カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリ経営統合ヘ


FCAことフィアット・クライスラー・オートモービル・N.V.は英国時間の10月22日、マニエッティ・マレリ S.p.A.をカルソニックカンセイ親会社のCKホールディングスに売却すると発表した。これによりCKホールディングスは、マニエッティ・マレリCK ホールディングスに商号変更し、この両社の事業統合で総売上高で世界第 7 位の独立系自動車部品メーカーが誕生する。

統合後の新会社はマニエッティ・マレリ CK ホールディングス名に。約2兆円の売上高で独立系自動車部品メーカーとして世界10位に躍り出る

なおマニエッティ・マレリの株式価値は約8,060億円(1ユーロ=130円換算)に到達する見込みだ。なお取引交渉は規制当局の承認等を得るため2019年上半期中に完了する予定としている。

結果、カルソニックとマニエッティ・マレリが統合された後の両社の合計売上高は約1兆9,750億円と、世界有数の独立系自動車部品メーカーが誕生する。

また両社では世界的ネットワークを持つ独立したティア1サプライヤーを目指すカルソニックカンセイとマニエッティ・マレリの戦略目標に向けた大きな第一歩でもあると謳っている。

統合後の新会社は、互いの製品ラインと事業エリアの相互補完を介して世界中の顧客に対してサービスを拡充を目指す体制に向け推し進めていく。また世界で約200カ所以上の工場拠点を有し、欧州、日本、米州、アジア太平洋地域に研究開発センターを有する企業となる。

なおこれまでマニエッティ・マレリの親会社であったFCAとは複数年の部品供給契約を締結することで合意済としている。このためマニエッティ・マレリのイタリアでの事業と製造拠点が維持されるとしている。

また昨今のカルソニックは、車両のコクピット回りの設計開発に注力しており、一方でマニエッティ・マレリが通信環境の技術開発に注力していることから、両社の現時点での強みは互いに理想的な補完関係になると見られている。

カルソニックカンセイの本社は埼玉県。新会社の本社は伊ミラノのコルベッタに。マニエッティ・マレリの売却額は株式価値で約8,060億円に達する

統合後の新会社は、カルソニックカンセイの現CEOであるベダ・ボルゼニウスが日本を拠点に据えて経営にあたる予定。一方マニエッティ・マレリのCEOであるエルマンノ・フェラーリーは、マニエッティ・マレリCKホールディングスの取締役に就任する予定だ。

今回の統合に関してFCAのCEOであるマイク・マンレー氏は、「マニエッティ・マレリが次のステージへと飛躍する可能性を十分に発揮できるような選択肢を慎重に検討した結果、カルソニックカンセイとの統合が、お客様、そして従業員にとって、マニエッティ・マレリの将来の成長を加速させる観点で、最も理想的な機会だと考えるに至りました。

統合後も、同社はFCAにとって最も重要な取引先であり、今後も両社の関係が一層強化されることを期待しています。今回の統合はマニエッティ・マレリの戦略的な価値が認められたものであり、価値を創造していくという当社の不断の努力の成果だと思います」と述べた。

両社の拠点と製品ラインが補完される他、FCAは複数年の製品供給に合意しイタリアの雇用維持を保証する方向へ

一方、カルソニックカンセイのCEOであるベダ・ボルゼニウス氏は「われわれの業界は、大きな変革の時期を迎えており、今後も一層の激動が続くことと思われます。

そのような中、カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリが統合し、世界 10 位に入る競争力のある自動車部品サプライヤー企業を形成することに非常に期待しています。

両社にとっては拠点、製品ラインが補完されることとなり、また、両社のお客様にとっても新会社が人材やプロセス、また、革新的な新製品の開発に一層投資することで大変意義のある統合になると思います」と話している。

対してマニエッティ・マレリのCEO であるエルマンノ・フェラーリー氏は、「 マニエッティ・マレリ、カルソニックカンセイの両社は、グローバルで幅広い製品ラインと事業エリア、専門的知見と将来の可能性をもたらす画期的な日を迎えることができました。

全ての従業員が、安定性と成長性を持つ、情熱と希望そして自信にあふれた独立した大企業の一員となる素晴らしい機会となりました」と結んでいる。