トヨタ自動車株式会社（本社 ： 愛知県豊田市、社長 ： 豊田章男、以下、トヨタ）は8月3日、今秋に国内発売を予定していた新型プリウスPHVのリリース時期を、今冬に延期すると発表した。
同社にとって、新型車両の発売時期延期は異例の措置。既に国内販売網に於いては、新型車販売に伴う営業活動が始動していたことから、今発売延期に伴い、各販売拠点の事業計画上で遅れが生じる事になる。
そもそも同車は、先の3月に米国・ニューヨーク国際オートショーに於いてワールドプレミアを果たし、同国内等に於いては「プリウス プライム」の車名で先行販売を開始している。
この新型プリウスPHVは、搭載バッテリーの容量が大きく拡大されており、電気を利用した場合の走行距離が60km以上（JC08モードによる開発目標数値、同社内測定値）と約2倍になること。
さらに同車シリーズ初搭載となる機能として、日本国内仕様の一部グレードではルーフ部に太陽光パネルを備えており、補助的な充電機能を持っている。
また、従来の走行用モーターに加えて、これまで発電機としてのみで利用されていたモーターも走行用としても活用する「デュアルモータードライブシステム」とすることで、EVモード走行時の力強い走りを実現した。
併せて、世界初搭載となったガスインジェクション機能付ヒートポンプオートエアコン、11.6インチ大型ディスプレイのナビゲーションシステムを採用。運転中の快適性や利便性を追求した仕様としている。
加えてプラグインハイブリッドの充電システムは、従来の家庭用電源からの充電に加え、充電ステーションでの急速充電にも対応する（日本仕様のみ）。
なお現行プリウスPHVは、2012年1月、電気利用車の早期・本格普及を目指し、EVモードとHVモードが切り替わることで電池残量などを気にせず安心して乗ることができる電気利用車として量販を開始。現在までに日本、米国、欧州を中心に、計約7万5千台を販売している。
今回のリリース延期の理由については、発売に伴う受注対応に備え、事前生産する台数確保量が当初想定に届いていない事が原因とされる。
具体的に同車については、軽量化とガラスエリア拡大を目指してCFRP（Carbon Fiber Reinforced Plastics・炭素繊維強化樹脂）製バックドアが搭載される予定であり、こうした最新装備に関わる部品・部材製造工程に於いて、一定の生産量確保を含め、慎重を期した結果のようだ。
今発表にあたりトヨタでは、「今回、お客様により良いクルマを着実にお届けするため、発売時期を延期することを決定しました。何卒ご理解賜りますようお願いいたします」とコメントしている。
米国仕様 主要諸元（同社内測定値・参考）
– 全長（mm） / 全幅（mm） / 全高（mm）：
4,645 / 1,760 / 1,470
– ホイールベース（mm） ：2,700
– 室内長（mm） / 室内幅（mm） / 室内高（mm）：
2,110 / 1,490 / 1,195
– エンジン 種類 ：直4DOHC
– 総排気量 （cc） ：1,797
– 最高出力 （kW[PS]/rpm）： 72[98] / 5,200
– 最大トルク （N･m[kgf･m]/rpm）： 142[14.5] / 3,600
– モーター 最高出力 （kW[PS]） ：（１）53[72]／（２）23[31]
– 最大トルク （N･m[kgf･m]） ：（１）163[16.6]／（２）40[4.1]
– バッテリー ：リチウムイオン