名古屋市内でのネットワークスライシングの実証実験に成功
NTTコミュニケーションズ
より具体的には、近い将来のレペル4自動運転の進化・安定的運用に貢献するべく、5Gスタンドアローン( ピュア5Gによる低遅延・多接続 )通信を安定化させるスライシング技術( ネットワークを仮想的に分割する手法 )、およびモバイル通信時のパケット優先制御機能を備えた5Gワイド( パケットの優先割割当制御 )を駆使した通信実証実験で好結果を引き出した。
また併せて今実証では、5Gネットワーク+スライシング技術を介した自動運転レベル4運行時の遠隔管制下( 車両の位置情報と映像を組み合わせたリアルタイム捕捉 )に於ける安定した通信速度も確保。広域エリア環境での面的なレベル4自動運転実用化をサポート技術に関しても新たな道も拓いた。
1.今実証の背景
自動運転レベル4の無人走行では、自動運転車両の映像、音声、位置情報をリアルタイム捕捉する遠隔管制が必要となるが、都市部や観光地などの混雑した環境下ではデータ通信が不安定になることがあるため、これを解消していく必要があった。
NTTコムは、これまでも「法人向け5G総合コンサルティングサービス( docomo businessプライベート5G / 通信調査、設計・
構築・導入支援を総合的に支援する事業 )」を通じて、混雑した環境下や時間帯でも安定したモバイル通信サービスを提供してきた。しかし今後は、更に通信のスライシング技術を組み合わせることで、安定した通信を面的に保証する技術の獲得を目指す。
2.同実証概要と検証内容
今実証では、ドコモとメイモビリティによる2024年度の自動運転事業( 愛知県内で実施 )に於ける名古屋駅前~鶴舞公園区間で( 車載カメラから監視センターへ )、伝送した上りモバイル通信時のスループット値も確認した。
今実証の技術的な成果は以下の通り
(1)スライシングと 5G ワイドを活用した映像品質の検証
愛知県で自動運転レベル4で運行中の車載カメラからの映像を、5Gワイド環境下でスライシング技術を組み合わせて、東京の監視センターへ伝送。混雑環境でも現地状況を精細に確認できる映像品質を確保した。
(2)上りスループット値の面的な安定化を実現
移動しながら複数の無線基地局( 電波の送受信などを行う装置 )と通信を行う自動運転では、混雑する場所・時間でスループットが揺らぐことがあった。
そこで今実証では、発生する揺らぎを抑え、要求される上りスループット値が安定的に維持できるよう5Gワイドとスライシング技術を組み合わせて運行全域での通信の安定化を実現した。その結果、目標とする上りスループット値を、全走行ルートの約96%で維持(一般回線は約73%)できた。
3.今実証での参画各社の役割は以下の通り
▷NTT Com
・スライシング、5G ワイドを利用した映像伝送システムの構築および実証
▷ドコモ
・本実証に向けたネットワーク構築
▷メイモビリティ
・自動運転システムの運用および自動運転への適用に関するアドバイス
4.今後の展開
NTTコムとドコモでは、今実証で得た知見を基にモバイル通信の面的な安定化を図り、自動運転への適用をメイモビリティと検討していく。
また5G SAのスライシング技術を活かして引き続きユースケースに応じて最適なネットワークを提供することにより、社会からの幅広い要望に応えられるよう「docomo businessプライベート5G」の高度化・充実化を重ねていく。
更に現時点で5Gサービスを利用している顧客やパートナー企業と連携し、新しい価値創出や社会課題の解決に貢献していく。