WEC第4戦ニュルブルクリンク6時間、トヨタ陣営は3位に留まる


WEC第4戦ニュルブルクリンク6時間レースが7月15日~16日(現地時間)に行われ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRID #7号車が3位。#8号車はスタート直前にトラブルで最後尾から追い上げて4位でフィニッシュした。

TS050 HYBRID #7号車
(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)
決勝 : 3位、204周、ピットストップ6回、スターティンググリッド : 1番手、最速ラップ(1分40秒633)

TS050 HYBRID #8号車
(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)
決勝 : 4位、199周、ピットストップ6回、スターティンググリッド : 4番手、最速ラップ(1分41秒771)

朝から雨に見舞われたニュルブルクリンク。しかし、午後1時のスタート時間が近づくと雨は上がり、スタートを前にコースは完全にドライコンディション。

この天候に翻弄された各チームは、スタート間際に急遽ドライタイヤへと交換した。2台のTS050 HYBRIDもドライタイヤを履き、#7号車には小林可夢偉、#8号車にはセバスチャン・ブエミが乗りフォーメーションラップに出ていった。

フォーメーションラップが始まってまもなく、TS050 HYBRID #8号車にトラブルが発生。

ブエミは#8号車をモーターだけで走らせてピットへと戻った。#8号車のスロー走行を受けてフォーメーションラップは1周延長されたが、#8号車がピットに帰り着く前にレースはスタート。

燃料ポンプのトラブルに見舞われていた#8号車は、燃料ポンプの交換に約8分かかり、レースへと戻ったのは、トップのTS050 HYBRID #7号車が5周を終えた後となってしまった。

#8号車のトラブルとは対照的に#7号車は小林のドライブで好スタートを切り、最初のピットストップまでの約1時間、最速ラップを記録し2台のポルシェを抑えて首位を快走した。

しかし、小林からステアリングを引き継いだホセ・マリア・ロペスは交替後2台のポルシェに先行を許し、3位へと後退。

ロペスは、順位挽回に賭けるが、その後のTS050 HYBRIDは、2台共に空力的なバランスの低下に見舞われペースダウン。これにより、チームは、着実に選手権ポイントを獲得することにスイッチした。

その結果、#7号車は優勝したポルシェ#1号車から1分4秒768遅れの3位でレースを終え、チームにとっては初めてのニュルブルクリンクでの表彰台入賞と、貴重な選手権ポイントを獲得した。

レース序盤に最後尾の29位へと後退した#8号車も問題を解決してコンスタントな走行を続け、上位へと猛追し、5周遅れながら4位でゴール。

ポイントを獲得し、チャンピオン争いへと貢献した。チームの本拠地ケルンから90kmに位置するニュルブルクリンクは従来からも厳しいレースであったが、今回も例外ではなかった。

今レースの結果、TOYOTA GAZOO Racingはマニュファクチャラーズ選手権でポルシェと39.5ポイント差の2位。ドライバーズ選手権では#8号車のドライバーが首位を30ポイント差で追っている。

このレースで今年のWECヨーロッパ・ラウンドは終了。次戦は9月3日のメキシコ戦を皮切りに、オースティン(アメリカ)を経て富士、上海、バーレーンとアジア戦が続く。

佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racing代表
我々にとってニュルブルクリンクは残念ながら今回も厳しいレースとなりました。

速いワンラップスピードを示すことも出来、序盤ではポルシェとの接戦を繰り広げることが出来ましたが、途中から車両バランスが悪化、ペースが低下し苦戦をしました。

今日のレースは不具合もあり結果的に、年間チャンピオンシップを狙う上でポイント差の開きを少しでも抑えようとするものとなりました。

残りのレースでは欧州から出て北米、アジアを転戦しますが、我々のTS050 HYBRIDにとってより特性の合ったサーキットが待っています。

不具合とペースダウンを解析、対策を織り込み、引き続きチャンピオンを目指して戦ってまいります。

小林可夢偉(TS050 HYBRID #7号車)
レース序盤は問題ありませんでした。最初のスティントでは我々のペースは良く、首位をキープ出来ました。

しかし、その後はバランスが悪くなってしまい、首位争いから脱落してしまいました。

正直なところ、金曜日の公式練習走行から厳しいレースになるだろうとは予想していましたが、その通りになってしまいました。

とても悔しいですが、何とか最低限のポイントは獲得しましたので、次戦メキシコで巻き返すべく挑戦します。

マイク・コンウェイ(TS050 HYBRID #7号車)
いつもであれば表彰台は喜ぶべきことですが、今日は本心から喜ぶことは出来ません。

この週末、いくつかの良い兆候もありました。予選ではポールポジションを獲得出来、決勝レースも序盤は速さを示せました。

しかし、空力的なバランスが変わってしまったことでポジションを落としてしまいました。

今日のポルシェは、本当に強かったですし、彼らの勝利を祝福します。次戦メキシコでは必ずもっと良いレースが出来るはずなので、楽しみです。

ホセ・マリア・ロペス(TS050 HYBRID #7号車)
厳しいレースではありましたが、私にとってはWECで初めてとなる表彰台フィニッシュを果たせました。

チームの働きのおかげで予選でポールポジションが取れたのは驚きでしたが、決勝レースは簡単ではないと思っていました。

私の2スティント目はタイヤが摩耗し、本当に苦しい状態でした。もちろんもっと上位フィニッシュを望んでいますし、努力を続けて次戦では再び速さを見せたいと思っています。

中嶋一貴(TS050 HYBRID #8号車)
我々にとっては厳しいレースでした。スタート直前のフォーメーションラップ中にトラブルに見舞われ、上位争いのチャンスは失われてしまいました。

スピード的にはポテンシャルを見せられたと思いますが、いくつかの問題もありました。4位でフィニッシュ出来たことで、トラブルを考えれば選手権争いへのロスは最小限に留められたとポジティブに考えるべきでしょう。

セバスチャン・ブエミ(TS050 HYBRID #8号車)
本当に残念なレースになってしまいました。スタート時のトラブルで上位争いが出来ませんでした。

その後は全力で可能な限り最大のポイントを獲得するために走り続けました。

次のレースへと気持ちを切り替え、次戦はもっと力強く戦えることを期待するだけです。

アンソニー・デビッドソン(TS050 HYBRID #8号車)
望んでいたようなレースは出来ませんでした。我々の#8号車は#7号車と同じ速さがあっただけに、スタート時にトラブルが出てしまい、本当に残念です。

表彰台争いが出来なかったのは悔しいですが、少なくとも追い上げて4位でフィニッシュ出来ました。シーズン残りのレースで勝利を狙い、タイトル争いを続けて行きます。