日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は12月16日、コンパクトで軽量の3.0リッターV6ターボエンジンを新たに開発し、2016年より一部のインフィニティモデルに搭載すると発表した。
この新開発のエンジンは、長い歴史を誇るV6パワートレインのDNAを引き継ぎ、運転のしやすさ、効率性、パフォーマンスを理想的なバランスで実現しているという。
高負荷時の熱管理対策のため、ふたつのインタークーラー用ポンプを搭載
新型エンジンの仕様ラインナップは、最大出力300hpと400hpの2タイプの新型3.0リッターV6ツインターボエンジン。
このエンジンを2016年より、インフィニティモデルに搭載する予定。2つのエンジンは基本的に同じ技術を用いられており、ドライバーのインプットに瞬時に反応する、力強い運転感覚が提供ではているという。
また新型3.0リッターV6ツインターボエンジンは、燃費の最適化と共に、エンジンサイズに最も適した出力とトルクを生み出しており、300hpエンジンは最高出力300hp(224kW)/6,400rpm、最大トルク400Nm/1600-5200rpmのパフォーマンスを発揮。
一方、高出力型の400hpのパワーユニットに関しては、最高出力400hp(298kW)/6,400rpm、最大トルク475Nm/1600-5200rpmとなり、高負荷の際、効果的に熱管理を行うためのインタークーラー用ポンプを2つ搭載しててる。
同エンジンの燃費は、従来のエンジンから6.7%向上し、400hpエンジンでトップクラスの燃費を達成した。同エンジンで採用した主な新技術は以下の通りとなる。
● アドバンスタイミングコントロール: スロットルのスピードを向上させた新型モーターをバルブタイミングシステムに組み込み、レスポンスを向上。
● 新型ツインターボシステム: タービンブレードのデザインを最適化するとともに、新型のタービンスピードセンサー、インタークーラーシステム、電動アクチュエーターを採用し、パフォーマンス、レスポンス、燃費を向上。
新型エンジンのコア構造の重量は194.8kg、従来エンジンより14.1kg軽量化を達成
新しいターボチャージャーと先進的なインタークーラー(CAC)システム採用による加重は僅か25.8kgで、エンジン全体の重量は220.6kg。また、新型エンジンは、従来のV6エンジンと比較し、エンジン排気量が19%(約0.7リッター)減少している。
ユニット重量の大幅な軽量化に対して、最も貢献したのは、エンジンブロックへのミラーボアコーティングの採用とシリンダーヘッド一体型エキゾーストマニホールドにある。
これにより、エンジンの軽量化だけではなく、熱がアルミ合金ボアウォールを通じてより効果的に分散されるため冷却性能が向上した。
新型V6エンジンに様々な新技術を採用したことで、このエンジンを搭載したクルマは、より魅力的な走りを実現するという。
そのひとつが、スロットルの位置やエンジンスピードに応じ、燃料をより正確に燃焼室に噴きつける新型直噴ガソリン(DIG)燃料システムである。
このシステムにより、新型エンジンはインフィニティに搭載するV6エンジンの中で、最もクリーンで効率的なエンジンとなる。
併せて最新型のバルブタイミングコントロールは、燃焼室における空気量をより正確に調整するとともに、新しい低摩擦のミラーボアコーティング技術は、従来のV6エンジンと比較し機械的な摩擦を40%軽減して、より滑らかなピストンの動きも実現するという。
一体型エキゾーストマニホールドにより、触媒コンバーターを従来型V6エンジンよりも2倍速く加熱することができる
さらに新型3.0リッターV6ツインターボエンジンには、重要な特徴がもうひとつある。それは新しい一体型エキゾーストマニホールドの採用だ。
従来のパワーユニットと異なり、エキゾーストマニホールドをシリンダーヘッドと一体化することで、触媒コンバーターをエキゾーストポイントにより近い位置に置くことができた。
これにより、高温の排気の通り道が短くなり、触媒コンバーターを従来型V6エンジンよりも2倍速く加熱することができ、エンジン始動から発生する排気も減少させている。
新しいアルミエンジンブロックは、シリンダーボアとストロークが同じ長さ(86.0 x 86.0mm)のスクエア型エンジンとして組み立てられた。結果、低い機械摩擦と素早い始動を同時に実現できている。
この新型3.0リッターツインターボV6エンジンの生産時期だが、現予定では2016年に、いわき工場で生産が開始される予定という。
なお日産自動車本体からは、公式に具体的な搭載車両の発表は、なされていないが、欧州市場に於ける「インフィニティQ50・Q60」に搭載されると目されており、仮に搭載されれば、日本国内に於ける同一路線車と云えるスカイライン搭載の3.5リッターV6ハイブリッド(364ps)、並びに2リッター直4ターボ(211ps)を大きく上回るパフォーマンスを発揮することになるだろう。