ボルボ、最上級セダンとワゴン「S90/V90/V90 Cross Country」を同時刷新


ボルボの新世代プラットフォーム採用の新3モデル登場で90シリーズのラインナップが完成

ボルボ・カー・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:木村隆之)は2月22日、東京都港区に於いて同社の車両ラインナップの最上級モデルとなるフラッグシップ・セダン「S90」、プレミアム・エステート「V90」、プレミアム・クロスオーバー「V90 Cross Country」を報道発表会を実施。同ラインナップ3台の同日よりの発売を開始した。

具体的には昨年1月に、日本国内での発売を開始したXC90にはじまる90シリーズに新たな3モデルが加わる。

90シリーズは、将来の電動化やコネクティビティ、自動運転等を見据えて開発された新世代プラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」と、自社開発の新世代パワートレーン「DRIVE-E(ドライブ・イー)」を採用している。

発表会場の壇上にてボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長は、「今発表のS90/V90/V90 Cross Countryは、S80、V70、XC70の後を受け継ぎ、新世代ボルボのデザインと先進の安全・運転支援技術を搭載。

独自のインフォテイメント・システムやコネクティビティを進化させたことによって、ボルボが考える『スウェディッシュ・ラグジュアリー』を体現している」と述べた。

スウェディッシュ・ラグジュアリーを追求した新デザインを採用

そんな新型90シリーズのエクステリアで最も目をひくのは、北欧神話に登場するトール神(雷神)がもつハンマーをモチーフにしたT字型のLEDヘッドライトである。

新しくなったアイアンマークを中央に配したエレガントなグリル、リアライトの力強い造形といったシグネチャーは、長年に渡るボルボのアイデンティティを継承している。

ラグジュアリーブランドに提供している革加工の技術を持ち込んだインテリア

また今発表の新型S90/V90/V90 Cross Countryでは、XC90のインテリアデザインをさらに進化させている。

インストルメント・パネル中央部には、9インチの縦型タッチスクリーン式センターディスプレイを配置。その左右には、空気噴出し口のルーバーを縦型に組み込み、拡がり感を持たせたパネルラインを創り出している。

操作系のデザインでは、XC90同様、ボタンの数を必要最小限に絞り込み、オーディオやナビ等の操作はタッチスクリーン式のセンターディスプレイの操作で賄う様に集約された。

ドライブモードの選択ボタンや、センターディスプレイ下の音量ボタンの周囲には、特徴的なローレット加工を施し、シリーズ最上位に相応しい高級感を演出した。

なかでも各車種ライン最上級のInscpriton(インスクリプション)、Summum(サマム)グレードには、柔らかな質感のパーフォレーテッド・ファインナッパレザーシートや、ナチュラルな風合いを活かしたウッドパネルが標準装備されている。

ドライバーの視線の移動を最小限にするインフォテイメントシステム

車体各部に組み込まれた車両とのコミュニケーションを図るセンサー機能では、新型90シリーズに於いてドライバーが直感的に操作可能な独自のシステム「SENSUS(センサス)」をさらに進化させている。

これはまずドライバーが走行中に必要な情報に関しては、新たに設定された12.3インチ・ドライバー・ディスプレイ(メーターパネル)と、ヘッドアップ・ディスプレイに表示する。

また音声認識機能により、視線の移動をすることなく、ナビゲーションの目的地の設定やエアコンの温度調整、メディアの操作などの幅広い操作を音声で行うことができるようにしている。

なお「SENSUS」は、Apple社のCarPlayとGoogle社のAndroid Autoに対応しており、加えてスウェーデン発の音楽配信アプリである「Spotify」を車載アプリとして搭載した。※Inscpriton、Summumグレードに標準装備

世界トップクラスの「Bowers&Wilkins」オーディオシステムを設定

音響システムでは、Bowers&Wilkinsプレミアムサウンド・オーディオシステムをオプション採用した(S90 T6 Inscriptionには標準装備)。

これは総出力1400Wの12チャンネルデジタルアンプにサブウーファーを含む19個のスピーカーを配置し、車内のどの座席でも、極上のサウンドを生み出すもの。

サウンド設定はスウェーデンのイェーテボリ・コンサートホールのベストシートの音響を再現した「コンサートホールモード」をはじめ、「カスタマイズモード」、「スタジオモード」の3つのモードから選択が可能だ。

世界初の2つの安全技術、道路逸脱事故を回避支援する「ランオフロード・ミティゲーション」と「大型動物検知機能」を搭載

安全技術を背景としたセーフティー機能では、2つの世界初の安全技術を含む15種類以上の先進安全・運転支援技術「IntelliSafe(インテリセーフ)」を標準装備している。

まず第1は、世界初「大型動物検知機能」で、これはスウェーデンで重傷事故の要因となっている、大型動物との衝突被害の軽減を目的としたシステムである。

従来のCity Safety(シティ・セーフティ)の歩行者・サイクリスト検知機能に加え、速度が4km/h以上のとき、前方に大型動物が検知された場合に警告を発し、運転者が警告に反応しない場合には、通常の最大制動力の約30%(約0.3 G)でブレーキが作動。衝突時には約15km/hの減速を可能とするもの。

70km/h以上の高速走行時にもっとも効果を発揮し、夜間にヘッドライトで照らされている場合でも検知を行う。

第2に、こちらも世界初となる「ランオフロード・ミティゲーション」機能がある。これはXC90で発表された「ランオフロード・プロテクション(道路逸脱事故被害軽減システム)」に加えて、道路逸脱事故の対策として開発された、道路逸脱事故回避を支援する機能である。

道路からの逸脱が差し迫っていると予測された場合にのみシステムが介入し、ステアリングを自動的に操作して道路上に戻す。

この操作で十分に対応できない場合、ブレーキも作動させて減速させる。

車載カメラが車線境界線や側線を検知した状態で、速度が65~140km/hのときに作動。方向指示器を使用している場合など、ドライバーが自発的に運転している場合、介入をしない仕組みとなっている。

車線維持走行をサポートする「パイロット・アシスト」をはじめ、15種類以上の安全・運転支援技術を標準装備

さらに「パイロット・アシスト」はステアリング操作を行い、車線の中央を走るようサポートする運転支援機能である。

新型90シリーズに標準装備される「パイロット・アシスト」では、前走車なしでも車線維持走行が可能となり、作動域は140km/hまでに拡大した。

フロント・ウィンドーに設置されたミリ波レーダーとカメラが一体となったユニット、ASDM(アクティブ・セーフティ・ドメイン・マスター)が車線の検知と前方をモニターし、車線の維持走行と前方車両との距離の維持をサポートする。

以下は「S90/V90/V90 Cross Country」各車種の概要となる

S90
新型S90は、ボルボS80の後継となるフラッグシップ・セダン。内側にカーブした特徴的なグリルはボルボP1800をオマージュしたもの。

装備・仕様の違いにより、「Momentum(モメンタム)」「R-Design」と「Inscription」の3グレードを用意。

新世代パワートレーンDrive-E (ドライブ・イー)は、2.0リッター4気筒直噴ターボ「T5」、2.0リッター4気筒スーパーチャージャー付き直噴ターボ「T6」エンジンを搭載し、新開発の高効率な8速ATと、「T6」には電子制御式AWDシステムを組み合わせた。なおS90は500台の限定発売となる。

同車のスタイリングについては登壇したボルボ・カーズ 上級副社長でデザイン担当のトーマス・インゲンラート氏が、「私たちは新しいフラッグシップ・セダンを作りました。

S90は上品かつクールな、まさにゲームチェンジャーです。エクステリアは際立った存在感を放ち、スカンジナビアンデザインと呼ぶに相応しい適切かつクリーンなラインで構成されています。

インテリアはセンターディスプレイなどのテクノロジーとナチュラルな素材とをうまく融合しており、乗員をエレガントに温かく迎え入れる雰囲気に満ちています。

すべてがスウェーデンらしさにあふれたものとしています」とコメントした。

V90
新型V90は、ボルボV70の後継となるモデルで、1946年に販売開始された「デュエット」に始まるボルボの60年以上にわたるエステートでの歴史を引き継いだプレミアム・エステートである。

S90と同様に、装備・仕様の違いにより「Momentum(モメンタム)「R-Design」「Inscription」の3グレードが設定されている。

搭載された新世代パワートレーンDrive-E は、2.0リッター4気筒直噴ターボ「T5」をはじめ、2.0リッター4気筒スーパーチャージャー付き直噴ターボ「T6」、そして、プラグインハイブリットモデルとなる「T8 Twin Engine」の3種類となる。

「T8 Twin Engine」は、Drive-E2.0リッター4気筒スーパーチャージャー付き直噴ターボエンジンと240Nmを発揮する電気モーターをリアに配置。

「Hybridモード」をはじめ電動モーターだけで駆動する「Pureモード」、2つのパワーソースを最大限に活用する「Powerモード」などが選択可能。

これら全てのパワートレーンは高効率の8速ATが組み合わされ、高い環境性能と卓越した走行性能を実現している。

同車種について先のトーマス・インゲンラート副社長は、「現代のプレミアム・エステートとは、ラグジュアリーな体験とエステートのシルエットがもたらす機能性の魅力を融合したもの。

洗練された雰囲気を漂わせる新型V90のインテリアは、2列目シートをアレンジすれば使い勝手良くフラットに連結し、またアクセサリー類をはじめ様々なストレージ・ソリューションをもつ機能的なラゲッジスペースと組み合わされています」とコメントした。

V90 Cross Country
V90 Cross Countryは、XC70の後を受け継ぐ新たなプレミアム・クロスオーバーである。

国土の77%が森と湖に占められ、冬が長く厳しいスウェーデンは、全天候対応車を開発するのに適した場所で、ボルボはその地域特性を活かし、約20年前に最初のクロスカントリーモデルを発表した。

こうした背景を踏まえ新型V90 Cross Countryは、プレミアム・エステートV90をベースに、悪路走破性を高めるために最低地上高を55mmアップ、新開発の専用サスペンションの採用し、Cross Country専用のエクステリアデザインを与えた。

パワートレインは、Drive-E 2.0リッター4気筒直噴ターボ「T5」と、2.0リッター4気筒スーパーチャージャー付き直噴ターボ「T6」の2種類で、いずれも電子制御式AWDシステムを組み合わせた。

ちなみに装備・仕様の違いによりそれぞれに「Momentum(モメンタム)」「Summum(サマム)」の2グレードを設定している。

なお同車種について先のトーマス・インゲンラート副社長は、「私たちの車は優れた安全性、そして耐久性でよく知られています。

新型V90 Cross Countryは、乗車位置を高くし、シャシーは天候や道の状態に関わらず快適に走行できるように適正化されています。

エステートモデルであるV90の多様性を受け継ぎながら、冒険者のマインドを加えました。

ボルボV90 Cross Countryをデザインすることは、スタイリングするというよりは、形を造り上げていく作業です。

現実に即した走行性能を実現するためのデザインなのです。力強いエクステリアと、ラグジュアリーなインテリアという、驚きに満ちたコンビネーションで成り立っています。

これはボルボのクロスカントリーの伝統を、新しいレシピをもって継承するモデルです。

つまり、パワフルにラフロードを走破する走行性能が、最もエレガントな、洗練された仕立てのエステートによってもたらされるのです」」と、その魅力を紹介していた。