WEC2025第7戦・富士6時間、TGRは7号車が8位・8号車は16位に

9月28日(日)、ホームの富士スピードウェイでFIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間の決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDは、7号車が14番手からスタートし追い上げて8位でフィニッシュ。8号車はペナルティにより遅れながらも最後まで粘り強く走り続け、16位で完走を果たした。

この週末を通じて66,400人の大観衆が見守る中、TGRのGR010 HYBRIDは激しい上位争いに挑んだ。小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手の7号車は、14番手からのスタートながら力強い追い上げを見せ、レース中盤には一時トップを走行。しかし、不運なタイミングで導入されたセーフティカーによりポジションを落としたものの、その後も力強く追い上げ、8位でチェッカーを受けた。

一方、セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手のGR010 HYBRID 8号車は、厳しいレースを最後まで戦い抜き、2周遅れの16位で完走した。

スタート直後からTGRは困難に直面した。8番手グリッドからスタートしたブエミ選手の8号車は、アルピーヌ35号車に後方から接触され左後輪がパンク。この修復のためフルコースイエロー(FCY)中に緊急ピットインを余儀なくされ、17位に後退した。そしてその後、FCYの手順違反により3分間のストップ&ゴーというペナルティを科され、2周遅れの最後尾18位までポジションを落とすこととなった。

一方、14番手からスタートしたコンウェイの7号車は、最初のスティントをクリーンに走り切り、レース開始から45分ほど経過したところで出されたバーチャルセーフティカー(VSC)時にピットインし、デ・フリース選手へとドライバー交代。デ・フリース選手は素晴らしい走りでトップ10圏内を狙える位置まで浮上し、ポルシェ6号車とアルピーヌ36号車を立て続けにパスして9位へと順位を上げた。

レースが2時間を経過したところで、7号車がピットへ向かうとクラッシュ車両によるVSCが発動。これにより最小限のタイムロスでこのピット作業を終え、一気に3位へ浮上。その後も好走を続け、レース折り返しの3時間経過時には、2位にまで順位を上げた。更に次のピットストップ前には一時トップに立つ場面もあったが、その後に出されたセーフティカーにより上位争いのチャンスを逃した。

これは、燃料がほぼ尽きていたため、セーフティカー導入によるピットロード閉鎖中に給油を余儀なくされ、レギュレーションに則って最低限の給油を行ったうえで、ピットロードオープン後に再ピットインしたため。

その後、小林選手へとドライバー交代を行った7号車は、隊列の後方、13位でコースに復帰した。一方、8号車は2周遅れのまま厳しいレースを走り続け、16位でハートレー選手から平川選手へと交代し、最後の2時間に挑んだ。

残り2時間、セーフティカーが退去して本格的にレースが再開されると、小林選手は猛烈な追い上げを見せてトップ10圏内に復帰。残り1時間で最後の給油ピットストップを終えた後も更に順位を上げ、最終的に8位でチェッカー。平川選手も安定した走行で16位でフィニッシュした。なお次回の11月8日(土)開催の次戦バーレーン8時間がシーズン最終戦となる。

 

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
ホームレースで望んでいた結果にはなりませんでした。全力を尽くしましたが、不運なセーフティカーのタイミングがすべてを狂わせてしまいました。その時点では我々はトップ争いをしていましたが、その後も上位復帰を目指して戦い続け、8位まで上がるのが精一杯でした。

パフォーマンス面で苦戦した週末でしたが、この経験を糧にしなければなりません。チームとしてできることはすべてやりましたが、それでもまだ足りませんでした。次戦は今季の最終戦です。表彰台に立ちたいですし、できれば勝ってこの厳しいシーズンを締めくくりたいと思っています。そのためにベストを尽くします。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
一時は良いレースができていたと思いますが、どうしようもないタイミングでのセーフティカーに運を奪われてしまいました。我々はいい形でレースを進め、そのおかげで上位争いに加わることもできました。8位フィニッシュでポイントを獲得できたのは良かったですが、やはりペースが絶対的に不足していました。

多くのトヨタの仲間やパートナー、その家族、そしてTGRのファンの皆さんがグランドスタンドを埋め尽くして応援してくれたことは本当に素晴らしかったです。彼らの声援に応えられるよう全力で戦いました。来年こそはもっと良い結果をお見せできるよう、強くなって戻ってきます。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
本当に激しいバトルで全力を出し切りました。一時は表彰台を争える位置にいましたが、セーフティカーのタイミングが悪く、そこで我々のレースが崩れてしまいました。残念ですが、最後まで激戦に備えて戦い抜き、エキサイティングなレースができたと思います。これ以上に何ができたかは、誰にも分からないでしょう。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
非常にタフなレースで、ノーポイントに終わってしまいました。スタ-トからわずか数周で接触されパンクを喫し、緊急ピットインを余儀なくされました。

その後、ピットオープン後に義務づけられている再ピットインを怠るミスを犯し、大きなペナルティを受けてしまいました。そこからはポイント圏内への追い上げは不可能となり、残りの時間は最終戦バーレーンへ向けて何かを試すために費やすしかありませんでした。もう少し運があれば、上位争いができたはずです。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
母国ファンの皆さんに見守られる中で、本当に辛い一日となってしまいました。皆さんの応援には心から感謝していますし、それに応えるべく全力を尽くしましたが、望んでいた結果にはつながりませんでした。

ペナルティによって2周遅れとなり、スタートからわずか1時間半でレースが事実上終わってしまいました。我々は2台ともトップを争えるだけのペースはありませんでしたが、少なくとも7号車は不運に見舞われるまで有望な走りを見せていました。バーレーンに向けて気持ちを切り替え、準備をやり直します。

平川亮(8号車 ドライバー)
多くの不運に見舞われ、厳しい一日となりました。我々の8号車はレース序盤にパンクを喫し、それによって好成績の可能性を完全に失ってしまいました。挽回を試みましたが、差は大きく、首位と同一周回に戻ることは不可能でした。

ホームレースでこのような結果になったのは残念ですが、現地で応援してくれたすべての方に心から感謝しています。次戦バーレーンは今季最終戦となりますが、去年は良いレースができたコースです。今年も良い結果で締めくくれることを願っています。

 

WEC 第7戦 富士6時間 決勝結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
1 35 ポール=ルー・シャタン
フェルディナンド・ハプスブルク
シャルル・ミレッシ アルピーヌ・エンデュランス・チーム/
アルピーヌA424 202
2 93 ポール・ディ・レスタ
ミケル・イェンセン
ジャン-エリック・ベルニュ プジョー・トタルエナジーズ/
プジョー 9X8 202 7.682
3 6 ケビン・エストレ
ローレンス・バンスール ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 202 8.167
4 5 ジュリアン・アンドラウアー
マシュー・ジャミネ ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 202 16.083
5 94 ロイック・デュバル
マルテ・ヤコブセン
ストフェル・バンドーン プジョー・トタルエナジーズ/
プジョー 9X8 202 18.542
8 7 マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 202 45.031
16 8 セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 200 2 Laps
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