台湾キムコ、0→100・2.9秒の電動スーパーバイクを発表


台湾のスクーターメーカー、キムコグループ(KYMCO GROUP、本社:台湾・高雄市、会長:アレン・コウ)は、昨月開催のミラノ国際モーターサイクルショー(EICMA 2018)でスーパースポーツ車と電動パワーユニットを融合させた「KYMCO SuperNEX(キムコ スーパーネックス)」を初披露した。

ミラノの発表会場で、キムコ会長のアレン・コウ氏は「次世代モビリティのパワーユニットが電動モーターであることは、皆さんもご承知の通りです。

しかし二輪車で特に電動スーパースポーツバイクを所有することに関しては、まだまだ多くの方々が次世代モビリティを所有することに対して躊躇されている現実があります。

それは電動モーターであるゆえの馴染みのある轟音が出ないこと。簡単なツイスト・アンド・ゴー式の操作がおもちゃのように感じてしまい、エンジン車両のような高揚感は得られないだろうとお考えゆえのことです。

また実際に、多くの電動バイクではトップスピードに達する際の持続的なスリル感が感じにくい状況にあります。その結果、多くのエンスージアストは、新しい電動化時代の到来により、スーパースポーツ車両の魅力が失われるのではないかと危惧されているのです。

そこでキムコは、電動ユニット搭載車に於いてもスーパースポーツ車に対する限りない夢を馳せられることに取り組みました。具体的には、ライダーが真に求めていることを深く洞察し、新たな電動スーパースポーツバイク時代に向け、最も魅力的な方向性を打ち出したのです。

その設計哲学は、以下の5つの具体的なアプローチを伴うものとなりました。​1つ目は『ギアシフトは、バイクに乗る技巧の真髄である』ということ。2つ目は『最高の加速は、思考の完成のように感じられる』こと。3つ目は『自信を持って限界を探ることから興奮が感じられる』こと。4つ目は『音はマシンの声である』ということ。そして最後の5つ目は『優れた乗り物は、あらゆるシーンでライダーを盛り上げる』ということです。

まず第1にSuperNEXは、ギアシフトがバイクに乗る技巧の真髄であるという信念に基づいて設計しました。そのためテクニックを駆使するライダーがいつでも楽しめるようスーパーネックスには最新の6速トランスミッションを搭載し、クラッチレス・シフトアップとシフトダウン機能が備わっています。加えてスリッパー・クラッチにより、通常のシフトダウン時の乗り心地は、さらに快適になりました。

バイクのライダーが他者から一目置かれる点は、車両の潜在能力を十分に引き出すそのテクニックです。モーターの様々なパワーバンドを利用するために、ギアシフトのタイミングをマスターしているのです。

ライダーにとっては、自己のスキル向上と、自己実現の追求がまさにモチベーションであり、完璧なギアシフトは、ステータス、特別感、そしてプライドの現れです。ギアはライダーにとって永遠の魅力なのです。そこでSuperNEXは、ギアを使用することで、すべてのスポーツバイクライダーにとって必要不可欠な、人とマシンの繋がりをもたらします。

また今までの電動バイクにとってのもうひとつの課題は加速力でした。電動モーターは本質的な特性として、ミッドレンジで最大馬力に達し、その後出力カーブが減少します。

その結果、単一ギアの電動バイクでは、所定の速度に達すると、加速力が顕著に落ちてしまいます。さらに、このパワーの欠如は、スーパーライダーが重視する高速走行で最も頻繁に感じさせるものとなっていました。

しかし、SuperNEXはその課題を解決しました。6速トランスミッションを介してライダーがバイクから最大の能力を引き出すべく、モーターのパワーバンドを有効に使用できるようにしました。

ギアは効率と応答性だけでなく、加速と最高速度も改善しました。その結果SuperNEXは、時速0キロから100キロに2.9秒、時速0キロから200キロに7.5秒、時速0キロから250キロに10.9秒で到達するパフォーマンスを発揮します。この加速により、SuperNEXの乗車体験はライダーにとって魅力的なものとなるでしょう。

ちなみに現在のスーパースポーツバイクの能力は、ほとんどのライダーのスキルを上回っていると言えます。これを踏まえ当社は、すべてのスポーツバイク愛好者が毎日新たな発見を得て、自信を持ってより上級のライディングスキルの習得に挑戦できるよう、先進のパフォーマンス制御システム「キムコFEP(KYMCO FEP: KYMCOフル・エンゲージメント・パフォーマンス)」を開発しました。​

このFEPを使用すると、ライダーはいついかなる時でも完璧な出力特性を愉しむことができるようになります。ハードな加速中はFEPがウィーリーやホイールスリップを防止し、ハードブレーキ中には、後輪の持ち上がりを防ぎます。

荒れた路面や湿った路面を走行する時も、FEPがコントラーブルなライディング特性を生み出します。さらにFEPエンゲージメントのレベルは、ライダーの好みに合わせて多様に調整することができるのです。

キムコでは、スーパースポーツという究極のスリルを追求する楽しみを、より多くのバイク愛好家に広めたいと考えています。FEPを活用することにより、全てのスポーツバイクライダーはSuperNEXの能力を最大限に引き出すことができます。

なおマシンのキャラクター、感覚、情熱が求められるスーパースポーツバイクでは、電動モーターの静けさも逆に課題となります。それは車両が情熱的な願望の対象ではなくパーソナルな輸送手段に過ぎなくなってしまうからです。

この課題に対応するため、SuperNEXではマシンの鼓動を伝えるように設計された、世界初のアクティブ・アコースティック・モーターを搭載しています。

このモーターには、ダイナミックなモーター・サウンドを忠実に再現するマルチ周波数音響発生器が搭載されており、すべてのスポーツバイクライダーが望む、スーパースポーツの象徴的なスリルやメッセージを届けることができます。また音の個性や音量は、ライダーの好みに合わせて、さらに調整することもできます。

スーパースポーツバイクでは、音は人とマシンの接点として最も重要な媒体のひとつであり、モーターの回転数レベルと負荷条件を伝えるものです。

ライダーが常に状況を認識し、ギアをシフトしたりスロットルを開いたりするタイミングの判断に役立つのです。そして、回転数とスピードの上昇に伴い、怒濤のような音の盛り上がりが聞こえることは、スポーツバイクのライダーにとって魅力のひとつと言って良いでしょう。

音は、バイクの声であり、アクティブ・アコースティック・モーターは、バイクの鼓動を伝えるだけはなくライダーの魂を伝えていきます。​

現代のスーパースポーツバイクでは、ライダーが一部の電子機能を設定できるようになっていますが、これまではライダーの気分や使い方に応えて変化することはありませんでした。

しかしSuperNEXは従来型の電動バイクとは異なり、静かなでスムーズな走りから、極限のパフォーマンスを発揮する4つのモードを搭載しました。

我々、キムコはSuperNEXと共に、スーパースポーツ新時代の始まりを告げたいと思います。当社はこの電動バイクが、世界中のライダーの皆様からの信頼を勝ち取ることができる大きなチャンスになるものと確信しています」と語っている。