日立化成、全固体電池の電解質技術を有するアイオニック・マテリアルズに出資


日立化成株式会社(本社:東京都千代田区、執行役社長:丸山 寿)は、全固体電池の主要部材のひとつである固体電解質の開発・製造技術を有するアイオニック・マテリアルズ(Ionic Materials, Inc.、本社:米国マサチューセッツ州、CEO and Founder:Michael Zimmerman, Ph.D.)へ出資した。

従来のリチウムイオン電池(左)と全固体電池(右)のイメージ図

これは日立化成及びアイオニック・マテリアルズの両社による研究開発を推進するためのもの。同出資を機に日立化成は、アイオニック・マテリアルズの固体電解質に関する技術を活用し、全固体電池向け負極材の開発も視野に研究を進めていく構えだ。

現在、電池メーカーや自動車メーカーなどで全固体電池の開発が進められている。この全固体電池には、固体電解質を用いるため、旧来の電解液を使用する従来のリチウムイオン電池に比べ、より高いエネルギー密度を実現できる次世代の電池として期待されている。

ちなみに現在各社で開発されている固体電解質は、主に無機系と樹脂系の2種類に分類される。

無機系は電解質のイオン伝導度*3が高いため、素早く充電・放電ができる電池を実現できる。

一方で樹脂系は、無機系と比べて電解質の柔軟性が高く、電極との密着性に優れていることから、電解質内の多くのリチウムイオンが電極に移動できるため、大きい容量の充電・放電ができる電池の実現が期待されている。

今回、日立化成が出資したアイオニック・マテリアルズは、樹脂系の固体電解質の開発・製造技術を有している。

これまで樹脂系の固体電解質は、無機系と比べてイオン伝導度が低いという課題があったのだが、アイオニック・マテリアルズの固体電解質は、従来のリチウムイオン電池の電解液と同等のイオン伝導度を有しており、こうした技術優位性を持つ同社との研究開発を推進するために同社への出資を決めた。

この出資を機に日立化成は、アイオニック・マテリアルズの固体電解質に関する技術を活用し、全固体電池向け負極材の開発も視野に入れ、次世代材料の研究を進めていくとしている。

社 名:(アイオニック・マテリアルズ社)Ionic Materials, Inc.
本 社:米国マサチューセッツ州
設 立:2011年
CEO and Founder :Michael Zimmerman, Ph.D.