アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)と、NVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼 CEO:ジェンスン・フアン)は1月4日、両社の10年にわたる両社のパートナーシップを本格化させ、2020年の路上走行実現に向け、AI 搭載自動車の共同開発を進めると発表した。
米国ラスベガスで開催されたCES2017のオープニングの基調講演に登壇したNVIDIAの創設者兼CEOであるジェンスン・フアン (Jen-Hsun Huang)氏は、アウディの米国法人Audi of Americaの社長であるスコット キーオ(Scott Keogh)氏をステージに迎え、運転の複雑さを解消するためにアウディ車の今後のモデルでディープラーニングが採用される予定であると述べた。
両社の新たな提携・第1段階では、自動運転車向けAIプラットフォームNVIDIA DRIVE™ PXに焦点を合わせ、トレーニング済みの AI ニューラルネットワークを利用して周辺環境を把握し、安全な進路を事前決定できるようになることを目指すと云う。
これについてフアン氏は、「NVIDIA は、ディープラーニング型 AI による交通改革を率先して進めています。
アウディが当社のAI搭載自動車向けDRIVEコンピューティング プラットフォームを採用することで、次世代の自動運転車の普及が加速されるはずです。
これにより、運転の安全性が高まり、新たなモビリティ サービスが誕生する未来へと近づくことができるでしょう」と述べた。
一方キーオ氏は、「アウディのドライバーはパフォーマンスとテクノロジの頂点を知っています。
路上走行の安全性向上に向けた両社の共同研究において、アウディとNVIDIAのパートナーシップをディープラーニングや人工知能へと拡大することで、より高度な自動運転車の路上走行を早期に実現したいと考えています」と語っている。
今年のCES2017の目玉のひとつは、Audi Q7コンセプトカーのデモだった。CESの来場者は、運転席が無人の自動運転車の後部座席に試乗できる。
DRIVE PX 2を搭載し、NVIDIA DriveWorksソフトウェアを実行するQ7には、ディープ ニューラルネットワーク「NVIDIA PilotNet」が採用されている。
NVIDIA PilotNetは、変化する周辺環境を認知して理解しながら、安全な走行を実現する。コースはデモ中に変更され、様々な路面を体験でき、車線が引かれていない箇所や、迂回が必要な工事区間などのシミュレーションも用意された。
フアン氏は自社の基調講演で、AIがドライバーのニーズを予測するしくみ (朝の通勤時と夜の帰宅時の運転、ガレージの扉の自動開閉、個々の好みに合わせた車内環境の調整) のほか、自然な会話の言語で要求を理解し、対応できるしくみについても説明した。
CESでNVIDIAとアウディが最初に揃って登場したのは、今から7年前。両社は当時発表したテクノロジー パートナーシップを着実に拡大してきた。
その成果には、受賞歴のある Audi MMIナビゲーションや、Audi バーチャル コックピットなどがあり、それらは現在、アウディの複数のセダン、SUV、スポーツカーで幅広く提供されている。
また今後数か月のうちに、アウディは最新の「A8」をロールアウトする予定だ。zFAS を利用したTraffic Jam Pilotシステムを採用し、世界初の「レベル 3」自動運転車であるA8には、NVIDIAのハードウェアとソフトウェアが搭載されている。
なおNVIDIAは、1999年にPC ゲーム市場の拡大に拍車をかけたGPUを開発。現代のコンピューターグラフィックスを再定義に貢献した。最近では、GPUディープラーニングがAI開発の火付け役となり、ロボットや自動運転車の脳の役割を果たした。