒区)は9月29日、プジョーブランドのBセグメントコンパクトSUVである新型「SUV 2008/SUV e-2008」のオンライン発表会を開いた。市場が拡大するコンパクトSUV市場に向け、攻勢をかけるモデルとし、シモーネ社長は「若々しく、街中でも、郊外でも気軽に運転できるクルマだ」と強調した。(佃モビリティ総研・松下次男)

ガソリン車とEVは総コストをほぼ同等に、EVの航続距離は385km(JC08モード)

新型SUV 2008および100%電気自動車(EV)である新型SUV e-2008の日本向けは9月16日に発表、発売。これにあわせて今回オンラインプ上でプレビューした。車両のデリバリーは、SUV 2008については10月中旬以降、SUV e-2008については11月以降の開始予定だ。

日本に投入するガソリン・エンジン車とピュアEVは「パワー・オブ・チョイス」のフィロソフィーのもと、機能、装備、スペースなど自動車としての基本部分を統一。先に日本で販売開始した新型208と同様の価値観を提示し、ライフスタイルや使用状況、好みに応じて選べるスタイルを取り入れている。

シモーネ社長は、重要度が増している「モビリティの多様性へ、対応できる一台だ」と述べ、トレンドに先行する姿勢を示した。また、「プジョーならではの3D i-Cockpit(3次元i-コクピット)という極めて特徴的な運転席も魅力的に映るだろう」と訴えた。

ガソリン車とEVを対等にという考えは、費用負担にも現れている。車両価格に、エネルギー代や保険、メンテナンス、税金、補助金などの所有コストを加えたトータルコストでみると、EVとガソリン車の月々の負担費用はほぼ同程度に設定し、この点でも利用者の好みに合わせ「選択の自由度」を高めている。

SUV 2008は10月中旬以降、SUV e-2008については11月以降にデリバリー開始予定

2代目となる新型SUV 2008は、グループPSAの最新世代小型車用プラットフォームCMP(コモン・モデュラー・プラットフォーム)を採用。これにより居住空間、ラゲッジスペースなどを限りなく同一にし、BEVや内燃機関のすべての動力源に対応可能となった。

また、新型車はプラットフォーム比で前モデルに比べて30キログラムの軽減を達成し、CO2(二酸化炭素)削減にも寄与。さらに設計の柔軟性も備えており、新型SUV 2008は前モデルに比べ、ボンネットを低く、タイヤをより四隅に配置した力強く、安定したプロポーションを実現した。

外観は、彫刻的な造形を採用することにより、パワフルで個性的な存在感を醸し出す。サイドビューはボンネットを水平基調に伸びやかさを出させることで、SUVらしくより安心感を与えるスタイルに仕上げたという。

EVのSUV e-2008には、ボディカラーにあわせて塗装したラジエータグリルや色調が見る角度によって変化するダイナミックライオンなどを外観に施して、見分けをつけた。

ボディサイズは全長4305ミリメートル、全幅1770ミリメートルと、それぞれ前モデルより145ミリメートル、30ミリメートル拡大。全高は1550ミリメートルと同20ミリメートル低く、ホイールベースは2610ミリメートルと同70ミリメートル伸ばした。国内の大半の立体駐車場に適合しながらも、ボディサイズを拡大してユーティリティを向上させたという。

パワートレインは、ガソリン車が1・2リットル・ターボエンジンの新型を搭載し、最高出力130馬力、最大トルク230ニュートンメートルを発揮する。

BセグメントSUVながら電子制御8速オートマチックトランスミッションと組み合わせることで、燃費は国際規格に準じたWLTCモードで1リットル当たり17キロメートル、JC08モードで19・2キロメートルを達成。

ピュアEVのSUV e-2008は最高出力136馬力(100キロワット)、最大トルク260ニュートンメートルの電気モーター、能力50キロワット時のバッテリーを搭載し、一充電当たりの航続距離はJC08モードで385キロメートルとなっている。

100%電動パワートレインを搭載したBセグメントコンパクトSUVの投入は日本で初めて。
充電方法はコンセント型普通充電、ウォールボックス型普通充電、チャデモ急速充電の3充電モードが設定されており、チャデモ急速充電ならば約50分で80%の充電が可能だ。

先進技術や安全性も進化。アクティブセーフティブレーキ、アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)、レーンキープアシストなどの最新の先進運転支援システム(ADAS)を全車に標準装備し、追加オプションが不要だ。

また、SUV E-2008はスマートフォンアプリで充電予約、エアコン作動などができる。
グレードはAllureとGT Lineの2タイプを設定。車両価格(税込価格)はAllureのSUV 2008が299万円、SUV e-2008が429万円。GT LineはSUV 2008が338万円、SUV e-2008が468万円。

取材・執筆:松下次男
1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。