トヨタグループの自動車部品メーカー のアイシン精機株式会社(本社:愛知県刈谷市、代表取締役社長:伊原保守)とアイシン・エィ・ダブリュ株式会社(本社:愛知県安城市、社長:尾﨑和久)は3月7日、Fenox Venture Capital(以下 Fenox VC)をGPとして約55億円のベンチャー投資ファンドを設立したと発表した。
アイシンはトヨタ自動車系列であるものの実際には、世界各地の会社に部品を供給しており、同社がベンチャーファンドを組成した背景には、EVや自動運転車、ライドシェアサービスなど自動車産業における新興技術の勃興にあるとしている。
そこでアイシンは、シリコンバレーを中心に世界中の技術を発掘しているFenox VCと協力、世界最先端技術を持つ企業への接触機会を拡大するため、自動車事業の底上げに繋がる提携の促進を目指していく構え。
協力先のFenox VCは世界の拠点にベンチャー投資活動を行う他、今回の協力にあたってはベンチャー企業とアイシンとの橋渡しとして事業開発支援にも力を入れていくとしている。
今回の投資ファンド設立にあたって、アイシン精機株式会社の取締役副社長で技術開発部門を管掌する藤江直文氏は、「世界屈指の総合自動車部品メーカーとしての地位を確立した今、次世代をリードするための種を集める必要があります。
Fenox VCはアジアを中心とする大手企業のイノベーション促進支援の経験が豊富で、アイシングループを支援するだけのチーム力も兼ね備えています。
また、我々の多岐にわたる事業分野への理解も深く、次世代をリードするための種を集めるパートナーとしてとても期待しています。
真の競争力を身につけ、社会に新たな価値を提案できる元気な会社を目指して、Fenox VCと共にイノベーション活動をしてまいります」と述べている。
対してFenox VCの共同代表パートナー兼CEOのAnis Uzzamanは、「我々Fenox VCはこれまで、大手事業会社の皆様と共に世界中のベンチャー企業との連携を図ってきました。
この経験とFenoxチームの支援体制を活かして、グローバルで活躍するアイシングループの皆様とともに活動できることを、非常に嬉しく思います。
アイシンの求める技術分野の最先端情報をいち早く集め、彼らの事業伸長に役立つ提携を次々に実現していきます。アイシングループが次世代をリードし、日本の自動車産業全体をより活性化するべくチーム一同努めてまいります」と語っている。
なお、この約55億円のファンドがターゲットとする投資分野は以下の通り。
自動運転、ゼロエミッション、コネクテッドビークルをキーワードとした世界中の自動車関連技術全般、AI、IoT, AR/VR等の最先端技術分野、ハードとソフトの融合をキーワードとした分野等など、
該当ファンドでは、世界中から広く技術ベンチャーを発掘するべく、様々なベンチャー企業に門戸を開く予定だ。
ちなみにアイシン精機は、トヨタグループの国内第2位の自動車部品メーカー。現在は日本国内外問わずトヨタグループ以外の自動車会社にも製品を供給している。
世界トップレベルとも言われているオートマチックトランスミッションの他、エンジン関連、ドア関連、GPAカーナビゲーション等を開発、生産している。
同社が今後の重点開発領域として位置付けている分野は、「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクティッド」がキーワード。2016年度のアイシングループ全体の売上は3兆5,626億円となっている。
アイシン・エィ・ダブリュ株式会社は、アイシン精機の子会社で、世界シェア第1位のオートマチックトランスミッション、世界シェア第2位のカーナビゲーションシステムの専門メーカーである。
また、Vehicle Information Technologyの分野で世界初のボイスナビゲーションシステムの開発に成功するなど、先駆者的役割を果たしてきた。
現在は次世代のモビリティ社会に向け電子領域への開発を一層加速させるなど、時代に先駆けた社会に役立つ商品開発に挑んでいる。
今回の協力先となったFenox Venture Capitalは、米国シリコンバレーに本社を構え、Jiboやx.ai、Color Genomics、Affectiva、metaなどこれまでに世界で120社以上のベンチャー企業に投資を行ってきたベンチャーキャピタル。
日本では、メタップス(東証マザーズ上場:2015年8月28日)、エボラブルアジア(東証マザーズ上場:2016年3月31日)、マネーフォワード(東証マザーズ上場:2017年9月29日)、ジーニー(東証マザーズ上場:2017年12月18日)やディー・エル・イー(東証マザーズ上場:2014年3月26日、東証一部へ市場変更:2016年4月15日)といった企業のほか、お金のデザイン、テラモーターズ、ZUU、FiNC等へ投資を行い、投資先企業の米国進出や東南アジア展開の支援等を行っている。