ヴァレオ、「CES2017」で5つのイノベーションを世界初披露


自動車部品サプライヤーの仏・ヴァレオ(本社:フランス・パリ、CEO:ジャック・アシェンブロワ /Jacques Aschenbroich)は、米国ラスベガスで開催されるCESに4年連続で出展し、5つの重要なイノベーションを世界初披露した。

自動車の世界は、より自動化が進み、より環境への配慮が求められる中、これからの車に搭載されるこれらの技術は、CES会場・ゴールドロットの屋外試乗エリアと、セントラルプラザのブースで展示されている。

さてヴァレオによると、今日の自動車産業は3つの変革に直面していると云う。

まず搭載される「エンジンのルールブック」は、電動モーターやハイブリッドパ ワートレインといった代替技術の台頭によって書き換えられつつあり、「自動運転車の開発」が加速している。

そして「デジタルモビリティ」も、カーシェアリングと並行して動きが活発化。こうした変革が前例のない規模で進行している。

このように車もIoT(モノのインターネット)という新たな領域へと動き出そうとしている今、変革の先頭に立つことを標榜するヴァレオは、ラスベガスで開催されたCES 2017会場で、先の通り5つの重要なイノベーションを世界初披露する。

それは(1)ヴァレオ XtraVue、(2)ヴァレオ360AEBニアシールド、(3)ヴァレオeCruise4U、(4)ヴァレオC-Stream、(5)ヴァレオコックピットである。

これらの技術を互いに組み合わせることで、新たな環境負荷の少ないモビリティ社会の形成と、高いレベルでの自動運転。高度化された知能による快適性の向上、そして拡張された高い接続性を背景に共有可能性の実現を目指す。

そして以上の5つのイノベーションを通してヴァレオは、自社が「包括的で画期的な技術システムを提供できる力がある」ことを証明していくと述べている。

その5つのイノベーションは以下の通り

(1)ヴァレオeCruise4U:同社によると実は、世界中を走る車の3台に1台はエネルギー消費や、CO2排出量を抑制するヴァレオのエレクトリックシステムを搭載しており、ヴァレオは車両電動化の先駆者としての役割を果たしてきたと云う。

そんな同社が出展した「ヴァレオeCruise4U」は、市街地や郊外を低速で電動モードで走行でき、世界初のLiDAR(Light Detection And Ranging) によるコクーン(全周検知)を備えた自動運転車である。

技術的には、自動運転技術と48Vハイブリッドシステムが組み合わせられており、燃費とCO2排出量を低減させつつ運転の快適性を高めている。

ヴァレオeCruise4Uに利用されているイノベーション群は、自社開発の5つの技術要素をベースに、自動ハイブリッド運転体験を提供するもので、既に現在市販されている車にも搭載されている。

  • ヴァレオのセンサー群は、車に周辺環境の完全な視界を提供する。具体的にはカメラ、レーダー、 LiDARセンシング技術と複数の状況管理・把握ソリューションを組み合わせて、あらゆる状況下に於いても、自動化を実現した。
    そんなヴァレオのLiDARコクーンは現在、車両の外周に搭載された6台のSCALAレーザースキャナーによって、実現されている。
  • ヴァレオの認知ソリューションは、車両の周辺環境を把握し、車両の制御に必要なデータを 提供する。
  • ヴァレオの横方向・前後方向制御技術は、電動モーターと内燃エンジンを併用するハイブリ ッドパワートレインに対応し、よりスムーズな制動と加速を実現していく。
  • ヴァレオの新先進運転支援システム(ADAS)電子制御ユニット(ECU)は、融合アルゴリズ ムに基づき、センサー群からのあらゆる信号を分析し、何が起こるかを予測して車両を制御していく。
  • ヴァレオの48V e4WD(全輪駆動)システムは、車両の使い勝手とコストの両面でメリットをもたらす。
    このソリューションでは、統合型ベルト駆動式スターター・ジェネレーター (iBSG 48V) が車両のエン ジンに、電動リアアクスルドライブ (eRAD 48V) が後軸に搭載されている。
    これら2つの電動デ バイスにより、車両の出力は30馬力前後、あるいは22kW前後向上し、燃費が約17%1.改善させている。
    またeRAD 48Vモジュールは、価格を抑えつつ、全輪駆動による優れた安全性 と快適性をユーザーに提供する。

これらはすべて、都市で暮らす人々のニーズに応えるための技術であり、今回は、実車によるデモンストレーションを介して、こうした電動モードの自動運転を体験することができるようにした。

(2)ヴァレオ XtraVue: ヴァレオXtraVueは、接続された複数のカメラによって障害物を視覚的になくすシステムである。

具体的には、接続された複数のコンピューターヴィジョンカメラによって、ドライバーの視野に入らない路上で起きていることをドライバーに知らせていく。

その仕組みは、車両に搭載されたスマートアンテナを使い、ヴァレオのレーザースキャナーと、コンピューター画像カメラシステムと組み合わせた。

これによりドライバーの視野に入らない路上で起きていることをドライバーに知らせ、沿道のインフラに設置されたカメラからのストリーミング映像を自車のディスプレイに表示させる。

通信環境は、既存の公衆4Gと車対車 (V2V) のネットワークを活用して、これらのデータを統合。シンプルかつ高度な路上の画像を生成する。

ドライバーにとっては、いわば障害物が透けて前方が見えるような画像となり、確かな情報を得た状態で、正しい意思決定が行えるようになる。

ちなみにこのスマートアンテナに関わる技術は、ドイツ企業のパイカーをヴァレオが2016年に買収した後に発足させた部門によって開発された技術である。

(3)ヴァレオ360AEBニアシールド: ヴァレオ360AEBニアシールド(自動緊急ブレーキ) は、低速走行時に車両付近の歩行者を保護する技術となる。

死角を無くし、進路上で障害物になりうるものを素早く捉えてドライバーに警告し、衝突を避けるため、必要とあれば車を自動停止させる新しい自動緊急ブレーキシステムである。

このヴァレオ360AEBニアシールドは、フロントとリアのバンパーに4台の小型カメラと超音波センサーを搭載させる仕組みで、車両の周囲360°の視界をドライバーに提供する。

このシステムは、自車にとって障害物になりうる、あらゆるモノの存在をドライバーに警告するだけでなく、衝突回避のために車両を自動停止できる部分が最大のポイントとなる。

この死角を“消し去る”という点に於いて、同技術はSUVやピックアップトラックなど、大型車両の後退時に特に有効に機能する。

来る2018年に米国内で販売される全ての新型車両が、バックアップカメラの搭載義務付が始まる中、 既に搭載されている警告音やバックアップ カメラなど、標準の車載機能を活用できる点も大きな利点である。

また車両運行中に、ドライバーがもし「ヴァレオ360AEBニアシールド」が発する警告に反応しなかった場合、ヴァレオの同システムはブレーキを適切に作動させて介入する。

ちなみに同システムは特別なアルゴリズムに基づき、対象物が静止していても動いていても対象を積極的に検知する。そして歩行者・車両、そしてその乗員を保護していく。

(4)ヴァレオC-Streamドームモジュール: ヴァレオの新しいC-Streamドームモジュールは、大別して2つの主な特徴を備えている。

具体的には、従来のルームミラーの代わりとなり、車室内の状況を把握できるヴァレオの新しいドームモジュールであること。

そして車の乗員数を把握して安全快適に保ったり、ドライバーが適切に警告を受けられるようにもできる。その個々の機能は以下の通りとなる。

1.ドライバーと同乗者を撮影する室内カメラを使いシステムが車室内の様子を把握することで、これまで想像できなかった多くの利点が生まれる。

例えば、助手席にどのような乗員がいるかを検知してエアバッグシステムの作動を調整し、安全性を高めることができる。

その他、車を安全で快適に運行していくためには、乗車人数・助手席の荷物の有無、そして警告に対するドライバーの認識レベル等の情報把握が必要であるが、ヴァレオのC-Streamが搭載された自動運転車では、自動運転の結果を基にドライバーが運転操作に戻るべき最適な時期についても適切に算出する。

2.今後C-Streamドームモジュールにより、従来のルームミラーは不要になる。

車両後部に搭載されたカメラを使うこのシステムは、ドライバ ーの視線上にあるドームの反対側に車両後方の画像を投影し、視界の狭さ・死角・その他従来のル ームミラーが持っていた制約からドライバーを開放する。

ヴァレオのC-Streamで、ドライバーは目の疲れさえも軽減することができる。もちろん短距離・長距離で投影画像を切り替える手間も必要なくなる。

再設計されたリアビューモジュールは、車室設計の点でも新たな道を切り開く。例えばリアウィンドウはこれまでよりも小型に、そして後席の乗員には、これまでとは段違いに良好な前方視界を提供できるようになるのだ。

(5)ヴァレオ・コックピット: これはヴァレオが考える新しい「トラベリング・エクスペリエンス」である。

今回、出展したデモンストレーション機は、車の新しい使い方に結び付いた感覚的な体験を形作る独自のソリューションとなっている。

ヴァレオのエクスペリエンス・ オブ・トラベリング・コックピットは、ドライビングエクスペリエンスに於ける3つの独立したフェーズに対応する。

それは、完全にドラ イバーが運転する際の「ドライビングタスク」、半自動運転車が運転を行う際の「トラベリング エクスペリエンス」、そしてドライバーが車の運 転操作に戻る際の「バックトゥドライブ」である。

これらの機能は、新しい電動化ソリューションと組み合わせることで、より環境に優しいモビリティと、進んだ自動化による恩恵をもたらす。

今日、世界中に於いて自動車の総数は、さらに増え続けることが見込まれており、ヴァレオは車の認知能力を高めることで、より安全にし、よりエネルギー効率を改善し、より高度な自動化を進めることをコミットしていく。

その間ヴァレオは、車の使い方とドライビング体験について、この数年の期間をおいて全く新しいものになることを想定し、それに着実に応えていくと云う。