WEC第7戦・上海、トヨタは雨に翻弄され5位・6位で終える


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トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、社長 : 豊田章男、以下、トヨタ)の「TOYOTA GAZOO Racing」は、2015年FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦・上海6時間レースを、TS040 HYBRID・2号車が5位、1号車が6位で終えた。

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今年、全8戦で戦われてきたWECシリーズの最終3連戦は、アジアを舞台に開催される。まずその1戦目が日本の富士スピードウェイ、そして今回の中国・上海サーキット、そして最後がバーレーンの国際サーキットとなる。

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今シーズンは年間を通して、各地で苦戦を強いられるTS040 HYBRIDだが、先の富士6時間レースでは、雨の中で良いところを見せていただけに、上海から続くアジアラウンドは、トヨタ陣営としても期待の掛かる一戦であった。

しかし蓋を開けてみると、今年の上海6時間レースの成果は、昨年のチャンピオン・チームであるトヨタにとって、忘れ去りたいくらい残念な内容となってしまった。

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まず前日の予選セッションは、気温は17.9度、路面温度は20度。完全ドライコンディションとなり、この日、ポルシェ919ハイブリッドは、平均タイムで1分42秒719を叩き出しポールポジションを獲得。

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このタイムは、オープンホイールのフォミュラーOneに匹敵するタイムであり、数字の上でも今年のF1中国GP、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が記録しているファステストラップ(1分42秒208)に肉薄する。

対するトヨタTS040 HYBRIDは、他車とピットインのタイミングをずらせてトラフィックを避け、クリーンコース上でのベストラップを狙っていた。

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しかし結局、トヨタ勢の2台はトップから3秒前後遅いタイムしか記録できない。このためポルシェ勢がフロント1列目を独占。セカンドポジションはアウディ勢となり、トヨタはトップ4台から3秒遅れの5番手と6番手となった。

そして空けて11月1日の決勝は、午前の早い時間から激しい雨に見舞われて、生憎のウエットコンディション下でのレースとなった。

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スタート時間は午前11時。当初から4周に渡ってセーフティカーに導かれて幕を開けるという過酷なレースになった。

ちなみに上海国際サーキットは1周5.451km。2本の長いストレートと16個のコーナーを持つ近代的な施設を持つ良質なサーキットであるのだが、トヨタTS040 HYBRIDは、コース上のデブリ(パーツの破片など異物)を拾ったあげく、スローパンクチャー(タイヤに空いたごく小さい穴や亀裂)に見舞われ、またコース上を流れる大量の雨水に足を取られてスピンを喫するなど、度重なるアクシデントに翻弄され続けた。

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結果、6時間のうちの大半がウェットコンディションで争われた今レースでは、ティモ・ベルンハルト、ブレンドン・ハートレーおよびマーク・ウェバーが、トライブするポルシェ919ハイブリッドが首位を独走。

ロマン・デュマ、ニール・ジャニ、マルク・リーブがドライブするもう1台のポルシェ919ハイブリッドが2位と、追いすがるアウディ勢を振り切り、ワン・ツゥー・フィニッシュを飾った。

一方、TOYOTA GAZOO Racingのアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴の1号車は、デビッドソンのドライブでレースをスタート。

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アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ組の2号車はコンウェイがスタートドライバーを務めて6時間のスタートを切った。

スタートから90分ほど経過した頃、デビッドソンが2度目のスティントを始めてすぐに、1号車がスローパンクチャーに見舞われピットイン、そこで中嶋が代わってレースに復帰。その間にブルツが2度目のスティントを担当する2号車が5位にポジションを上げる。

レースが2時間を迎えた頃、雨足は激しさを増し、多くのクルマがスピンしてコース外へ飛び出す場面が見られる中、追い抜き禁止を意味するフルコースイエローが解除されてすぐ、ブルツが痛恨のスピン。

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これにより1号車が5位に返り咲いたが、その後、今度は中嶋が最終コーナーでスピンを喫する。その際、グラベルに足を取られて抜け出すのに時間を要し、6位でレースに復帰するなど、トヨタ勢は互いのポジションを入れ替えながらの我慢の走りが続いた。

さらにレースが後半に入る頃には、コース上の走行ラインが乾き始め、最後の1時間に差し掛かる頃には完全なドライコンディションになる。2台のTS040 HYBRIDは、これを受けて両車共にスリックタイヤに履き替えて、トップを走るライバル達を追い始めた。

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しかし時すでに遅し。結局、レース終盤に於いてライバル達とのギャップを大きく埋めることは叶わないまま、サラザンが2号車を5位に、ブエミが1号車を6位に運んだところでチェッカーフラッグを受けた。

2台のTS040 HYBRIDは優勝したポルシェからは、それぞれ4周、5周の差を付けられた。今日のレースの結果、ポルシェ勢は最終戦を待たずに、2015年のマニュファクチャラーズタイトルを決めている。

2015年のWECは残り1戦。11月21日(土)に中東のバーレーンで行われるバーレーン6時間を残すのみとなった。

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佐藤俊男 チーム代表
今日は残念な結果に終わりました。ウェット路面を味方に付けることは出来ませんでした。

TS040 HYBRID #1号車がスローパンクチャーに見舞われるという不運も含めて、少々トラブルもありました。

天候への対応は誰にも難しいものであり、プロの仕事をしてくれたチームメンバーには感謝したいと思います。

全力を振り絞って戦いましたが、残念ながら5位と6位が今の我々に成し得る最善の結果でした。今回、マニュファクチャラーズタイトルを獲得したポルシェには祝福の意を表したいと思います。

今年、チャンピオンナンバーの#1を身にまとい戦ったことを我々は大変誇りに思いましたし、それが手元を離れるのは寂しい気持ちで一杯ですが、ポルシェはチャンピオンに相応しい、素晴らしい戦い振りでした。来年は我々もより素晴らしい戦いで彼らに臨んで行きます。

toyota-ts040hybrid-wec20150326-1【TS040 HYBRID #1号車】
アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴
決勝レース : 6位 164周、ピットストップ7回、グリッド : 5番手、最高ラップタイム : 1分48秒685

アンソニー・デビッドソン
私がレースのスタートドライバーを務めたのは初めてで、しばし楽しめました。

私はアウディに前をふさがれたので何とか抜きましたが、昨年の記憶を思い起こすようでした。あらゆる条件下で我々は出来る限りプッシュしました。

残念ながら雨がまた降り出した時、一貴がグラベルにつかまってしまいましたが、ベストを目指して走り続けることが出来ました。

ピットストップを迅速にこなしてくれたメカニックの素晴らしい仕事振りには、感謝しています。

セバスチャン・ブエミ
今日は少し残念な気持ちです。すっきりとしたレースが出来れば、もう少しだけ良い結果だったと思います。

それもレースですが、コンディションは非常にトリッキーでした。我々はインターミディエイトタイヤに賭け、ほぼ報われていました。

今日の良いところとしては、30秒間、ファステストラップを保持したことでしょう。次のレースでもプッシュし続けます。

中嶋一貴
特に私には難しい日でした。土砂降りになり始めた時、私はミスをしてグラベルにつかまり、長くタイムロスをしました。

チームの仲間、特にいつも通りに良い仕事をしてくれたメカニックの誰もに申し訳ない気持ちで一杯です。

そのあとは成し得る限りのベストを尽くして終われましたが、このミスから学び、次のレースでは、更に攻めて行きたいと思います。

toyota-facing-the-wec-round-5-circuit-of-the-americas-6-hours20150914-1【TS040 HYBRID #2号車】
アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ
決勝レース : 5位 165周、ピットストップ6回、グリッド : 6番手、最高ラップタイム : 1分49秒374

アレックス・ブルツ
非常に困難なレースでした。いつもウェットコンディションは好きなのですが、今日はいくつかのトラブルを抱え、非常にドライブし難い状況でした。修行を強いられた一日でした。

ステファン・サラザン
今日のレースで特に語るべき事はありません。我々は自分たちの出来るベストを尽くし、5位でフィニッシュしました。

チームメイトがいくつかのトラブルに見舞われたこともあり、少なくともチーム間の争いには勝つことが出来ました。今日はあらゆるコンディションを経験出来たことで、有意義な情報も得られました。

マイク・コンウェイ
スタート時のコンディションは非常にトリッキーで、視界も悪かったのですが、それは全てのライバルに同様です。

私はタイヤが正しく動作する領域を維持することに苦しみました。しかし、私のスティントの終盤に向けて徐々に上手く行ったようで、ラップタイムも向上しました。

路面コンディションは常に変わり、非常に難しい戦いでした。5位という結果はスタートよりもひとつのポジションアップですが、少なくともチャンピオンシップで#1号車との差を少し詰めることは出来ました。