PAS、デバイス仮想化技術「VirtIO」の標準化で自動車メーカー等と連携

「VirtIO」準拠の車載ソフトウェアPFも開発完了

来たる2027年4月に社名を「モビテラ」に変更するパナソニック オートモーティブシステムズ(PAS/本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:永易正吏)は2月24日、AGL(Automotive Grade Linux)、Android™、OASIS、SOAFEE(Scalable Open Architecture For Embedded Edge)等の業界団体が推進するオープンソースのデバイス仮想化技術「VirtIO(バーチオ)」を車載向けに業界標準化してく姿勢を、より鮮明化させた。

ちなみに上記の「VirtIO」とは、ストレージやネットワークのI/O処理を高速化するための「準仮想化ドライバー」の共通フレームワークを指すもの。

なお、この取り組みに対してPASは既に、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、日産自動車、トヨタ自動車並びに関連IT系企業各社から賛同を得た。

ちなみに同社は既に、VirtIOに準拠したCDC(Cockpit Domain Controller/コクピット・ドメイン・コントローラー/複数ディスプレイとシステムを一元管理するシステム)向けの車載ソフトウェアプラットフォームの開発を完了。

今後も、車載ソフトウェアをVirtIO準拠で、より精力的に開発・推進していくことで自動車産業界の開発革新に貢献していきたいと話している。

そんなPASが、VirtIO準拠を急ぐ背景には、自動車の製品価値やイノベーションの多くがソフトウェアによって実現される「SDV(Software Defined Vehicle/ソフトウェア定義型車両)」の時代を迎えていることがある。

近年、ソフトウェアを高速化させることがモビリティの競争力の鍵となって久しく、そのためには車種や車の世代の違いを越えてソフトウェアを共通化し継続的に発展させることが不可欠だ。

それゆえ異なるハードウェア上で、共通のソフトウェアを動作させるオープンなデバイス仮想化技術の確立が必要だとPASでは謳っている。

そうしたなかでVirtIOは、デバイス仮想化を実現するためのキー技術になる。また、VirtIOを採用することで、クラウドサーバ等のコンピュータ上に仮想的なハードウェア環境を構築できる点が大きな強みになる。

それにより実車両のハードウェア開発前から各社が仮想ハードウェア上でソフトウェアの開発・進化が可能となり、開発スピードの大幅な圧縮が実現する。

PASは、VirtIOの車載向け開発と業界標準化の推進を自動車業界、関連IT業界、半導体業界を巻き込みながら、2018年からグローバルにリードしてきた。

それはVirtIOが業界標準として確立されることで、最適なハードウェア技術を選択できる健全なエコシステムの構築が可能となるからだ。

そこで今回、VirtIOを業界標準化すること、および標準化推進の取り組みで、国際的な自動車メーカーや関連企業などから賛同を獲得。車載ソフトウエアを、より大きく進化させていくことでSDV時代に相応しい自動車産業の改革に貢献していきたい考えだ。

以下はPAS並びに賛同を得た企業各社のコメントとなる

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PAS代表取締役 副社長執行役員 チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO) 水山正重氏
SDV時代における自動車の開発革新に向けて、VirtIOを採用し、各社が自社の車載ソフトウェアアセットをVirtIO準拠して開発していくことが重要となります。

当社は、ソフトウェアプラットフォームのみならず、VirtIO準拠の仮想ハードウェアとしてvSkipGenを開発しており、自社のSDV開発に使用すると共に、社外提供を可能にしています。

自動車会社、および車載ソフトウェアや車載部品の開発に携わる企業の皆様にも本趣旨に賛同し、提供される製品をVirtIOに準拠することで、エコシステムのグローバルでの発展に貢献されることを期待します。

今後はSDV時代に於いて、その技術資産価値がますます高まるソフトウェアを高速に進化させると共に、VirtIOの適用範囲も広げ、エコシステムの拡大も図っていきます。

またオープンソース技術を活用しながら標準形成および拡大に挑むという点で、自動車業界に留まらず、Software Definedの領域が広がっていく製造業全体に於ける今後の技術革新の方向性を示す非常に意義深い活動と考えております。

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本田技研工業株式会社
執行職 エグゼクティブチーフエンジニア 四輪事業本部 SDV事業開発統括部 統括部長 四竈 真人 氏
Hondaは、SDVの実現によって車の価値が大きく向上すると考えています。そのためには、開発規模の拡大、システムの統合、そして開発スピードの加速が不可欠であり、数多くのチャレンジが伴います。

特に、ソフトウェアを資産として継続的に価値を高めることが重要であり、ハードウェアの進化や変化に依存しない技術が求められます。

VirtIOは、その課題を解決する可能性を持つキーテクノロジーであり、こうした取り組みがSDV開発を加速させると期待しています。また、VirtIOの活用はHondaのみならず、業界全体の技術基盤を強化し、持続的な価値創出に寄与するものと考えています。

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マツダ株式会社
執行役員 今田 道宏 氏
マツダは、2030 VISION「『走る歓び』で移動体験の感動を量産するクルマ好きの会社になる。」を掲げ、モデルベース開発の進化とAIの活用を通じた、複雑化に対応する開発技術やプロセスの変革に取り組んでいます。

その上で、ソフトウェアの進化を活かし、「ひと中心」の体験価値向上を実現するには、最適なハードウェア構成を柔軟に選択し、機能やサービスを担うソフトウェア開発を継続的に進められる共通基盤が必要不可欠です。

マツダは、VirtIOを、将来のシステム構成の進化に応じてアーキテクチャの整合性を保つための共通インターフェースと捉え、今後の共通基盤を支える有効な技術として早期よりその可能性の検討と導入を進めてきました。そして、VirtIOが価値づくりに資する技術としての成熟に期待するとともに、その発展に貢献してまいります。

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三菱自動車工業株式会社
理事・第2車両技術開発本部長 石黒 徹 氏
三菱自動車工業は、お客様価値の継続的向上のため、コネクテッド基盤とOTA更新の運用を通じ、クルマの価値を継続的に高める取り組みを加速しています。

ソフトウェア開発におけるVirtIOによるデバイス仮想化の標準化は、ハードウェアに非依存の開発環境の実現、クラウド環境と実機環境の高い相関性や再現性をもたらすと共に、業界横断でのVirtIOの採用によるマルチベンダ環境開発とエコシステムの相互運用の拡大を後押しする重要な開発基盤となります。

当社は本活動に賛同し、SDV時代のモビリティ体験の一層の進化と普及に取り組みます。

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日産自動車株式会社
フェロー 佐々木 徹夫 氏
日産自動車は、SDV時代に求められる革新的なモビリティ体験を実現するため、VirtIO標準化を重要な基盤の一つと位置づけています。

ECU仮想化における性能・リアルタイム性の課題をVirtIOで解決し、実ECU上に標準化された仮想化インターフェースを実装することで、クラウドネイティブなオフボード開発・検証環境でも共通バイナリで実車オンボードに近い挙動の高精度な検証が可能となります。

こうした開発・検証プロセスの高度化が、お客様価値の進化を加速すると考えており、VirtIOの標準化の普及と発展を支援してまいります。

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アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
常務執行役員 技術統括本部長 巨勢 泰宏 氏
アマゾン ウェブ サービス (AWS) が提供するAWS Graviton上で、オープンソースのデバイス仮想化技術「VirtIO」に準拠したパナソニック オートモーティブシステムズ株式会社様のSDV開発環境 vSkipGen が実用化されており、この環境で開発された車載用OSやアプリが、そのまま実ハードウェア(ECU)でも動作することが実証されています。

このVirtIOを使うことで、自動車のソフトウェア開発は、実ハードウェア(ECU)を手配する前からAWSクラウド上で開発に着手および機能検証までできるようになりました。

VirtIOの業界標準化の推進は、自動車のソフトウェア開発からOTAアップデートによる価値向上ならびに品質向上に貢献すると同時に、AWSクラウド上でのAgentic AIを組合せることで、さらなる開発効率化、エージェントとの対話による高度なドライバー体験提供のような新たな価値を生み出せます。AWSは、自動車業界における開発のイノベーション加速に貢献していきます。

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AMD
Director, Embedded Systems (Automotive and Robotics) & Software Ecosystem, Simon George 氏
ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)への移行には、ソフトウェアのイノベーションとハードウェアのライフサイクルを切り離すオープンスタンダードが不可欠です。

パナソニック オートモーティブシステムズによるVirtIO標準化への取り組みは、業界にとって透明性と拡張性に優れたエコシステム構築に向けた意義深い一歩です。

AMDは、オープンな仮想化フレームワークと高性能なヘテロジニアス・コンピューティングを組み合わせることで、世界中の自動車メーカーの長期的な柔軟性を維持しながら、市場投入までの時間を短縮するための基盤が築かれると考えています。

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Arm
フィジカルAIビジネスユニット 製品・ソリューション担当 バイスプレジデント Suraj Gajendra 氏
次のフィジカルAIイノベーションの波は、現実世界の制約下においても高い信頼性を発揮するAIおよびソフトウェアによって定義されます。

その実現には、信頼性、スケーラビリティ、そして長期的なイノベーションを可能にするオープンで標準ベースのプラットフォームが不可欠です。

VirtIOは、AIデファインドビークルを前進させるための重要な基盤技術であり、エコシステムとの協業を通じてSOAFEEに準拠したアプローチを推進し、信頼性と効率性を兼ね備えた自動車向けソフトウェアプラットフォームをグローバルに拡大していきます。

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Automotive Grade Linux
エグゼクティブ ディレクター Dan Cauchy 氏
パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)は、Automotive Grade Linux (AGL) の設立当初より、コミュニティの礎となる存在であり続けています。AGLの重要なボードメンバーであり、SDVエキスパートグループのリーダーとして、PASはSDVの未来を定義する上で極めて重要な役割を果たしています。

同社による多大な技術的貢献、特にVirtIOに関する広範な取り組みは、AGL SoDeVプラットフォームの不可欠な構成要素となっており、モダンで拡張性に優れたアーキテクチャで要となるデバイスとハードウェアの抽象化を提供しています。

オートモーティブ イノベーションの加速に向けて共に取り組む中で、同社の継続的な協力とリーダーシップを高く評価し感謝しています。

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Eclipse Foundation
SDV Ecosystem Development Director, Ansgar Lindwedel 氏
オープンソースは、共有可能な構成要素(ビルディングブロック)と共通インターフェースを実現することで、ソフトウェアをハードウェアから切り離し、プラットフォーム間の可搬性を高めるという点で、ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)において極めて重要な役割を果たします。

Eclipse SDVエコシステムにおいて、Eclipse S-COREのような取り組みは、ステークホルダーを結集し、再利用可能で相互運用性のあるコンポーネントをオープンに開発することを推進しています。

オープンなインターフェースや仮想化技術を前進させる業界の取り組みは、こうした活動と補完関係にあり、OEM、サプライヤー、シリコンプロバイダー、そしてグローバルなオープンソースコミュニティにわたる、幅広く建設的な参画を歓迎します。

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Google
VP, Engineering, Android Automotive, Patrick Brady 氏
VirtIOは、自動車ソフトウェア開発での仮想化とハードウェア非依存性を実現する上で、極めて重要な基盤技術です。Googleでは、Android Automotive OSとクラウドネイティブな開発環境の両方で、長年にわたりVirtIOを標準I/Oインターフェースとして正式に採用してきました。

VirtIOは幅広いデバイス拡張をサポートし、複数のハイパーバイザとハードウェア構成にわたって安定した動作と高い汎用性を実現します。Panasonic AutomotiveによるVirtIOの標準化とAndroid開発への継続的な貢献に感謝します。

Googleは今後もパートナーと協力し、VirtIOの強化とオープンなエコシステムを拡大し、SDV時代にふさわしい持続可能なプラットフォームの実現に取り組んでまいります。

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MediaTek Inc.
Corporate Vice President, General Manager of Automotive Platform Business, Mike Chang 氏
VirtIOは、次世代の自動車アーキテクチャの複雑化に対応することで、SDV(Software Defined Vehicle)を実現する上で戦略的な役割を果たします。

MediaTekは、移行に伴う課題での大規模なソフトウェアの再作業を削減し、スケーラビリティを維持するために、パートナーや顧客と緊密に連携し、VirtIOを弊社Dimensity Autoプラットフォームに統合します。これにより、市場投入までの時間を短縮し、SDVへの移行を可能にします。

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Qualcomm Technologies, Inc.
VP & GM, Software, Auto & IE-IOT, Laxmi Rayapudi 氏
仮想化は、ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)を支える基盤的な柱であり、多様なプラットフォームや分断されたアーキテクチャが混在する自動車分野特有の複雑性を切り離し、解消する上で、ますます重要な役割を果たしています。

デバイスからクラウド環境にわたるポータビリティを実現することで、開発、テスト、迅速なプロトタイピングを加速します。Qualcomm Technologies は、自動車分野における要件の高度化に対応するため、進化を続ける VirtIO の発展に今後も継続して取り組んでまいります。

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ルネサス エレクトロニクス株式会社
ハイパフォーマンスコンピューティングSoC事業部 ヴァイスプレジデント Aish Dubey 氏
ルネサスは、車載向け半導体ソリューションプロバイダとして、SoC内部のハードウェア仮想化支援機構を強化するとともに、ソフトウェア面での仮想化対応も積極的に進めています。

その一環として、自社SoC向け基本ソフトウェアにおいてVirtIOサポートの拡充を図っており、パナソニック オートモーティブが推進するVirtIO標準化の取り組みに強く賛同します。

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株式会社テレチップス
R&D division, Head of System Semiconductor Center, Moonsoo Kim 氏
変遷の激しい車載市場において、ソフトウェアの開発規模は増す一方です。VirtIOは、仮想環境と現実環境間のソフトウェアの一貫性を向上させ、より正確かつ効率的な開発を可能にするための重要な一歩になると考えております。

VirtIOは、これからのSDV時代にとってさらに重要な技術になり、テレチップスはVirtIOのサポートに尽力しております。今後、さらにパナソニック オートモーティブシステムズ社と協力し、オープンでスケーラブルな車載ソフトウェアのエコシステム推進に尽力できることを大変嬉しく思います。

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Xen Project
Community Manager, Cody Zuschlag 氏
Xen Projectは、VirtIOがソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)を実現するための重要な基盤技術であると考えています。SDVの開発が加速する中、自動車プラットフォームには、性能、移植性、そして長期的なソフトウェア価値を維持しながら、増大する複雑性を管理することが求められています。

Xenコミュニティは、数年にわたり自動車ユースケース向けのVirtIOの発展に取り組んできました。そこでは、効率的かつ標準化されたVirtIOサポートを提供するだけでなく、安全性およびセキュリティ特性の強化にも注力しています。

これらの取り組みは、無干渉(Freedom‑from‑Interference)機能を備えた安全認証システムから、PCIeを介して動作するヘテロジニアス・コンピューティング・プラットフォームに至るまで、VirtIOの適用可能範囲を拡張するものです。

Xen Projectは、パナソニック オートモーティブシステムズの取り組みを歓迎するとともに、VirtIOの採用促進、標準化、そして業界全体への影響力を加速させるために協業できる機会を高く評価しています。