ホンダF1プロジェクト総責任者の新井康久氏、2015シーズン前半戦を振り返る


McLaren-Hondaは、グリッド後方に甘んじてきましたが、そのトンネルの出口は見えつつあります

F1世界選手権は前半戦を終え、目下、約1カ月の夏休みに入っている。本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)では、その直前にF1プロジェクト総責任者である新井康久氏(株式会社本田技術研究所 専務執行役員 F1プロジェクト総責任者)の談話を発表している。

yasuhisa-arai-honda-f1-project-general-manager-look-back-on-the-2015-season-first-half20150815-3

2015年の前半戦を振り返っていかがでしょうか?

新井康久氏:「本当にタフな戦いが続きました。ウィンターテストから序盤の数戦まで多くの問題を抱えていましたが、幸いそのほとんどは解決したので、いよいよ前に進み始めることができています。後半戦は、いい戦いができる感触を得ています」

具体的には、どの領域で苦労しましたか?

新井康久氏:「我々のパワーユニット(以下、PU)はコンパクトなレイアウトで、それが高い競争力につながると考えていますが、そのパッケージゆえに熱の問題に悩まされました。

yasuhisa-arai-honda-f1-project-general-manager-look-back-on-the-2015-season-first-half20150815-2

問題となる箇所は特定できたので、後半戦ではその解決に向けて新たなパーツを投入して出力をアップし、競争力を強化していきます」

「F1への挑戦」というハードルの高さをどのように想定していましたか?

新井康久氏:「McLaren-Hondaの過去の功績により、ファンの皆さんはすぐに好成績が残せると期待されていたと思います。

しかし、McLaren-Hondaが常勝だった頃からF1の世界は大きく変化しており、そう簡単に勝てるものではありません。現代のF1は、当時よりはるかに進化しており、速いマシンを作り上げるのは難しくなっています。我々も簡単ではないと予測していましたが、これほどにも難しいとは思っていませんでした。

yasuhisa-arai-honda-f1-project-general-manager-look-back-on-the-2015-season-first-half20150815-1

我々が直面している技術的なチャレンジは想像を超えていましたが、自分たちのPUの方向性には確固たる自信があります。トップチームに勝つためには、全く新しいことをしなければ実現しませんから、それを成し遂げることが我々の目標です」

技術的に想定外だったのはどんなことですか?

新井康久氏:「PUのパッケージに関する現行の規定はとても複雑で、一つのコンポーネントが起こす小さな不具合が、ドミノ倒しのように連鎖して他の部分にも影響を及ぼすことが分かりました。

例えば、MGU-Hからエネルギーを取り出すときです。ターボに大きな負荷がかかることで、より多くの空気を取り入れて出力を上げるというターボの本来の仕事ができなくなり、出力が減少するという事態に陥ります。

yasuhisa-arai-honda-f1-project-general-manager-look-back-on-the-2015-season-first-half20150815-4

このように、一つのコンポーネントが他の部分に影響を与え、その仕事を阻害するといったケースが出てしまいます。

こうしたマシンをストップさせるような連鎖反応が、事前の想定や計算を超えて発生しました。難しいのは、トラック上で実際にマシンを走らせずに、正確な計算をしなければならないことです」

後半戦での目標は?

新井康久氏:「まず、ハンガリーは技術的に見てひとつのきっかけになりました。エンジニアたちは、ハンガリーに持ち込んだPUを、各ドライバーのドライビング特性や路面状況に合わせて最高のパフォーマンスが発揮できるようセッティングしてくれました。

ハンガロリンクはPUにとって慌しいコースで、コーナー毎に微妙な出力調整が求められます。これは言葉で表わせるほど簡単なものではありません。後半戦に向けては、我々の進化の再確認の場となるでしょう。

また、信頼性の問題はすでに解決済みですので、これからは出力アップに全精力を注ぎます。夏休み明けには残り7つのトークンのうちいくつかを使い、新しいスペックのエンジンを投入します」

トークンはどの部分に使う予定ですか?

新井康久氏:「燃焼が最も重要なポイントです。現行ルールでは高効率な燃焼が必要なので、燃焼室を変更し、給排気システムのレイアウトを変えることで、燃焼特性を向上させます。

yasuhisa-arai-honda-f1-project-general-manager-look-back-on-the-2015-season-first-half20150815-5

また、フリクションの低減も図るため、燃焼系の改善とともにギアトレインの変更も行っていきます。

すべてのアップグレードをスパ(ベルギー)で投入するのではなく、いくつか段階的に入れていきます。後半戦はレースごとに向上していく計画です」

2016年に向けた準備はいつから始動するのでしょう?

新井康久氏:「16年シーズンを見据えてはいますが、まず2015年の後半戦について集中しています。

16年もレギュレーションは変わりませんので、16年に向けたアイデアも、可能であれば今年中に投入していきます。

残念ながら今後もペナルティーを受けてしまうとは思いますが、車体、PU双方が大幅なパフォーマンス向上を果たします。スパ以降は、レースを重ねるごとに改善していき、表彰台を争える位置を目指し、レースに挑みます」

 

その他の記事(新車関連)
08/09・フォード、年内に4車種の新型モデル導入
08/09・フォード・クーガ改良、新エコエンジン新搭載
08/08・スズキ、IAAでBaleno初公開を予告
08/07・マツダ、IAAで越KOERUを初公開
08/06・LEXUS、CT200hを一部改良して発売

08/05・スズキ、インドNEXAからSX4 S-CROSS発売
08/01・三菱自、タイで新パジェロスポーツ世界初披露
07/31・ホンダ、ステップ ワゴンと同スパーダに車いす仕様車
07/31・AUDI A6AVANT/ALLROAD QUATTRO、S6/RS6AVANT
07/30・ジャガーF-PACE、極限環境下で走行テスト敢行

07/29・スズキ、ミャンマーでエルティガ生産・販売開始
07/28・フェラーリ 488 スパイダー概要公開
07/28・VGJ、POLO, GOLF, GOLF VARIANT, TIGUAN刷新
07/25・モーガン、65周年記念AR PLUS450台限定
07/23・ボルボ、新ディーゼルを主力5車種に一挙投入

その他の記事(モータースポーツ関連)
08/10・ホンダ、Moto世界選手権で前人未踏の700勝
08/10・SUPER GT500第4戦・富士、佐々木/クルム優勝
08/10・SUPER GT300第4戦・富士、高木/小林が作戦勝利
08/09・日産、LM P1改良に専念。WEC復帰見送り
08/09・ヴェンチュリーFE、ビルヌーブ獲得を発表

08/03・VW、WRCで今季7勝目
07/31・ポルシェカップにSローブとPデンプシー参戦
07/28・スパ24時間、BMWに栄冠。GTアカデミー組入賞
07/27・全日本ラリー第5戦、新井3勝、プジョーはリタイア
07/26・鈴鹿8耐、ヤマハ1996年以来19年ぶりの制覇

その他の記事(イベント関連)
08/10・IAA、コンチネンタル出展ブースの概要
08/09・NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2015開催11/29
08/08・VGJ新PASSAT展示キャラバンを全国8か所で開催
08/07・WTCC、GO! CITROËN MOTEGI…8/17応募締切
08/07・東京モーターショー、プレビューデー入場券販売開始

08/03・JAF長野、セーフティトレーニング長野10/04開催
08/02・メガウェブ夏休みスペシャル夜景ドライブ体験8/23
07/31・アイシン、未来型モビリティを名古屋初展示8/16迄
07/31・キャデラック、NY2016春秋コレクションをサポート
07/30・第3回くるまマイスター検定、7/30より申込受付

その他の記事(技術関連)
08/07・住友ゴム、新天然ゴム資源ロシアタンポポ研究開始
08/06・自動運転のマップ技術でボッシュとTomTomが提携
08/05・スズキ、スペーシアがASV+最高ランク獲得
08/05・エコタイヤのラベリング開始5年を巡る過去から未来08/04・ノキア、HERE社の独自動車連合への売却で合意

08/03・ボッシュ、自動運転で独の事故発生率は3分の1以下に
07/29・横浜ゴムと東京工大、生物資源からタイヤ原料合成
07/26・HERE社、米・仏・独・日で自動運転用地図提供へ
07/25・工学院大、ソーラーカーレースの新車両初披露
07/23・東京工大、低価格FCVの可能性を拓く技術開発

その他の記事(企業・経済)
08/10・シボレー、社会貢献活動でつぶれないボール200万個
08/10・トヨタメディアサービス他、充電マップでカーナビ連携
08/10・双日、米BMW認定ディーラーから営業権と資産を取得
08/07・ヤマハ発動機、米国シリコンバレーに新会社
08/07・AQUA SOCIAL FES!!累計参加者が4万人を突破

08/07・マツダの新パワートレイン工場、タイで開所式
08/04・日本エレクトライクの三輪EV、補助金対象車両に
08/04・トヨタ、中国で「競争力のある工場づくり」を推進
08/04・ヤマハの車いすアシストJWX-2、経済産業大臣賞
08/02・出光、ロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル獲得

その他の記事(話題)
08/10・インクリメントP、金沢大学と自動運転支援地図開発
08/10・ヤナセとニッポンレンタカー、輸入車レンタル開始
08/10・カストロール、世界初のCO2ニュートラルオイル
08/10・LEXUS DESIGN AWARD 2016コンペ作品募集開始
08/10・東洋ゴム、プロサッカーチームのFCゼニトをサポート

08/08・国土交通省、道路メンテナンス年報を公表
08/08・オリックス、乗換案内とカーシェアアプリを連携
08/08・工学院大学ソーラーカーがテストコースを試走
08/07・Audi A6 / Audi 100のヒストリー紹介動画を公開
08/07・日産のこども自動車、半世紀ぶりの復活を動画取材

08/07・ミッションインポッシブル世界初公開にBMW登場
08/05・週刊「ラ フェラーリをつくる」先行予約販売開始
08/05・LEXUS、空中に浮かぶホバーボードの全容を公開
08/02・ヤフー、高速渋滞・規制情報をリアルタイム提供
07/31・国土交通省、土地の浸水リスクが判るWebサービス

MOTOR CARSサイトTOPに戻る