日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は10日、栃木工場でインフィニティブランドの新型スポーツクーペ「Q60」の本格生産に入ったと発表した。
栃木工場は、インフィニティブランドが誕生した1989年から同ブランドの車両の生産を行っている。
新型「Q60」の生産開始は、栃木工場の歴史において新たなページを刻むもの。同社はこの新型車の要件を満たすべく、生産ラインの改良を実施し革新的な生産プロセスを導入した。
生産ラインの改良
業界最高レベルの生産技術によって、インフィニティのデザイナーは、「Q60」の特徴である鋭いアングルとボディラインを描くことができた。
深いボディプレス加工技術の採用や、「Q60」の特長的な樹脂製トランクリッド用の新しい治具の設置など、プレスおよび組立工程を中心に改良を施した。
また、品質管理のさらなる向上のため、検査工程に新しい照明システム、組立工程にカメラ・ビデオシステムをそれぞれ導入した。
「Q60」のユニークなトランクリッドを高い品質で実現するために、生産、デザイン、開発の各チームが緊密に連携。同社によると、このトランクリッドは、スチール製のフレームと樹脂製の外板が組み合わされた世界初のものだと云う。
合わせて今回のインフィニティ車生産のための栃木工場における大きな改良点として、新たに専用の塗装ブースを設置した。
これは、「Q60」の新色であるダイナミック・サンドストーン・レッドの塗装のために導入された。同社では、同車のつやのある深い赤色の仕上げには、インフィニティの塗装のエキスパートが開発した、機械と人間の手による塗装を組み合わせた新しい塗装手順が必要と述べている。
なおこの新しい塗装ブースで、塗装の厚さや品質をより緻密に管理できるようになった。新たに開発したダイナミック・サンドストーン・レッド塗装工程は、数百種類の塗料配合・塗布方法をテストした結果、生まれた。
またインフィニティの生産ラインのために、栃木工場で働く4,500名の中から、216名の高度な技能を有する熟練の職人である「匠」が選出されている。
インフィニティの匠は、高い技能を備えているだけでなく、プレミアムカーの生産に関する特別な訓練を受け、インフィニティとそのコアバリューに対して深い理解を有している人が選ばれる。
匠は、カイゼンの手法に忠実であり、新しい技法やスキルを学ぶため、定期的な集中トレーニングを受けている。
この匠は、プレス加工、車体、塗装、組立、品質保証といった「Q60」の生産ラインの全てのセクションで活躍する。
さらに、インフィニティの生産のために選ばれた匠の中から、6名が、プレミアムモデルの生産に最も精通し、インフィニティユーザーの要望と期待を最も理解した「マイスター」となる。
マイスターは、栃木工場におけるインフィニティの生産のあらゆる面を監督し、インフィニティモデルならではの特徴に対応できる生産工程になっているかを確認する役割を担う。