欧州トラック分野のトップサプライヤー「ZF」、NVIDIAとAIベースの自動運転システムを発表


欧州トラック運送業界のトップ サプライヤーである独ZFことゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン社(本社:独バーデン・ヴュルテンベルク州フリードリヒスハーフェン、CEO:シュテファン・ゾンマー、以下、ZF)は、米国NVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼 CEO:ジェンスン・フアン)と協業し、自動車およびトラック輸送の他、工場・農業・鉱業用の商用車両向けに開発したNVIDIA DRIVE™ PX 2車載用AIコンピューターに基づく「ZF ProAI・自動運転システム」を1月4日に発表した。

独ZFは、米国ネバダ州ラスベガスで開催されたコンシューマー エレクトロニクス ショー(CES2017)の会場内で、DRIVE PX 2に基づくAI自動運転コンピューターを、具体的に実働させたことにより、商用車領域へAIシステムを提供する初のティア 1 自動車サプライヤーになったことを内外に向けて発信した。

同社によって開発されたZF ProAIは、DRIVE PX 2 AutoCruise設定を利用し、これによって自動車やトラックのみならず、フォークリフトや運搬用車両など広く産業用途に至る、様々な自動運転車両の構築が実現すると云う。

この取り組みのその成功について、ZFのCEOであるシュテファン ゾンマー (Stefan Sommer) 氏は、「当社は、NVIDIAと共に人工知能に必要なスーパーコンピューティングの能力を、自動車や商用車両にもたらそうとしています。ZFのシステムを搭載した車両は、自らが見て、思考し、行動できるようになるのです。

このNVIDIAのAIプラットフォームを背景に、このたび開発された本AIシステムは、自動車・トラック・フォークリフトなどの車両の種類を一切問わず、未来の自動車が独自に能動的に思考していくという開発理念に対して、大きな進歩をもたらしたと云えるでしょう」と語った。

また併せてNVIDIAオートモーティブ事業担当バイスプレジデント 兼 統括マネージャーのロブ チョンガー (Rob Csongor)氏は、CES 2017 の開幕に先立つZFのイベントに登壇し、NVIDIAがディープ ニューラルネットワークに於ける人工知能を、幅広い業界にもたらすため、どのように取り組んでいるかについて語った。

「私たちは人工知能のことを、産業革命を引き起こすテクノロジーと称していますが、これは誇張ではありません。

輸送産業に於いては、AI により交通災害や渋滞の削減が見込まれています。またこれを成就させるためには、コンピューティングにおけるブレークスルーが必要であり、私たちは今、AI 領域に於いて、そうしたブレークスルーの場を得たと考えています。

今発表のZF ProAIを利用すると、複数のカメラ、LIDAR、レーダーおよび超音波センサーからの入力情報を、センサー フュージョンと呼ばれるプロセスで処理できます。

この処理により、車両は、周囲 360 度の視野を捕らえ、HD マップ上で自車の位置を特定して、交通上の安全な経路を見つけることができるようになるのです」と語っている。

なお両社により開発され、誕生したこのZF ProAIは、両社によると少なくとも2018年初めには、実働用として提供が開始される予定であると云う。