燃料電池車(FCV) 量産が2020年度頃から始まり、市場は2兆6,270億円(170.6倍)に拡大する
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(本社:東京都中央区、代表取締役社長:清口 正夫)は、環境負荷軽減のため、エンジン代替技術として商用レベルでの実用化が進められている燃料電池システムの世界市場の調査レポートを発表した。
その結果を報告書「2017年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」にまとめており、同報告書では、燃料電池システムの世界市場を用途分野別、タイプ別、需要エリア別に調査・分析、将来を予測した。
また併せてPEFCとSOFCの主要スタック部品市場についても調査・分析している。
その調査結果の概要によると、燃料電池の用途分野別世界市場は、2016年度は金額ベースで1,345億円、容量ベースで480MWとなっている。
個々ジャンルの占有率は、産業・業務用とその他に含まれる家庭用で市場の約8割を占めると云う。また用途分野別にみると、産業・業務用、燃料電池車用、駆動用の3分野が好調だった。
一方、産業・業務用は発電所向けなどの大型設備導入に加え、民間企業における分散型電源ニーズが拡大している。燃料電池車は日系自動車メーカーの生産台数が増加し、今後は新規参入の増加が期待されるとする。
一方で産業・業務用としたジャンルでは、北米・韓国での大規模集中発電向けが市場をけん引しており、米国ではデータセンター向けの分散電源ニーズが高まっている。
産業自体の自立化は図られており、2017年から日系メーカー各社で高効率SOFCの製品化が予定されており、小型業務用途で市場開拓が進むとしている。
燃料電池車では、日系自動車メーカーのFCVの生産台数が増加しており、日本・北米を中心に市場は拡大していく。
また2017年度にはDaimlerが新規参入し、現代自動車が新型車を発売するなど盛り上がりをみせているが、2020年度以降、その他自動車メーカーの新規参入や、FCVの量産体制が整うとみられ、本格的に市場が拡大すると予想する。
なお今後は、水素インフラの整備とFCシステムの低価格化が普及課題となっていくだろうしている。
駆動用燃料電池は、フォークリフト向けが市場をけん引、バス、鉄道向けの商用化が進み、913億円(9.5倍)に拡大へ
対して駆動用では、フォークリフト向けが市場をけん引しており、2017年度もその傾向が続いている。
台数ベースではフォークリフト向けが9割以上を占めるが、バスや鉄道向けの商用化が進んでおり、日本では2017年から都内で運行が開始されているほか、欧州では実証を経て商用化される。
海外に目を転じると、中国ではすでに数十台のバスが運行されており、今後急激に導入台数が増加。配送車や大型トラック向けの製品開発も行われており、用途開発が世界で進んでいる。
ひるがえって日本では世界初の保安基準に対応し型式認定を取得したスクーターの公道走行が実現し、船舶での実証も行われている。水素ステーション整備と同時に、商業ベースでの運用を考慮したフリート走行実現が期待されるとしている。
主要スタック部品市場でPEFCスタック部品は、FCV向けが市場の3分の1を占める。FCVの市販が開始されているものの、現状ではまだPEFCスタック部品の市場を押し上げる影響力は小さく、FCVの量産体制が整う2020年度頃から市場が拡大するとみられる。
対してFCVのスタック部品は、現状ではエンジン程度まで小型化が進んでおり、今後さらに小型化が進展すると見ている。
SOFCスタック部品は、参入企業が2016年度まではBloom Energyとアイシン精機(セルスタックは京セラ)に限られていたが、2017年度は京セラが自社ブランドで業務用SOFCの製品展開を開始し、その他にも複数の企業が市場参入を発表している。
SOFCは作動温度が高温であるため、セラミックおよび耐熱金属以外の材料選択が難しく、作動温度の低温化による安価な材料への代替に向けた開発が進められている。
将来的には、安価な新規材料への代替や、需要増加により単価が下がるとみられ、PEFCスタック部品に比べて市場は小規模にとどまると予想した。
調査期間:2017年7月~9月
資料タイトル:「2017年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」
体 裁:A4判 216頁
価 格:書籍版 150,000円+税
PDF版 150,000円+税
書籍版・PDF版セット 170,000円+税
ネットワークパッケージ版 300,000円+税
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